朝日岳と雪倉岳
2003年3月21日(金)〜23日(日)
リーダー:村上静志  会計:木村ゆかり  記録:土屋秀二、朝日岳まで:矢本和彦

2002年同時期にラ・ランドネ会山行として、蓮華温泉ベースに雪倉岳・朝日岳の両ピークを狙う山行が計画されていました。2002年は天気の影響で雪倉岳のみの登頂となり、2003年は残しておいた朝日岳登頂を最低限の目的に据えた計画としました。

20日(木) 新宿駅にて、全席指定の快速"ムーンライト信州"に乗り込む。会友の矢本さんも朝日岳まで同行とのこと。

21日(金) 栂池高原―天狗原―振子沢―兵馬の平―瀬戸川―ひょうたん池―白高地沢(泊)
朝方ドンヨリしていた天気も、栂池高原ゴンドラに乗る頃にはスッキリ晴れ渡り、絶好の山スキー日和となった。天狗原まではスキーヤー、スノーボーダーの大名行列となりそう。ヘリまで轟音を響かせ、忙しなく営業活動をしている。5分に1回は客を天狗原へ搬送している。
ヘリの営業収益を勝手に概算してみる。1時間に12フライト、営業時間は9時〜15時、1回のフライトで客12人、1人1フライトあたり6000円とすると、この日1日の売上は12(回/時間)×6(時間)×12(人/回)×6000(円/人)=518.4万円となる。この数字が妥当なのかボッタクリなのか、私には判断できない。
天狗原の岩場は黒山の人だかり。まるでサル山のよう。まだまだ先が長いので程々に休憩をとり、蓮華温泉方面の振子沢へ向かう。天狗原から振子沢へ入ると、さっきまでの喧騒はまるで無くなり、静かな山旅気分を味わえる。筆者は振子沢を滑走中、派手に大クラッシュ。体勢を立て直すべくスキー板を外し、流れ止めを外した瞬間、当然ながらスキー板は勝手に滑って行くではないか。遥か下方でスキー板を無事確保して、一安心。スキー板を流した本人は1本足滑走で、本日の体力と集中力を大量消費してしまった。
振子沢から、やっとの思いで、蓮華温泉に到着(13:00)。ここで、体調が万全でない木村ゆかりさんは湯治と決め込むことになった。蓮華温泉に山行に不要なもの+木村ゆかりさんを残して、兵馬の平―瀬戸川―ひょうたん池―白高地沢へと向う。
蓮華温泉から兵馬の平間はシールを外すべきか、装着したままで向うべきか悩む所だ。兵馬の平から瀬戸川通過地点までは意外と急斜面が続く本日最後の滑走だが、雪が悪く爽快感は味わえない。瀬戸川を渡り、本日の最後の登り、ひょうたん池に向う。この辺までくると、先行者のトレースはほとんど見当たらない。
山スキーのメジャーエリアである蓮華温泉も、朝日岳方面は時間も掛かることから、一般には敬遠されがちなのか? そんな所を求める我々もかなり物好きか? ひょうたん池まで標高差にして200m。1時間以上かけて登りつく。あとは、テントサイトを見つけるだけ。
2001年に村上さん・金井さん・土屋で初雪山に向った時と全く同じ場所にテントを張る。今日の夕ご飯は、村上さん特製の親子丼。半熟卵が食欲中枢をくすぐる。

22日(土) 白高地沢―朝日岳―赤男山との鞍部―赤男山の北西面の夏道―雪倉岳との鞍部―雪倉岳―蓮華温泉(泊)
夜中は快晴だったが、いつの間にか高曇り。明け方、狐の遠吠えに起こされ起床。今回の山行最大の登りである朝日岳へ向う(06:30出発)。筆者は、本日も調子が上がらず、村上さん矢本さんに置いてかれ気味。朝日岳の北東面はとにかく広く、きれいな斜面が延々と広がる。滑走したら気持ち良い事だろう。
朝日岳山頂到着(10:30)、今回の山行の最低ノルマは達成したことになる。ここで、栂海新道から初雪山へ向う矢本さんと別れ、我々は雪倉岳へ向う。地図上では、雪倉岳と赤男山の鞍部(2100m)付近が急斜面である。ここをいかに通過するかが、今回の山行のかぎを握る。朝日岳からでは、赤男山の陰になり観察できない。
まずは、朝日岳から赤男山との鞍部(2040m)への下降。心身ともに疲れさせられた。低木が一面に生えているであろう斜面は、固い雪が激しい凹凸を作り出して固まっている。村上さんでさえ下降には苦労させられていた。赤男山の西面の夏道も、うまくトレースすることができない。地図上では小さな起伏だが、実際にはスキー滑走を阻むには充分すぎる起伏である。
赤男山と雪倉岳の鞍部(2060m)にどうにかシールだけで登り返す(14:00)。鞍部から雪倉岳の取り付き地点をじっくり観察する。北西斜面は急過ぎて太刀打ちできそうに無い。北斜面の夏道周辺なら、シールとクトーだけで行けそうだ。あとは、ひたすら、頂上目指して残り少ないパワーを振り絞る。
雪倉岳山頂到着(16:00)。朝日岳から雪倉岳を踏破することにより、村上さんの山スキーによる白馬岳以北後立山連峰主稜線全線制覇が成された。おめでとうございます。
いよいよお楽しみの雪倉の大滑降といきたい所だが、雪が良くない。荷物が無ければジャンプターンで対応できそうだが、テント山行装備ではまるで歯が立たない。本日は連休の中日であり、天気も終日安定していたので、雪倉岳登頂パーティーは相当数いたことであろう。しかし、我々より充実したパーティーは無かったはず。瀬戸川通過地点までは、時間的にはあっという間である。やっとの思いで、倒れ込むように蓮華温泉にたどり着いた(18:00)。
木村ゆかりさんが心配そうに我々の帰りを迎えてくれた。ゆっくり温泉に浸かりましょう。行動時間約12時間はやはりきつい。

23日(日) 蓮華温泉―天狗原―栂池高原スキー場
 今日もポカポカ。下山だけ、ゆっくりと宿を最終組で出発。天狗原付近までくると相変わらずヘリがうるさい。天狗原も大混雑。天狗原にてこの山行は解散。
土屋は一足先に下山、村上さん・木村ゆかりさんは陽気に誘われ白馬乗鞍へ。