栂海新道、初雪山 

メンバー:金井 土屋 村上

日程:2001年3月18日(日)−20日(火)

 「すずらんの」の故古元さんの記録をみて、また行きたくなった栂海新道。初めての初雪山。
 6年前、小蓮華から日本海まで6日かかった栂海新道に、初雪山をプラスする計画。実は2年前、元会員の矢本君と彼の友人3人で計画したのですが、朝日岳直下で猛烈な風と雪で2日動けず、朝日岳に登っただけに終わってしまいました。今回の仲間は、金井さんと土屋君。

18日(日)
 悪天で予定より1日のばし、朝、白馬の駅に着く。小雨が残るが予報では3日間位晴れそう。栂池のゴンドラに乗り込む頃には雨が上がってきた。
 天狗原の登りになると風が強くなって時々立ち止まる。天狗原より蓮華温泉の下りは、雨風と朝の冷え込みでモナカ状、滑りづらく温泉まで時間がかかった。
 いつもなら入り口の前は雪の庭になっているのに、雪の山、今年はやはり雪が多い。お昼の休みが終わったのか、小屋の人たの雪下ろしが始まる。
 風は強いが日射しが出て来る。里心が付く前に出発、行けるとこまで行く事にする。瀬戸川の下りもひどい雪、スノーブリッジを渡ってシールを付ける。ひょうたん池を過ぎたところで、これ以上登と風が強いので斜面の陰にテントを張る。夜行と悪雪の疲れか7時過ぎに寝てしまう。

19日(月)
 4時起きの予定だが体を動かしたのは4時30分、良く眠れた。6時30分出発。天候の事を考えると、今日は、北又谷まで行きたい。が、昨日あまり高度を稼いでいないので、長い登りがまっていた。
 4時間かかって、朝日岳と長栂山に続く稜線に。まだ3月、稜線はカチカチ、北に初雪山が白くあらわれる。クトーを外すとシールのままでも良く滑る。
 長栂山からは今日の最初のハイライト黒岩山まで約3キロの長い下り、硬い斜面にガリガリ言わせながらスキーを滑らせた。黒岩山から沢蟹山までは、シールの稜線歩き、風が強い。
 東側の雪庇に気を付けながらピークをいくつか超え、沢蟹山が近づいて来ると、初雪山の東面が、稜線に雪庇を付けて迫ってくる。しばらく明日登るコースを観察、やはり予定した南にのびる尾根が一番楽そうだが、谷底から150m位は急でシールでは無理そう。それを超えれば、ところどころ急な所が有るが、シールで登れそうだ。
 昼過ぎ、沢蟹山山頂、早々に支度して、今日第2のハイライト、西にのびる尾根に滑り込む。木が少なく恰好のスロープ、どんどん高度を下げる。風の当たらない所まで来て大休止。しかし、このまま上手く滑り降りられるのか、谷底はどうなっているのか----。
 高度を下げるとだんだん雪が悪くなる。谷底まで100m位のとこまで来るとかなりの急斜面になり、重いザックでは無理そう、ルートを探す。
 少し北側にトラバース、北又谷の枝沢に降りられそうな斜面を見つける。重たい雪の急斜面、1人づつ下る。みんな大汗をかいて下り終えた時は、もうどこにも逃げられないような谷底にいるのにホッとする。いつもそうだが、郷に入れば何とか、気持ちは次のモードに入っていく。
 初雪山の取り付き予定地点まで、約1キロ上流に下降したため沢の中を下る。まだ空いている所は無いが、ところどころデブリの跡か、登り下りをくり返して下っていく。初雪山の北又谷側の稜線は、グルリと雪庇が出来ているので、気温も上がり、時間も3時過ぎ、落ちて来るには好条件、早く抜けたいが疲れもたまってなかなか進まない。
 それでも明るいうちに取り付き点に到着、計画では安全性をみて150m登った尾根の上でテントを張るつもりだったが、すこし登った所に良さそうなテン場を見つけテントを張る。おかげで疲れた体で、腐れ雪の急斜面を登らずにすんだ。喉がカラカラ、テントを張っている間に金井さんにお湯を湧かしてもらい、ほうじ茶にしてたくさん飲む。近くにいたカモシカが急斜面を登っていくと、小さな雪崩がおきた。
 暗くなると満点の星空、明日も好天を約束してくれるが、疲れているせいか寝付かれない、土屋君は早々と寝息をたてている、若い人がうらやましい。

20日(火)
 快晴、6時30分出発。スキーを担ぎアイゼンで歩くが、クラストしている雪面を踏み抜いて歩きずらくシールで登る事にする。40度位のクラストした斜面、スリップすると下まで止まらないだろう。不安を感じながらも、いつものメンバーなのでイケイケ。 
 緊張して150m登りきり、ホッと一息、あとは部分的に気をつける所は有るが、山頂まで尾根を登っていけば良い。
 10時過ぎ、小さな鉄塔が立つ、初雪山の最高点、南峰につく、強い風の中、記念写真をとって北峰に移り下降斜面を見る。最後のハイライト。カール状になった北面は最初の50〜60m位が急峻でクラストしているので諦めた。西側の斜面から北にのびる尾根に回りこみ下降する。木も少なくなかなか良い斜面、しばらく下って風のない所で大休止。
 またしばらく下ると雪が重たくなり、快適ではなくなってくる。どこにいたのか、横を軽装の単独の人が滑り降りてゆく。蓮華温泉以来始めてあった人。
 下の山道に近づくと尾根は北西に向き、木も混み合ってくるが、単独の人のおかげで、ルート探しもしないで山道に出られるが、ここから大平(たいら)の集落までがながかった。午後2時に到着。今回のメンバーと古元さんに感謝。    (村上記)