八幡平深雪講習会(会山行:村上グループ)

日程:平成16年1月10日〜12日(2泊3日)

村上グループ参加者:村上リーダー、成瀬、猪俣、池田、佐藤(直)、野村(記録)、山本、ゲストK氏 計8名
宿泊場所:八幡平ロッジ(旧八幡平観光ホテル)
積雪量:例年よりすくないとのことであったが、滑るに不都合なし

<概要> 昨年に引き続き村上さんをリーダーとして、八幡平スキー場をベースに深雪講習会が行われた。当初の予定を上回る18名もの参加希望者が集まったため、村上・石黒の2グループに分け、それぞれのスケジュールに基づいての実施となった。中日は生憎の天候となり、今回のメインテーマである八幡平スキー場トップから茶臼岳を経由して八幡平を往復するツアーは茶臼岳止まりとなってしまったが、私はラッセルの経験も初めてなら、深雪・新雪での滑降も勿論初体験。その上、温泉と美味しいお酒付きの三日間に大満足の山行でありました。以下村上グループの概略を報告致します。

<山行報告>

1/10
新幹線組は東京6時56発こまち一号に乗車。9時26分に盛岡に到着する。途中車内の緊急ボタンを押した乗客がおり、盛岡到着が4分ほど遅れた。盛岡からは村上リーダー手配の小型バスにて15名が八幡平スキー場に向かう(他はバス組、マイカー組)。約1時間強でスキー場到着。早速ホテル内の無料休憩室にて着替え、スキー場に赴いた。村上グループ8名はパノラマコース、稲妻コース、チャンピオンコースを滑って、ゲレンデ内食堂で昼食の後、茶臼岳までのツアーに向かった。ルートは明確で迷うことはない。ポイントポイントにオレンジ色の道標板があり、道標は3番から始まり茶臼岳下にある茶臼山荘避難小屋が80番となっている。小屋からは茶臼岳を西側から回り込んで登頂し、その後登った道を戻り、茶臼山荘避難小屋の東南斜面を恵比寿沢に向かって滑り込んだ。続いて右岸に沿って下り、恵比寿沢を越えて八幡平アスピーテラインに合流、八幡平ロッジに戻った。深雪初体験の小生は滑り込んで転び、止まって転びの連続であった。特に稜線直下及び沢床手前の急斜面では一瞬腰が引けた。こうなると転倒の連続である。この三日間で何とかなるのだろうか。不安がよぎる。ホテルの外扉を押し入るとツーンと硫黄の臭いが鼻を突いた。硫黄硫酸塩の温泉が汗と雪とで冷えた体を待っていてくれた。入浴の後は18名合同の夕食。持ち込みのワインやお酒で大いに盛り上がったことは言うまでもない。続いて村上スキー講義が開催され充実の一日を終了した。外は吹雪模様。

1/11
昨夜からかなりの風と雪。吹雪に近い様相である。ツアーは無理とのことでゲレンデスキーに変更となったが、更に変更となり村上グループの内6名は茶臼岳までのツアーに向かうこととなった。茶臼岳ツアーチームに石黒グループから曽我部さんが参加し計7名。ゲレンデグループは成瀬さん、山本さん、ゲストのKさん。茶臼岳ツアー組は第三リフトが止まっているため、9時50分、第三リフト下からシール登高を始めることとなるが、途中でリフトが動き出した。第三リフトトップの大黒森をスタートしたのが10時20分、昨日からの激しい降雪でトレースは無く、ラッセルとなる。おおよそ20〜30cm位の積雪量だが深いところは膝あたりまで積雪がある。避難小屋まで交替でラッセル、ちょうど全員が三巡したところで茶臼山荘避難小屋に到着した。途中恵比寿森は11時、避難小屋到着が12時10分であった。避難小屋内では先着者が薪を焚きつけようとして悪戦苦闘、煙が充満しており、とても中に入っていられない。やむなく小屋外で昼食とした。気温は小屋の中でさえも−10℃。風が強く凍てつくようだ。昼食後のここからの下りは昨日と同じルート。果たして昨夜の村上スキー講座の成果が出るか。気合いを入れてトライするがどうやら付け焼き刃は役に立たないらしい。転んでも痛くないのがせめてもの救いと言わざるを得ない。滑降開始が13時10分程、ホテル到着14時50分。その後ゲレンデで多少滑って、温泉に直行。雪景色を望めながらの露天風呂が何とも言えない。首から下を温泉に浸け、降りかかる粉雪と冷風に顔を冷やしながら入っていると何時までものぼせずに長風呂が出来る。久しぶりにゆっくりと温泉浴した後の食事までの時間はまたまた持ち寄りのお酒で大いに盛り上がってしまった。

1/12
8時40分ホテルスタート。パノラマコース、チャンピオンコースを滑って、本日も茶臼岳を目指す。本日のメンバーは村上、成瀬、猪俣、池田、佐藤(直)、野村、ゲストK氏の7名。大黒森スタートはほぼ昨日と同時刻、昨日の荒天は収まって、青空がのぞき出している。それ故大勢のスキーヤーやらボーダーやらが既に山に入っており、しっかりとトレースが出来て、ラッセルは皆無で済んだ。恵比寿森10時45分。ここから茶臼岳にかけて広がる樹氷がおりなす景色はすばらしい。あーこれぞ山スキーの醍醐味!つい一人で悦に入ってしまった。この後、歩みの遅いボーダーの一団に直ぐに追いつき、追い抜かずに一服した。避難小屋着は11時30分。小屋には先ほどの10人ほどの先客あり。小屋内の混雑を避けて本日も外で昼食とした。食後小屋内の先客とスタートが重なった為、我々は出発をずらして彼らを見送り、入れ替わりに小屋に入り10分ほど小休止、出発は12時10分となった。今日の小屋内温度は−4℃。茶臼岳頂上には東側から巻いて登った。参考までに茶臼岳は東から登るのが正解。西側はハイマツが多くスキーを履いても脱いでも苦労した。

最終日の村上グループ。もうじき茶臼岳です。山頂からの滑降開始は12時30分。東側のトラバースしてきた下のまっさらな斜面を滑り降りた。ヤッホー!ウッキャー!と奇声を上げて滑降する若者の声が避難小屋に着いた時に聞こえたが、彼らの気持ちがよく分かる。この三日間で本日は最高の雪質だ。舞い上がる粉雪に一瞬前が見えなくなった(私の場合は転んで舞い上がった雪で前が見えなくなると言う意味である)。この後、茶臼岳から東南に延びる尾根に登り返して、尾根コースに出て、八幡平アスピーテラインに下る斜面を東に下り、昨日と同じルートの恵比寿沢右岸に合流した。茶臼岳からの東南尾根に登り返した地点から岩手山を眺望してのティータイムは最終日の慌ただしさを忘れさせてくれる至福の一時であった。この後恵比寿沢沿いに右岸を滑り、アスピーテラインに出てからホテルに戻る帰路はこれまでと同じである。ホテル到着が途中ゆっくりの休憩時間を含んで14時であった。ゲレンデで数本滑り、露天風呂で最後の汗を流して16時10分のバスに乗り込んだ。盛岡到着は途中渋滞もあり17時50分となった。 盛岡駅では直帰グループ以外は恒例のぴょんぴょん舎にて盛岡冷麺と焼き肉で腹を満たし、最終組は20時39分の新幹線乗車で東京11時08分着となった。ご参加の皆さんがそれぞれに充足し、タップリと満足された三日間であった。ランドネー入会初参加の私にとっても、村上リーダーから適切なスキーのアドバイスを頂けたり、深雪の経験を得られたりとやはり実り多い貴重な山行でありました。
以上


八幡平深雪滑走練習会(石黒班)

日時:2004年1月10〜12日

参加者:石黒(L)、合田、曽我部、大竹、錦織(記録)ゲスト4名
気温:岩手松尾のアメダス日平均気温、積雪:スキー場公表値を参考値として用いたため、実態とは異なる部分もある。

行動内容
10日 晴のち曇り夕方より雪 気温−5度 積雪140cm
自家用車組以外は9:40に盛岡駅前からチャーターバスに乗り11:00に八幡平スキー場着。
ゲレンデ滑走で足慣らしをした後、14:00から村上班と茶臼岳へ登行。
14:00大黒森〜15:30茶臼山荘〜15:40滑走開始〜16:20下山(曽我部)〜17:00下山(石黒)
山荘付近でパーティーを2つに分け石黒、合田とゲストグループは南東への尾根通しのコース、曽我部、大竹、錦織は恵比須沢へ下るコースを滑走。頂上付近は強風・視界不良。山スキーに不慣れなゲストを擁す石黒班は難渋し、17:00頃に下山。

11日 雪/風強し 気温−3度 積雪 140cm
前日夕方からの降雪で朝にはゲレンデでも40cm程度の新雪が積もった。10日のメンバーの様子から悪天候での入山は無理と判断し、終日ゲレンデ滑走。午前は石黒が山スキーに不慣れなゲストの滑走指導、村上班と共に茶臼岳へ登行した曽我部以外の他のメンバーは自由滑走。午後は石黒クループを含めて主に第2リフトの裏コースで深雪、林間滑走練習。

12日 晴 気温−1度 積雪 140cm
午前と午後に一回づつ茶臼岳への登行と周辺滑走。9:10大黒森〜10:20茶臼山荘〜10:40滑走開始〜11:45下山
登行ではラッセルが予想されたが、茶臼山荘からの下山者がありトレースは出来上がっていた。全体に雪はかなり締まっており、弱層テストでも安定*していると判断され山荘付近から恵比須沢へ降りるコースを取った。上部では締まった雪の上に薄く新雪が乗っている状態、沢底付近では新雪がかなり堆積しており、初心者も新雪&深雪滑走を楽しむことができた。
12:30大黒森〜13:50茶臼山荘〜14:10滑走開始〜15:00下山
午後の滑走を辞退したゲストのM氏以外のメンバーで登行。尾根通しのコースを取ったが、晴れていたため雪は部分的にクラストし始めていた。ショベルコンプレッションテストで指先を使い肘から先の力だけで5〜10回たたいたら雪柱が破断する程度

成果
* いろいろな意味で天候に恵まれ、11日にはゲレンデでも繰返し深雪滑走練習ができ12日には好天の中、茶臼岳周辺で山スキーを堪能できた。
* 練習会の直接成果とは別にゲストに2003年1月に西吾妻で遭難し3日後に救出された経験を持つ方がおられその貴重な体験談を聞くことができた。

反省と課題
* 山行計画段階からゲストを含む参加人数の関係で村上、石黒の2グループに分けたが、10日のツアーで石黒班ゲストが滑走に予想以上に苦労した。結果として一部会員に過重な負担がかかったことや、ゲスト1名が11日朝で練習会を離脱する事態となった。今後、ゲストの会山行への参加受入れ方法(人数、力量の見極め、会とゲストでの山行に対する認識の相違など)に課題を提起した。
* シーズン初めということもあり装備品の整備、調整不足が散見された。初めて使う重要装備はゲレンデで事前にテスト、慣熟しておくことの重要性を強調したい。

費用概算
宿泊費(リフト券付、ビール実費含む)10千円/泊
往復交通費(盛岡〜八幡平の往復バス運賃含む)18千円(夜行バス)〜25千円(新幹線)
記録:錦織