2006年2月 吾妻三山縦走 会山行報告

1月31日(水)

21:30東川口駅・・0:40庭坂駅着

各人夫々の理由があり(南武線信号機故障、財布の忘れ物)当初の予定より若干遅れて曽我部車の待つ東川口駅に集合。近くの大型ショッピングモールで明日の糧を仕入れ今日のねぐらとなる庭坂駅に出発。庭坂駅ではシュラフを広げ早速宴会が始まる。
Druggistは各人の病状を聞きDrugとMultivitamin Pillを配り、これからの長い行程に備える。体調に不安を抱えるReporterは早々に就寝。


2月1日(木) 天候:風雪のち曇り

7:17JR庭坂駅発・・7:50JR関根駅着・・7:55関根発(タクシー)・・8:20天元台着・・10:00天元台スキー場リフト終点発・・10:50中大巓・・11:40凡天岩・・12:10西吾妻山・・15:50標高1580m・・16:05中津川着・・16:40幕営地(標高1610m)

快適な庭坂駅を後に天元台に向う。天元台は風と雪。積雪量はかなり少ないが去年と同様の小雪で視界不良のなか、順調に中大巓・梵天岩を越え西吾妻頂上を踏む。先ず一山。西吾妻より梵天岩とのコルに戻りシールを外す。
崖を避け北東に1850m付近まで下り、東に向きを変える。西吾妻東面は風も無く穏やかで、標高1900mの斜面で、つかの間の深雪パウダーを味わう。中津川渡渉地点の栂森と東大巓の鞍部から出ている沢と中津川の合流地点を目指しほぼ真東へ下る。昨年よりはスムーズに中津川に降り立つ。
中津川でプラティパスに沢水を満タンにし30分ほど登った所を今宵の居と定める。夕方大きな月が昇る。


2月2日(金) 天候:曇り時々晴

8:25幕営地発・・11:15標高1807m・・14:50中吾妻・北鞍部より中吾妻登高開始・・16:00中吾妻着・・16:20中吾妻山頂直下より滑走開始・・雪崩発生・救助16:30−16:50・・大倉川19:45・・谷地平小屋着20:50

今山行のMain Eventである中吾妻に向け出発。標高1807mより栂森東面をトラバース気味に中吾妻北鞍部に向う。深雪のラッセルにバイトを強いられるが、疲れを知らぬMr. & Mrs. Trail-Breakerはトレールを力強く切り開いていく。
さすがに栂森から中吾妻は長い。雪帽子をかぶったシラビソ、栂の幻想的な樹林の中を粛々と進む。時折青空が顔を出す。中吾妻山の北尾根は強風地帯のためか潅木が入り組んでおり難行苦行の末漸く中吾妻山頂上にたどり着く。中吾妻山頂は広い。これで二山。

以下雪崩に関する報告は村上Leader記
『中吾妻の山頂についたのは午後4時と当初予定より遅れ、明るいうちに出来るだけ本日の目的地の谷地平避難小屋近くまで行くためすぐ下山にかかった。時間も迫っており、中吾妻・北鞍部に戻り谷地平に向う予定を変更し山頂から直接滑り下ることにした。山頂から70〜80mは無立ち木の急斜面、そこから樹林帯となっている。メンバーのスキー技術に差があり濃い樹林帯の中で暗くなってばらばらになる事を避けるため、先頭はヴォルフさんに任せ私は最後に付いた。
雪崩は最初の無立ち木の急斜面(45度〜50度)に亀裂が入り幅5〜7m 長さ10m位の範囲で剥がれ落ちる形で70〜80m位流れた。その部分を滑ったわけではなかったが、そばの雪面を斬り全体にショックをかけた状態になったようだ。雪崩はちょうど下にいたヴォルフさんを直撃する形になり彼は何回転かしてとまり雪に埋まったようだ。
全身が埋没したが、しばらくして自分で顔面の雪を払い声を出したので位置がわかり、すぐに駆けつけ掘り出した。もう少し大きな雪崩であればもっと深刻な事態になっていたかもしれない。幸いにも怪我はなく、そのあとも滑り降りることが出来た。
雪崩に遭遇した原因は不用意に急斜面を滑ったことにあるが、斜面を見れば弱層テストをする以前にあきらかに起こりうる部分であった。リーダーとしてメンバーに注意を怠ったのが原因。今回のように長い行程では下降を急ぐ余りとは言え、つい斜面に対しての意識が甘くなりがちでそこに落とし穴があることを肝に命じた。』

谷内平に向け中吾妻東面を下る。途中よりヘッドランプを付ける。傾斜が緩くなりシールをつけ鬱蒼とした樹林帯のなかを谷地平に急ぐ。谷地平小屋には大倉川渡渉地点の確認に手間取ったことなどもあり9時前に漸く到着。今宵は小屋の中にテントを張る。昨夜のギューギュー詰めのテントを嫌ったのかDruggistは新品のイスカ・エアーを抱えてテントを出、小屋の隅にねぐらを定める。Reporterこれで快適な睡眠ができると喜んだが、夜中にLeaderに起こされる。何と寝る場所が無いと言われる。確か今夜はDruggistがいないので広いはずだと寝ぼけた頭で訝ったが何とか場所を空けた。どうも、Breakersのマットの所為らしい。彼らは全身用の分厚いマット。LeaderとReporterは半身用の薄いもの。攻め込まれたようだ。


2月3日(土) 天候:晴のち曇り

10:00谷地平小屋発・・13:40姥ヶ原・・15:00東吾妻山・・17:15鳥子平

昨日の疲れもあり谷地平小屋を遅めの出発。今日は天候に恵まれている。登ってきた栂森、中吾妻山がガスの中見え隠れしている。谷地平より沢沿いに前大巓西面を1600m付近まで登り、樹林帯の中を姥ヶ原へトラバース。風も無く去年のことが嘘のよう。
そよ風の吹く明るい姥ヶ原に到着する。木道が出ている。姥ヶ原より東吾妻の北斜面に取り付く。強風地帯のため潅木とシュカブラが目に付く。ここでもTrail-Breakersのお出まし。Reporterはあまり役に立たない。ラッセルを早めに交替し、できるだけ邪魔をしないようにする。登るにつれ勾配が緩くなり、漸く東吾妻山を踏む。皆さんと硬い握手。これで三山縦走完了。
風が強くなってきたので記念写真を撮り早々に下る。頂上より南に下り、1900m付近より東に。今日の幕営地である鳥小平には17時過ぎに到着した。Druggistは今夜も外かと思ったらテントで寝るという。昨夜の話をして場所が無いといったが入ってくる。今夜は荒れそうで耐寒訓練にも最適だしイスカの威力も試すことができるではないかと色々言ったがだめであった。仕方が無いので皆で詰めて端に寝ていただく。

2月4日(日) 天候:晴のち曇り

9:00鳥子平発・・10:15高山・・14:00土湯温泉着・・16:00土湯温泉発・・18:00福島発・・21:40東川口駅着


夜半より雪。さらさらとテントを滑る雪の音に目を覚ます。鳥小平を9時に出発。高山への登り口でトレースを発見。入山後初めての人跡。ありがたや今日は仕事が捗りそう。トレースのお陰で捗ったのは良いがReporterにはペースが早すぎてついていけず。高山頂上は強風。高山南面を少しに下った所でシールを外し滑り出す。
1700m付近より徐々に東に向きを変え標高1458m付近より夏道通りに下っていく。緩斜面もトレースがあるので助かる。902mより夏道を離れ南に下り車道に出る。思うように滑らない車道に苦労しながらも土湯温泉には14時に到着する。何とも長い4日間であった。土湯温泉では、お世話になったLeader、Trail-Breakers、Druggistの奮闘と、今日で還暦を迎えたReporterを祝って乾杯。

(和田 記)