2001年 大雪・十勝縦走 山行記録

メンバー :村上(L)、金井、上林

4月29日(日)
金井さんと上林は羽田 朝7時発のANA 053便で千歳へ。札幌のICI石井スポーツでガスカートリッジを購入し、ラーメンを食べて高速バスで旭川へ移動。無料バスの湯けむり号に乗る予定だったが、最終の旭岳ロープーウェイに乗れない可能性があるのでバスで知り合った男性とタクシーで旭岳ロープ-ウェイまで相乗りし、先に到着していた村上さんと合流。最終のロープ-ウェイに乗り、姿見駅でツェルトを張る。入山祝いで金井さんが用意した豪勢なすき焼の夕食。しばらくビールも飲めないので飲みだめする。

4月30日(月)
晴天。4時起床で朝食のラーメンを食べて6:05出発。シール登行で旭岳をめざす。八合目あたりまで夏道にかろうじて雪が残っているが、上部は雪が切れているため雪のある火口壁に入る。クトーを着けて歩くが早朝のためクラストした急斜面を緊張して登る。8:30 旭岳山頂着。シールをはずし後旭岳とのコルまでスキー滑走。後旭岳の東側をトラバースして標高1800mで沢を渡り、標高1600m付近まで滑走して部分的に完全に埋まった融雪沢を渡り平ガ岳をめざす。ほとんど高度差が無い雪面を20kg近いザックを背負ってひたすら歩くが、風が無く気温も上がり ばて始める。縦走路に近づくにつれ雪が少なくなり部分的に這松の上を歩くことになる。11:20 平ガ岳着。夏道に雪が無いため、雪が着いている東側の急斜面をトラバースして歩く。長くて暑い水平移動が続くが14:40 忠別岳着。さあ滑走だと下を観ると一面の這松で、この時点でひさご沼の避難小屋まで行くのをあきらめる。板をかついで夏道をしばらく下り、這松を横切ってようやく雪面に出て、忠別岳避難小屋までかっ飛ばす。15:40 忠別岳避難小屋着。長い行程だった。夕食の食当は上林で、高野豆腐と乾燥野菜のぴりから鍋。小屋の1階は雪で埋まり、2階の奥も雪が溜まっていたが中は暖かくとても快適だった。我々の他は大阪から来た2名のみ。各自持ち寄った酒を飲み楽しい夜を過ごす。

コースタイム
6:05 姿見駅
7:05 七合目(1930m)
8:30 旭岳山頂
10:15 融雪沢
11:20 平ガ岳
14:40 忠別岳
15:40 忠別岳避難小屋
行動時間 : 9時間30分

5月1日(火)
晴天。4時半起床で朝食の稲庭うどんを食べて7:05出発。小屋の東側の雪渓をシールで登り、7:55 五色岳到着。北に大雪の山波、南にトムラウシと十勝連峰が見渡せる、今回の山行中最高の素晴らしい眺めだった。化雲岳は経由せず、直接ひさご沼の方向に向かって歩き、標高1800m付近をトラバースして夏道の西側を歩いて2000mの台地まで登る。途中でナキウサギの鳴き声も聞くことができた。12:30 北沼のほとりのトムラウシのふもとに到着。どこから登るか悩むが雪の多い北東斜面を歩行アイゼンで直登する事にする。村上さんはスキーで登り滑って降りたかったようだが岩も多く出ていて厳しそうであった。スキーとザックをデポし、12:50 登り始め、直登20分でトムラウシ山頂着。景色はさすがに素晴らしく、またここまでの長い道のりを思い感動した。1030mの台地まで降り三川台をめざす。ゆるい斜面を滑走し黄金ガ原をしばらく歩いてからカールを滑って広い雪面のまん中にツェルトを張る事にする。少し風があったたスコップとスノーソーで雪をブロック状に切り出して壁を作り、ツェルトを張る。天気も良く楽しい作業で、素晴らしい一晩の宿ができあがる。まだ日も高く暖かかったため外で夕食を取る事にする。食当は村上さんで麻婆豆腐+麻婆春雨。夜半に寒気が入り、就寝後どんどん寒くなり午前1時頃からあまり眠れなかった。

コースタイム
7:05 忠別岳避難小屋
7:55 五色岳
9:35 ひさご沼上部(1790m)
12:30 トムラウシふもと(2030m)
12:50 トムラウシ山頂
13:10 トムラウシ山頂発
13:40 トムラウシふもと
15:00 三川台カール
行動時間 : 8時間

5月2日(水)
晴天。4時半起床。ツェルト内部は全面に霜が張り、寝る前に作っておいた水も凍った。足をつっこんだザックの内側にも霜が張っていた。朝食のラーメンを食べ 7:10出発。稜線に出てツリガネ山方面へ東側に残っている雪渓を1507mのコルまで滑る。このまま夏道を歩くと長時間板を背負って歩く事になるため西側の大きな谷をトラバースぎみに滑り、シールをつけてツリガネ山を過ぎた沢をつめて稜線に出る。上部はかなりの急斜面だが雪が軟らかかったためクトー無しで登れた。コスマヌプリの手前まで夏道の東側に残った雪をつないで滑る。ここまでかなり順調。村上さんの提案で、コスマヌプリの尾根を越えずに標高1450mの高度を保って尾根を大きく回りこむ事にする。11:10 オプタテシケ山手前の1400mのコルに到着して大休止。コーヒーをわかしてゆっくり休む。12:00 本日のハイライトであるオプタテシケ山の登りにとりかかる。北東の広い斜面を最大限に使ってゆっくり登り、約2時間で1960mの稜線に出る。ここで初めて両側が切れ落ちた稜線を歩かないと2012mのピークまでたどりつけない事が判り真っ青になる。歩行アイゼンを着け板を背負って一歩一歩慎重に先行の足跡をたどり 14:40 無事オプタテシケ山頂に到着し3人で握手して登頂を祝う。下りも気をゆるめず慎重に歩くが途中で上林の右足のアイゼンがはずれてひやりとする。下りの途中で夏道の南側を滑って登り返すという村上さんと、夏道沿いに歩く金井さんと上林の二手に別れ、どちらが早いか試してみる事にする。この時点では夏道沿いに歩くのが早いと思っていたが、雪が無く大きな岩がごろごろした夏道を板を背負ってスキー靴で歩くのに、思った以上に時間がかかり体力も消耗した。石垣山を越えた所でようやく美瑛岳避難小屋が見え、小屋の手前のほんの短い緩やかな斜面をスキーで滑りようやく行程終了。さすがに2人共くたくたになっていた。村上さんは30分前に到着したとの事。大きな這松帯のおかげでかなり滑り降りて登り返したそうだ。小屋はとても綺麗で暖かく快適だった。我々の他には7名程しかおらず、連休の割には空いていた。メインディッシュはスパゲティーだが、最期の晩に金井さんのザックから、おくら、みょうが、たまねぎ、きゅうり等の生野菜が出てきて本当にびっくり。感謝していただく。3人とも体が水分を欲しており、どんどん雪を溶かして水やお茶を飲む。到着が遅かったので9時頃まで歓談して寝る。

コースタイム
7:10  三川台カール出発
11:10 オプタテシケ手前1400mのコル
12:00 オプタテシケ手前1400mのコル発
14:00 オプタテシケ山1960mの稜線
14:40 オプタテシケ山頂
15:00 オプタテシケ山頂発
16:00 ベベツ岳手前のコル
18:00 美瑛岳避難小屋
行動時間 : 11時間

5月3日(木)
晴天。4時半起床。。全く寒い思いをせず快適に眠れた。朝食の具だくさんのラーメンを食べて7:00出発。小屋の前から板を背負って美瑛富士を回り込む夏道の途中まで歩く。ここから板を履いて1716mのコルまで滑り、シールをつけて登る。途中で雪が切れたため夏道に移り雪のある所をつないで登るとほどなく稜線に出る。十勝岳の噴煙も見えてゴールは近い。西側のピークへは行かずスキーで稜線を回りこんで滑る事にするが、岩稜帯や這松に遮られて中々真っ直ぐ進めない。何度も板をかついで歩くが1824mのコルからは板を背負って急な夏道を登る。1900mあたりから広い雪面に出たためシールを付けて歩き12:20 十勝岳手前の2008mのピークに到着。ずっと晴れていたのにこのあたりからガスが出始める。ここからしばらく板をかついで歩き最期の十勝岳への急斜面はシールで登る。12:55 最期のピークである十勝岳山頂に到着。これから滑る東側は時々ガスが取れるがずっと歩いてきた北側はガスが取れず、晴れるのをしばらく待ったが体が冷えてきたため13:30 滑走開始。幸い見える範囲はたっぷり雪がついている。広い斜面をどんどん滑って下るが標高差も1000mありすべり応えも十分。十勝岳避難小屋を経由して1100m付近から吹上温泉方面へトラバースするが、最期の最期に吹上温泉への夏道が判らずGPSで位置を確認する。少し下り過ぎた事がわかり登り返して夏道を見つけ、14:55 吹上温泉の白銀荘に到着。
風呂に入って5日分の汗を流し、ビールを飲んで至極のひと時を味わう。タクシーで上富良野に出て富良野線で旭川に行き、高速バスで札幌に出てすすきので打ち上げをして締めくくる。

コースタイム
7:00 美瑛岳避難小屋発
9:10 美瑛岳稜線
12:20 十勝岳手前 2008mのピーク
12:55 十勝岳
13:30 十勝岳滑走開始
14:55 吹上温泉 白銀荘
行動時間 : 8時間