2007年3月 三田原山 個人山行報告

3月10日(土) 天候:

三田原山第3高速リフト終点(10時)より三田原山登頂後(13時)涸沢を滑り笹ヶ峰牧場近隣の京大ヒュッテ(15時)
参加者 : 川久保(L)、村上、猪俣(食当)、中舘(会計)、鈴木(記録)、野村、大西夫妻、ゲスト:本多、町、クリス


成果
1.現地に着くまではザラメの雪を滑る物と思っていたが少々重いものの粉雪であり楽しい滑降であった。
2.京大ヒュッテが素晴らしい、山小屋なんてものでなく別荘である。一階の南側は全面ガラス張りであり高妻山周辺の山々が見える。炊事設備も充分にあり料理の腕がふるえるキッチンである。
3.夜、ヒュッテの明かりを消しベランダの明かりだけで見た風に舞う雪が美しい、幻想的であった。
4.猪俣さんの料理が素晴らしい!勤務先を半日休んで下ごしらえをしてきたそうな。ヒュッテに着いたら直ぐにつまみが何種類も出てくるし、その後のメインデッシュもタイカレー、キムチ鍋それになんと私の大好きな鰻(ひつまぶし)が出てきた。美味しくて11日の朝も含めて食事はこれしか食べなかった。ひょっとしたら私の為にこれをメニューに入れたのでしょうか?
猪俣さん有難うございました。
5.川久保さんがどんなタイプのリーダ-であるのか理解できた。入会早々リーダーを何回かやられどんな人かと興味があったが強権を発揮する事も無くコーディネーターである事。参加者の合意を作り其れに基づき行動決定をする、川久保さんの性格的なものも多分にあり上手くパーティーが回って行く。従ってパーティーは和やかであった。其れでいて危機の際の対応は素早い(蔵王で確認済)。

反省
パーティーとしては何も無いと判断した、以下は私の事柄。
1、シールを忘れてしまった、今後は記憶で準備せず必ずチェックリストに従い一つ一つ行う。
2、生来のおとなしさが有、外人のヴォルフさんクリスさんと全く話をし無かった、同じパーティーで初対面、親睦を計るべきであった。中館さんが平気で喋っているのが羨ましい。

その他
シールについては恐る恐るリーダーにお伺いを立てたところ本多さんが予備として一式持っており貸していただいた。お陰様で何とか皆さんに付いて行けました、来年の蔵王に又参加します本多さんその時に改めて御礼申し上げます。以上

(鈴木 記)


3月11日(日) 天候:

京大ヒュッテ−涸沢左岸尾根−三田原山周辺稜線−涸沢左岸尾根(ピストン)―林道−杉の沢駐車場
参加者:村上(L)、猪俣、大西ヴォルフ、大西希、野村(記録)


一夜明けると視界の中に新雪に飾られた樹林が飛び込んで来た。20cmは積もっている。今日は2コースに別れる。ヴォルフ&茜、村上(L)は三田原山に再度登り、カルデラに降り前山越えて赤倉スキー場に滑り降りる計画だ。東京発食材搬送隊ともいうべき野村車組(猪俣、野村)の選択は揺れていた。行きたい気持ちはあるものの低気圧通過後の荒天を心配して逡巡していた。「この天候と自分の足前ではカルデラは越えられないな。」揺れる気持ちにピリオドを打ってくれたのは、京大ヒュッテの主的存在、杉山茂氏の一言。曰く「今日の雪は軽くて、ラッセルも負担になりませんね」。村上Lに申し出た。「前山越えは止めて三田原山までとして、そこからピストンで滑降したい」。村上Lの了承も得られ、急遽三田原再登隊5名が決定した。
京大ヒュッテ出発(7:30)。林道を笹ヶ峰方向に進む。今朝の登りルートはダケカンバの見事な美林を通る昨日のヒュッテへの直ルートでなく、もう少し涸沢寄りを右岸に沿って登るのが良いというアドバイスを受けてのルートである。目印は雪山賛歌の碑があるとのことだったが、笹ヶ峰高原の看板はあるが碑は無い。もう少し進むが、牧場管理棟が見えるところまで進んで来てしまった。涸沢を越えた可能性も有るが此処から目視では特定し難く、取り敢えずそのあたりから樹林に入った。(7:40)
登り始めると左側の沢地形がハッキリしてくる。涸沢の本沢と特定できないものの、やはり涸沢の左岸を登っているようだ。但し、沢を渡らなくてもこのまま登り詰めれば涸沢上部で昨日滑った右岸斜面と合流することも出来る。降雪直後である。しばらくは沢に降りずに雑木林を登る。やがて1650m付近の凍った滝が左に見えて来た(9:07)。
昨日は沢を下ってきてこの滝の上部で巻いてこの左岸を通過した。今日は沢には降りず更に左岸尾根を登った。段々と木々は太く、間隔が広く、広葉樹と針葉樹の美しい混在林となってくる。新雪は軽く、30cm程の積雪もヴォルフさんは易々とこなしていく。上空を覆っていた雲が取れてきた。青空が広がってくる。風はそれほど無い。1900m(9:50)。2000m(10:10)と快調に登る。
昨日滑った涸沢右岸の尾根も広々とした素晴らしい斜面が続いていたが、この左岸台地も適度な斜度でダケカンバの巨木やシラビソ樹林が間隔をあけて点在しており、実に美しい景観である。帰りの滑りを想像して興奮を抑えきれずにヴォルフさんが叫んだ。この青空!この景色!このパフパフの雪!こんな時は一年に何度も無いぞ。なんて素晴らしいんだ! 猪俣シェフも 本当! 来て良かったぁ! 幸せー! 逡巡していたのが嘘のようだ。それでも登るに連れて下に固いバーン所々あって、シールが滑る状態が出てきた。2150m付近でクトー装着(10:45)。
しかしクトーが必要だったのはホンの一瞬で、その後多少重めになるもののラッセルが続き、11:30稜線に到着した。外輪山の地図上2300mピークと2347mピークのほぼ中間点に出た。いつの間にかガスが出て風も強くなって来た。クトーを装着した頃より天気は明らかに下降線をたどって来ておりゆっくりは出来ない。シールを外し下降準備に入った。それでも稜線から少し降り立ったところまで滑り、適当な斜面を見つけて先ずは各自弱層テストを行った。特にヴォルフさんご夫妻はとても熱心で、積雪断面観察、シャベル傾斜テスト、コンプレッションテストを実施。我々もその見事なお手並みを拝見させて頂いた。それによると上部に昨夜の新雪が乗っておりこれは直ぐに壊れるものの下部はHard以上の強度有りと言うことで適度な斜度で広がる樹林帯の中を滑れば問題は無いという結論。と言うことで、いよいよ待望の本年最初で最後かも知れないパウダーランの始まり。ヴォルフさん先頭に猪俣さん、希さん、と粉雪を蹴散らして滑り降りて行った(12:20)。
まさにツリーラン。足前のおぼつかない小生はそれでも必死に後を追った。村上LがLastを努めてくれるので安心この上ない。昨日滑った涸沢右岸でなく、登ってきた左岸尾根沿いに滑る。深いところで膝下くらいまでのパウダーである。感激!感動!興奮!登って余かったぁー!と言う感じでみんな滑っている。途中広い樹間が密になってきたあたりで涸沢に入って先頭を村上Lに替わった。 沢床はUp Downがあって滑るに非常に疲れる。穴が開いている処もあり、避けて慎重に滑る。凍った滝手前よりまた左岸樹林帯に入り直す。
やはり樹林は密で、(下手くその小生は)横滑り、ボーゲン等で高度を下げる。それでも池の峰に下るルートより遙かに良いとの村上Lの評。やがて堰堤を右に見て下ると京大ヒュッテ〜杉の沢駐車場間の林道に直ぐに出た(13:15)。此処から川久保先発隊が作ってくれたトレースをなぞって駐車場に向かった。行程の半分くらいまでが緩い登り、それ以降は緩い下りである。やがて眼前に唐松林が見えてくるとスキー場に出た(14:48)。此処から駐車場までは15分程度。スキー場を下る。駐車場はスキー場最後まで滑り降りると行き過ぎで杉の沢駐車場の看板を右に見ると直ぐに駐車場事務所脇に出た(16:10)。
最後は杉の沢温泉と隣接の蕎麦屋「そばの花」にて温泉と手打ち蕎麦とでこの山行を締めくくった。思いがけないパウダースノウのプレゼントは京大ヒュッテでの楽しい一夜と併せて素敵な思い出となった。お膳立てをして頂いた川久保さん、村上Lや料理作りに奮闘した猪俣さん等々全てのメンバーに感謝しながら帰途についた。

(野村 記)