”剣、立山”山行記録

リーダー村上、記録土屋
日程:2001年5月19日−21日

 当初、剣沢小屋より、三の窓へ登り池の谷左俣を滑り、小窓尾根に上り返し、白萩川を下り馬場島へのエキスパートコースを辿るプランを村上さんより提案されました。しかし、この春の雪解けの早さ、技術経験の未熟さから、剣岳登頂プランへの変更を余儀なくされました。あとから思えば、こっちのプランにして大正解。今シーズン最後を飾るに相応しい山行になりました。

5月19日(土)
大町-室堂-雷鳥沢-剣沢-剣沢小屋-剣沢-剣御前小屋
06:30
大町温泉郷にて村上さんをピックアップして、扇沢へ向う。
07:30
アルペンルート始発に乗り室堂へ。
天気は上々。
09:30
ようやく室堂。
これにて今日の行程の半分は消化した感じがする。
ここまで来るのに、金、時間、体力を相当消費した。
しかも、山二つ隔てると天候もいまいち。
10:00
準備を整え、雷鳥沢へ向う。
雷鳥荘、ロッジ立山連峰周辺ではロープトゥ1機でスキー場が営業している。
これより雷鳥沢を詰めて、別山乗越(剣御前小屋)へ向う。
500up約2hの今日唯一の登りだ。
やはり雪が少ない。
別山乗越雷鳥沢側には雪が付いていない。
最後は板を外して、剣御前小屋へ向うことになった。
12:00
風が吹き荒れ、おまけに霰も降ってきたのでで、100円払って剣御前小屋の有料の休憩部屋で昼食及び休憩。
13:00
一向に天候の回復する様子が無いので、霰混じりの雨の中、今日の宿泊地剣沢小屋へ向う。
本日唯一のDownHillだが、霰が顔を攻撃して来て、快適とは程遠い。
早く暖かい宿で一杯やりたいのもだ。
がしかし、なんと剣沢小屋は営業していないではないか。
全部の窓は厳重に、封じられているではないか!!
精神的ショックを受けつつ、剣御前小屋へ向うランドネ二人であった。

5月20日(日)
剣御前小屋-剣沢-長次郎谷-長次郎コル-剣岳頂上(帰路は往路をたどる)
06:30
はやる気持ちを抑えつつ、剣沢と長次郎沢の出合まで700mのDownHill。
昨日とは打って変わって、最高の条件での出発である。
旧剣沢小屋あたりから剣を見れば剣山荘直上に蟻の行列、もとい、山屋の行列。
今日は剣岳山頂は賑やかになりそうな感じ。
06:45
これより、長次郎谷を900mほど上る。
時間にして約4時間の長丁場。
村上さんはバンバンとばして行く。
私は調子が上がらず、一人取り残される。
どうも腹の調子が良くないようだ。
狭い谷なので何が落ちてくるか分からないので、早く広い安全地帯まで行きたい。
2500m地点の安全地帯で休憩を一回だけ取り、コルへ向う。
途中、頂上より下ってきたソロのスノーボーダーに会う。
彼はピッケル片手に滑っている。
コル直下は40°を越える急傾斜だが、意地でもスキーだけで登る。
10:30
予定通りコルまでは来られた。
ここから先が問題。
雪壁登りが待っている。
雪の状態は最高である。
硬すぎず、軟すぎず。
この雪なら、経験不足の私でも上れるのでは??
ピッケルとアイゼンを装着して、山頂へ出発。
一歩一歩確実にゆっくり雪壁を登る。
厳しいのはコルから見える50mぐらいの壁だけのようだ。
11:00
感動の中、山頂に立つ。
おまけに、雲もどんどん減っていく。
太陽のおかげで、山頂ですら暖かい。
川向こうの針の木には、ランドネ本隊が向っている頃だろう。
朝見かけた山屋達はまだ上がってきていないようだ。
スキーの力は本当に凄い。
12:30
極上の斜面、雪質、のおかげであっという間に剣沢出合。
標高差1000mあると、下はとても暑く感じる。
これより、ひたすら剣沢を700m詰める。
とにかく遠い。
小屋での祝杯ビールだけを考えて、ただただ登る。
15:45
剣御前小屋無事到着。

5月21日(月)
剣御前小屋-真砂岳-立山-御前谷-2200m-タンボ平-黒部平駅-扇沢
06:30
今日も快晴。
今日は板をザックに最初から括り付けて、立山を目指す。
途中別山をトラバースする巻道を行く。
1箇所雪がばっちり付いている谷をトラバースするはめになり。
あえなく、アイゼンを装着する。
昨日の剣岳山頂直下より怖いか??
幸いにも富士の折立(立山北端ピーク)への急登には雪が付いていない。
夏道を忠実にたどり、富士の折立へ向う。
09:30
大汝山を過ぎ雄山神社北側に下降点を見出す。
通常、雄山神社南側が下降点のようだ。
行く筋かトレースついている。
地図でみると、通常の下降点のほうが、広く緩い斜面になっている。
しかし、神社北側でも雪がバッチリ付いていて、何ら問題はなさそう。
実際下ってみると、上から何時雪が崩れてくるか分からない程、急斜で狭い谷だった。
団体ではいる事は、お勧めしない。
蛇足だか、富士の折立からも下降できそうだ。
こちらは、エキストリーム入門向け。
御前谷から見上げる立山は、圧巻、超ド迫力です。
是非、皆さんも足を運んでください。
10:00
御前谷2200m地点よりタンボ平方面へトラバース。
2つの小さな沢状の所を越え、尾根を少し登り返すと、タンボ平、ロープウェーが見え、やっと、帰ってきたって感じがした。
参考までに、村上師匠が6月の立山山行のリーダーへ宛てたmailを無断で以下に引用させていただきます。
”御前谷の件、雄山神社よりの滑降地点は、滑り出しが40度位有ります。
慣れない人がいるとびびるかも知れません。
下の方は、広く開けているので、転んで滑落しても岩にぶつかる心配はないと思います。
ただ降り口などに亀裂が入っているかも知れないので、注意して下さい。
急斜面を過ぎると後は広い斜面です、そのまま東に滑り降りて行くと南側に尾根が続きます。
地図の崖マークの先2274mの下から南に入り沢状の所を二つこえ、少し登り返すと鉄塔のある尾根に出ます。
2068mの印の有る尾根です。
其の鉄塔の尾根の南側が、たんぼ平です。”
10:30
アルペンルート黒部平駅に無事到着。
12:00
扇沢にて蕎麦を食べて、
13:00
大町温泉郷にて一っ風呂浴び、
14:30
帰京の途につく。
18:00
大宮にて村上さんを降ろし、
18:30
すぐさま出社し通常業務に就きました。