黄金週間東北山行(平成17年版)

平成1752日〜7

山域:鳥海山、湯殿山

メンバー:木村彰(L)、早川、小久保、野村、佐藤(由)、関、藤城夫妻、島田(会友)

 

緒言:今年も鳥海山にやってきた。三年連続。早川氏も三年連続、佐藤氏、野村氏、島田嬢も二年連続だ。今年は全員が千蛇谷を山頂から獅子が鼻までの鳥越川コースの完走を希望している。多雪だった今シーズンは確かにねらい目だ。昨シーズンのように2時間以上のスキーを担いでの歩きは必要ないだろう。

52日(月)晴れ

東京を4グループに分かれて出発。電車組、日中出発組、夕刻出発組、真夜中出発組だ。週間天気予報では、今年も天候には恵まれそうな気配だが・・・

 

53() 晴れ 大平コース

参加者:全員

大平駐車場9:00・・・御浜小屋11:00~12:00

(早川、藤城夫妻、島田)----大平へ

(他の五名)・・・七五三掛12:30~12:45----鳥海湖・・・----大平

 

8時、「道の駅鳥海」に集合。今回のメンバー9名が顔を揃え、車3台を連ねて鳥海ブルーラインを疾走する。日本海に春霞がかかり、今日の天気は良さそうな気配。

 9時、大平駐車場より登行開始。急登を終えた後、930分より15分間の休憩を入れ、11時御浜小屋到着。風も無く暖かい春の日和だ。

 12時、明日の1千蛇谷滑降の偵察隊(木村リーダー他4名)と二班に分かれて行動開始。折返し班は早川リーダーを先頭に島田さん、藤城の4人は、明日の体力温存のため(?)そのまま登行コースを滑降する。たった30分のあっけ無い滑りだった。途中、島田さんがコンパス確認し「方向はもっと左」と注意しくれたが、記憶に頼って滑降をしたため方向が300mほど鉾立寄りにずれてしまった。よって、道に降りるにも雪壁の段差にひと苦労するとともに駐車場までかなり歩くはめに....大平山荘で待つこと1時間半。偵察隊と駐車場で合流して宿へ。

 鳥海山を背に田んぼの真ん中に建つ「鶴泉荘」は秋田弁が飛び交う、のどかで小奇麗な町営の温泉宿だ。部屋は、3部屋で”いびき部屋”を特設した。

5/4の準備をする。木村、野村、佐藤、関、小久保さん各氏は、中島台へ車を回送しに。他の4名は、食材の買い出しに行く。今回は夕食だけ宿に食事を頼み、朝・昼分は自分達で準備する計画である。

 明日の昼食の「おにぎり」も各自好みにニギリ、宿の食事には12食足し増して6時より夕食。料理も酒も自由に持ち込みOKというおおらかさが嬉しく、汗をかいた後のビールの美味なこと!下戸にはわかるまい。(木村さん、早川さんごめんなさい)明日の山行行程ミーティング後、酒屋の親父さんがお勧めの銘酒”潟の松風”という酒によって話がはずむ。

 「食事担当者がその仕事をするのでなく、全て均等に全員に割り当てするのがランドネの掟です」というリーダーのお言葉でしたが、ナメクジ登行の身には割り当てなどとてもとても恐れ多くて...というのが本音。次回からは、胸をはって仕切れるようになりたいと思います。(記録:藤城弥栄子)

 

54日(水) 千蛇谷コース(曇りのち晴れ 所により一時霧 稜線は強風)

参加者:木村(L)、佐藤、藤城茂、藤城弥栄子、早川、野村(写真)、関、島田、小久保(記録)

行程:鉾立7:45・・・御浜小屋10:0011:20・・・千蛇谷2050m付近13:3014:00---鳥越川970m付近14:4515:00---獅子ヶ鼻600m付近1530・・・獅子ヶ鼻1645

 

前日に下山口になる中島台と獅子ヶ鼻を車で下見をする。また偶然下山してきた登山者の情報を元に、獅子ヶ鼻を下山口に選定。車を一台デポしておく。

鉾立から大平方面に少し進んだ駐車帯1084m付近からスタート。天気は曇りで、風がやや強い。河原宿を越え稜線にあがると風がかなり強い。頂上付近はガスでまったく見えない。ところが、歩き始めると、こちらの我々もガスに覆われ視界は15mほどに。風もかなり強く、踏ん張らないと飛ばされてしまう。御浜小屋で待機することに。

ガス・強風の中、御浜小屋着、しばらく待機することに。小屋内は風はないが、結構寒い。待機のタイムリミットになると、風は強いがガスも途切れ途切れになり、出発することに。扇子森を北から巻いて七五三掛を目指すが、風が強そうと言うことで、扇子森を周りこんだところから千蛇谷の出口へと降りることにする。急斜面トラバースを行うが、滑落者が3名ほど(私も少々)。が、サラサラと表層とともに落ちるが下は岩もなくU字型なので落ちても安心。千蛇台1600m付近にとりつくことができた。

登行のタイムリミットを14時に設定し、各自で千蛇谷内を登れる所まで登ることに。ここからは単独行動になる。相変わらずのガスで周辺の景色がわからなかったが、たまにガスが取れると、断崖がずっと続く。これが外輪山。まるで、グランドキャニオンの谷の中。スケールが大きいので、あそこまで行ったら休憩の、「あそこまで」がなかなかたどりつけない。2050m付近でおなかがグ〜となり、時間も残り30分なので、自分でむすんだおにぎりを頬張る。風はあるが、いつの間にかガスもとれ、すばらしい景色を見ながらの食事は最高。しばらくすると残りのメンバーもあがってくる。

お待ちかねの滑降。はっきり言って、スケールが大きい、千蛇谷はでかいでかいでかい!谷川の万太郎も大きかったが、こちらも大きい。それに難度はこちらが易しいので気はかなり楽。雪質も、いい感じの雪で文句なし。

鳥越川に沿って滑り、930m付近で大休止。風もなくなり春の一日。振り返ると鳥海山の大きさに圧倒される。あそこを滑ってきたのかと思うと、感激。

休憩地点から先はほとんど平坦な樹林帯に入り、ルート取りが難しいが、木村リーダーの読みで、先へ先へと進む。ついに、ラスト1kmのところで雪もなくなり、楽しい滑りともお別れ。板を担いで赤テープを追って歩く。雪を踏み抜いたり、板を枝に引っかけたりと苦労しながら無事に駐車場に到着。昨年よりは下まで滑られたので、倒木地帯の歩きもなく、徒渉もなく楽だったとのこと。

私は初めての鳥海だったが、木村さんが長年鳥海に通う理由がわかった気がした。遠くから見る鳥海もすばらしいが、登って滑ればさらなる魅力に取り憑かれる。まだ鳥海に行ったことがない人は、是非!!(記録 小久保)

 

5月5日(木)祓川から鳥海山(七高山)往復  天候 曇

参加者:7名 L木村、早川、佐藤、小久保、野村、島田、関(記録)

行程:祓川ヒュッテ8:15……七ッ釜避難小屋9:20……七高山11:3012:00──

   祓川ヒュッテ13:00

 朝7時、急用で帰京する藤城夫妻に見送られ、宿舎を出発。45分程で祓川駐車場に到着。8:10島田さん、野村さんを先頭に出発。七高山が真正面にドーンと雄大に聳える斜面を登高。30分ほど登り、岳樺の下で小休止。日本海が茫洋として広がり、男鹿半島の寒風山がうっすらと望まれる。そこから40分弱で9:20七ッ釜避難小屋に着き、大休止。風強まり各自1枚羽織る。

  10:15名水の湧く氷ノ薬師に到着。雪の下より水音響くが飲めず。そこからは急斜面なのでクトー登高。俄に左前方稜線上に五色の虹現れて、皆歓声を挙げる。上端が淡いピンク、下端が水色で美しい。更に登り詰めて、11:30七高山到着。強風。真向かいに新山、左手に月山、前方遙か彼方に日本海、飛島がうっすらと望まれる。昼食、記念撮影。

 島田さんがクトーを落としたので一足先に探しに下る。12:00滑降開始。ビデオ撮りに早川さんいち早く滑走。ザラメ、シャーベット、アイスバーンなど入り交じった大斜面だが、思いの外スキーが走る。皆、ビデオに向かって思い思いに滑走。クトーを捜しに行った島田さんが笑顔で戻り、再び全員大滑走。登って来るスキーヤーがみな我々を振り返る。気分爽快。木村さんと早川さんの滑りは切れ味よく華麗。

 12:45駐車場が見えだした地点で小休止。そこからペアでビデオに向かって滑走。何故かどんどんビデオから逸れていくペアに、木村さん慌てて大声で叫ぶが効果なし。皆大笑い。いよいよゴール間近、下でビデオを構える早川さん目掛けて、最後は木村さん先頭にエンデングトレーン、ピタリと決まる。これが鳥海山行恒例の締めと木村さんの言。

  今日は、滑走を充分に楽しむことが出来た。祓川コースの長所は登り返しがないこと。鳥海山はまさに山スキーの宝庫だ。帰路、山菜を摘み、水芭蕉を愛で、鳥海の雄姿を撮りながら、3時頃鶴泉荘に戻る。夕刻、小久保さん帰京。

5月6日(金)月山姥ケ岳より湯殿山縦走 天候 曇

参加者:5名 L木村、早川、佐藤、野村、関(記録)

行程:月山駐車場10:30…… 姥ケ岳山頂11:30装束場12:15……湯殿山頂

   13:40ブナ林入り口ネイチャーセンター着15:05

7時30分鶴泉荘を辞し、帰京する島田さんを象潟駅に送り、道の駅ふらっとで昼食を調達し、一路月山へ。途中明日の雨を予測し、予定を月山往復から湯殿山滑走に変更する。9:30ネイチャーセンター着。早川車を置き、木村車で月山駐車場へ。10:30駐車場を出発。月山リフトを降り、シール登高で11:30姥ケ岳山頂着。山頂よりルート望見し、金姥を通らず装束場に直行と決まる。昨年も経験している野村さんが、今年は予想外にブッシュが多いと驚く。スキーを担いで這松帯を藪こぎした後、装束場へ滑走。行動食等補給。

  12:20クトーを着けて急斜面にアタック開始。やがて密生する篠竹の藪に行く手を阻まれ、スキーを担いで突破を図るが、わずかな距離にも拘わらず、地を這う篠竹が滑るので登れない。難行苦行の末私達4人が抜け出した時には、木村さんはすでに稜線に立っていた。藪の下を迂回して登り返したと言う。さすがリーダー、ルートファインデングに長けている。一同脱帽。

 2度の登り返しを経て、13:40湯殿山頂到着。強風。大斜面見渡す限り縦状に溝が無数に走り、異様なシュカブラが延々と続いている。雨の後、山上からの強風が削った造形なのであろう。意を決して跳び込んだが、硬軟織り交ぜたシュカブラの凹凸に飛ばされて思うようには滑れない。さすがの木村さんも早川さんも手を焼いている様子。懸命に踏ん張りつつぶな林の入り口まで滑って来て休憩。雪さえ良ければ素晴らしい斜面なのにと昨年と比べては野村さんが嘆く。

 ぶな林は嘘のように無風で静まり返っている。薄日差し、木々の影が雪面を這う。遠くから沢音が響く以外には何の物音もない。眠くなるような憩いのひととき……。間もなくブシ沼らしき上を渡り、ぶな林の下りでビデオに収まり、石跳川の渡渉点を渡り、清冽な流れと新緑の芽吹きを愛でつつ沢沿いに下って、15:05ネイチャーセンター到着。15:35月山荘に到着し、風呂に入りビールで乾杯。そして、東北山行の夕食を赤ワインで飾った。総じて、東北山行は昨年より良かったという皆さんの評。雪と斜面と同行者に恵まれた楽しい東北山行でした。

 同行の皆さん、大変お世話になりました。また、ご一緒させて下さい。

 

57日(土)雨

予報どおりの雨。強い雨ではないが、ほぼ全員すでに帰京に心が固まっていたようだ。途中、国道112号沿いにある水沢温泉(300円)に入浴して、一路東京を目指してかえる。早川氏は仙台へ。

 

まとめ:

     千蛇谷での滑落はリーダーの指示ミス。シールを取って、斜滑降で降りればなんら問題なかったはず。千蛇谷への下降は、扇子の森からの下りと七五三掛へののぼりの暗部、七五三掛、文殊岳直下の地点の三箇所を考えていたが、昨年は文殊岳、今年は、扇子の森の鞍部から下降した。どうも、七五三掛のトラバース地点の状況が、昔ほど、容易ではないような感じだ。気のせいか?

     天候には必ずしも恵まれなかったが、一応、主だったコースは滑ることができた。すべりの足並みが揃っていたのが幸いしたようだ。千蛇谷の日は、麓は晴れていたが、山の中は強風と濃霧。コース取りが特別困難でなかったので、決行した。

     千蛇谷の下部は、予想とおり、今年は雪が多く、昨年通過に苦労した倒木地帯もスキーで難なく通過。そのあとは、昨年とは異なり、川沿いのコースを取らずに遊歩道に出た。そのため、鳥越川の渡渉または壊れかけの橋を使うことなく下山できた。歩きは40分くらいで済み、車の回収もその日のうちに出来た。

     湯殿山は姥が岳からより、直接、南面を上るほうが効率良いように思う。リフトの時間に制約されずに出発できるし・・・姥が岳から装束場への下りの雪が以外に少ないのにはびっくりだ。また、今年は、南面の大斜面が洗濯板になっていて、すべりが楽しめなかったのが残念ではあった。(木村彰記)