2003年 G/W 北海道 暑寒別岳・利尻岳 個人山行報告
日程 : 2003年4月26日 -- 5月1日(木)
メンバー : 上林裕之(L,記録) 、金井多計子


暑寒別岳山頂

暑寒別岳
4月26日(土) 天候:曇りのち晴れ
羽田 7:30発 JAL503便で千歳空港 9:00 到着。札幌のICI石井スポーツでガスとアルファ米を購入し、ラーメンを食べて 札幌12:00発 特急スーパーホワイトアロー11号に乗り13:02 深川到着。 13:23発の留萌本線に乗り15時 増毛到着。2晩利用する暑寒荘の管理が駅前の多田商店から増毛ユースホステルに変ったことを駅前の観光案内所で知り、電話をすると既に人が入っているとの事。駅前で通りかかった留萌から来たタクシーを拾い暑寒荘まで入る。札幌のICI石井スポーツで、まだゲートが開いていないため小屋まで1時間程歩く必要があると言われたが小屋の前の駐車場まで入れた。
暑寒荘は大賑わいだったが、個室を1つ確保できた。鉄筋の立派な小屋で薪ストーブが燃えて とても暖かい。夕食は豚バラ肉でみそ味鍋。各部屋にマットや布団も有り快適な夜を過ごす。夜は満点の星空。おびただしい数のカメムシとてんとう虫がいて、寝ている間に頭や顔の上を歩き回るのが難点。

4月27日(日) 天候:快晴
5時半起床。アルファ米の朝食を食べて、7時25分出発。快晴無風の素晴らしい天気。夏道沿いにシールで登るが、森林限界まで細かく番号札がついており 全く迷う心配は無いが面白みは無い。
北海道らしいなだらかな尾根を歩いていると、ぞくぞくと後から上がって来るのが見える。
気温が上がり汗をかきかき歩く。森林限界を超え、最後の急斜面にとりかかると急に風が出始めた。11時 1491mの山頂に到着。風が強く結構寒いため長居はできず、直ぐに滑走の準備をして11時20分滑走開始。最初の急斜面を快適に滑るが あっと言う間に終わり、あとは尾根沿いにゆるい斜面を夏道沿いに滑ると
1時間程で暑寒荘に到着。以前から行きたかった山だがちょっと物足りない面もあった。明日の朝出発の予定なので、余った時間をお茶を飲みながら過ごす。今晩は我々の他は札幌から来た1パーティーのみで静かな夜を過ごす。夕食は豚バラ肉でポン酢味鍋

利尻岳
4月28日(月) 天候:曇り
5時起床。行きに乗った留萌のタクシーに7時に迎えに来てもらい増毛に戻る。7時46分の留萌本線で深川に出て、宗谷本線の特急スーパー宗谷1号に乗り換えて稚内へ。稚内まで約4時間の旅だが車内が異常に暑く気分が悪くなる程。稚内に13時28分到着。宗谷地方は強風波浪注意報が出ており、稚内も強い風が吹いている。14時20分の利尻島 鴛泊行きのフェリーに乗る。鴛泊到着15分前に島を見ようと甲板に出ると、強風で体が飛ばされそうになりあわてて船内に戻る。16時に鴛泊港に到着するが、板をかついで外に出ると真っ直ぐ歩けない程の強風。タクシーで登山口のある北麓野営場に行き、しばらく登山道を歩いて雪が出てきた標高300m付近でスキーを履き、シールで歩き出す。数日前のトレースを頼りに標高430m付近まで登り、風を避けるために沢の中にテントを設営する。テントに入って一安心するが、明日も強風だと とても森林限界より上は登れないし、天気が確実に下り坂で、日程的にチャンスは明日一日しかないため少し暗い気分になる。夕食はジフィーズの中華丼。就寝前にうそのように風が止み一時本格的に降り出した雨も夜半に止んだ。

4月29日(火) 曇/雪/雨
4時起床で食事を取り直ぐに出発の準備。天候は下り坂で午前中が勝負である。GPSでテント場の位置を確認してから5時50分出発。曇っているが視界は良く、森林限界を抜けると利尻岳の山頂まで望める。気温が低いため雪面が固く、沢状の急斜面の登りですぐにクトーを付ける。シールがあまり効かないため長官山までの急斜面は、沢ではなくやや西よりの尾根経由で登る事にする。風はあまり吹いていない雪も降り出した。尾根上も雪が固いため、帰りに安全に降りる事を考え、標高1130m付近で早々とスキーをデポして歩行アイゼンに履き替えて登る。金井さんはピッケル+ストックで万全の体制。上林はそのままストックのみで登る。目の前に真っ白な利尻岳がそびえ立ち圧巻。これを見ただけでもここまで来た甲斐があった。雪面も固く下から見上げる利尻岳はととても頂上までは行けそうにないように見える。8時25分 長官山 1218mに到着。尾根を少し下って、長官小屋を過ぎると本格的な急斜面の登り。長官小屋から上の斜面の雪が思った程硬くなく、数日前のトレースをたどり12本爪アイゼンの前爪を使いどんどん高度をかせぐ。天候は下り坂で視界もだんだん悪くなるが風がほとんど無いのが幸運。途中で山頂まで行けるのでは と期待感が頭をよぎる。10時 雪が降りしきる利尻岳の山頂(北峰)1719mに到着。視界はほとんど無いが念願がかない本当に嬉しかった。天候が急変すると怖いので写真を撮って直ぐに下山にかかる。滑落すると本当にやばい個所も何箇所か有るため、下りは登りよりはるかに神経を使う。数歩でアイゼンのかかとの部分に雪が詰まりアイゼンが効かなくなるため2-3歩毎に雪を取るのが煩わしい。急斜面のかなりの部分を後ろ向きになってアイゼンの前爪を使い、スコップをピッケル代わりに雪面に刺してクライムダウンした。長官小屋までの標高差500mを約1時間で一気に下って一安心。長官山を登り返してスキーデポ地に到着。いよいよ最後のスキー滑走だ。樹林帯に入ると携帯電話が通じない事を確認していたため、鴛泊の富士ハイヤーに電話して北麓野営場までタクシーを予約しようとするが、なんと下山中に予約は受け付けないという。北麓野営場の少し上の甘露泉で繋がるはずだから、そこで電話してくれと押し切られた。北海道の最北端の島で なんと冷たい対応だと思い、怒りが込み上げる。12時滑走開始。朝はかちかちだった斜面の雪が少し緩み、上に新雪が数cm積もって快適な斜面になっていた。森林限界あたりから雨に変わる。森林限界まではフィナーレを飾るにふさわしい滑走ができて大満足だったが、これで気がゆるみ テント場よりも150mも下まで下ってしまい、雨の中シールで登り返すはめになる。テントをたたみ汚れた沢の中をどんどん下って甘露泉に到着してここから板を担ぐ。携帯電話は繋がらず、氷雨の中フェリーターミナルまで約1時間歩くことになった。ザックの中まで雨がしみこみ、濡れ鼠のような状態で15時30分鴛泊港のフェリーターミナルに到着。1712mの山頂から海抜0まで下った事になる。16時20分の稚内行きのフェリーに乗り、ビールで乾杯して喜びを再度噛み締めた。この日は稚内で一泊し、翌日電車とバスを乗り継いで札幌に移動し、ススキノで打ち上げをして旅を終えた。移動が多く正味3日間だったが念願がかない、充実した山行だった。