2007年3月 乙妻山 会山行報告

3月30日(土) 天候:曇り時々晴れのち雷雨

戸隠大橋(1140m)0645・・林道分岐(1270m)0726〜37・・佐渡山鞍部(1580m)0843〜0910・・佐渡山(1827m)0950〜1008−佐渡山鞍部1025〜53−テント場(1440m)1130

 5時起床で仕度をするが、昨夜の酒が少し残っている。それほど飲んだわけではないが疲れがたまっているのだろうか?午後からの天気予報が悪いので、全員で話し合うが、日帰り案、佐渡山鞍部テント案、乙妻沢出合テント案が出て、各々一歩も譲らず、パーティ分裂の危機?リーダーの「とりあえずテント装備で行けるところまで行く」の一言で事態は収束。
 さあ出発と思うがGPSと高度計が見当たらない。皆を待たせているのであきらめて出発。  なんとか雪のついている林道を辿る。気温は+2.4℃、暑くも寒くも無く快適。黒姫への林道を右に分け、少し行くと小さな沢を渡る。水は少なく問題なく渡渉できる。ここからは鞍部へ向かう沢に向かって右の尾根に取り付く。雪が少なく藪がひどい、登りは良いが帰りが思いやられる。それでも石黒さんのリードでペースよく登り、佐渡山鞍部には大橋から2時間で到着。
 テント装備をデポして、深井が先頭で佐渡山へ。今年に入ってからは忙しさにかまけて1日100歩も歩いていない。こんなに歩くのは久しぶりで疲れる。それでも40分程で佐渡山山頂到着。真っ白な火打山や、これから登る乙妻山が良く見える。
 南風が強いので、休みもそこそこに鞍部に向かう。藪はあるが雪は滑りやすく、あっという間にデポ地へ到着。昼食を取る。この辺は気持ちのよいブナ林である。
 鞍部からはわずかの下りで氷沢川へ。沢が割れているので、通常より上流で早めに左岸に渡る。しかし少し行くと、無情にも流れは左岸に当っている。仕方なくかろうじて渡れるスノーブリッジを渡り、もう一度右岸へ。細短板を履いて体重の重い深井は危うくブリッジを壊す所だった。
 もう一度スノーブリッジを渡り、開けた川沿いを行くと高妻沢の出合いに着く。ここでもう一度協議。雲行きが怪しいのと、乙妻沢出合い手前の急斜面トラバースをテント装備で歩きたくないとの意見が強く、今日はここをテント場とする。
 脇の斜面から雪の落ちてこない開けた沢の中で、風当たりの少なそうな所に2張りテントを張る。水も脇の沢で汲める。テントを張り終え、さてと思った所でパラパラと雨が当たり始める。次第に雨脚が強くなったと思うと、雷がなり始めすさまじい雷雨になる。強い南風で+5.1℃、これでは雪にはならない。仕方なく昼間からの宴会に突入。深井の白菜の浅漬けを皮切りに、上林さんのスプラウトのサラダ、もやしのナムル、スナップエンドウと続く。酒はビールから始まり、石黒さん持参の玉の光、焼酎、ウイスキーと余るほどある。
 雷雨は遠ざかっては近づきを繰り返し、なかなか止む気配は無い。結局雷雨と宴会は10時間続いた(妙高では雷の影響で電話の故障が相次ぎNTT大忙しだったらしい)。白菜一株と鳥、豚肉800gを持ってきて扁炉(ピエンロー)を作った甲斐があった。



テント場にて

4月1日(日) 天候:晴れのち曇り

テント場(1440m)0650・・乙妻沢出合(1390m)0713〜30・・乙妻北東斜(2000m)0932〜0943・・乙妻山鞍部(2230m)1025・・乙妻山(2318m)1045〜1104−昼食(1900m)1127〜56−乙妻沢出合1224〜33・・テント場1300〜25・・佐渡山鞍部1412〜32−大橋1528

5時起床。弱い南東の風が吹き、+5.8℃と快晴で気持ちが良い朝である。荷物の片付けも外で出来るのがうれしい。朝食は扁炉のスープで雑炊を作り食べる。
シール無しで歩き出してすぐに高妻沢を渡渉。水量は少なく問題ない。今回最大の難関の乙妻沢出合い手前の急斜面トラバースは、昨日の雨による土砂崩れがあり板は傷ついたが、これも問題なく通過できた。
ここからはシール装着で乙妻沢沿いに登っていく。途中で過去の雪崩により樹木が折られているのが見られた。南側の尾根からのものと思われるが、かなりの距離と沢を越えてきているのを見ると、改めて自然の怖さを感じる。
1600m辺りから斜度もきつくなるが、地形図から考えていたほどではない。しかし、暑くて昨日の疲れもあり足が重い。途中で弱層テストをする。BT、CT共に結果なし。シャベルシアーテストでは40cmのクラスト面でhardの結果。斜度が増えた分、雨水も排水されていて安定している。
稜線に近づき2100mを越えると昨日降ったアラレが20cmほど積もっている。北東斜面では日当たりがよく殆んど解けかかっているが、日陰ではきれいに残っている。なんとか鞍部に上がり、深井は体力の温存を考えその先のニセ妻(深井命名)までとする。他の4人は乙妻山まで元気に登っていった。 シールを外して気持ちよく下る。ところが気持ちよかったのは1900m迄、あとは悪夢のようなベタベタの重い雪。スキーの名手のリーダーですら苦戦していた。
思いの外時間がかかりテント場へもどり、すぐに撤収して帰路に着く。氷沢川に掛かっていたスノーブリッジは昨日の雨ですでに落ちていた。石黒さん、上林さんを中心に手早く手渡しでザックを運び、問題なく通過できた。
佐渡山鞍部についたのが14時過ぎ。これであとは下りだけと思ったら、これからが地獄の藪スキー。細尾根のうえ、根曲り竹や細木のトラップがいたるところにある。まっすぐ突っ込んでいく上林さんを横目で見ながら、恐る恐る横滑りで降りる。雪の少ない時は鞍部から稜線に登り、もう一本北側の尾根を下りたほうが良いかもしれない。林道に下りてからは楽が出来ると思ったら、雨で雪が解け所々で板を外さないといけない。長い長い林道を歩き?大橋へ到着。
波乱万丈の山行でしたが、結果的にベストのタイミングで行動し、目的の佐渡山、乙妻山共に登ることができました。これもまとまりの無い40代男3人を、強権発令を使ってまとめ上げたリーダーのおかげです。それに、テールを守っていただいた石黒SL、いつも元気な上林さん、登りもスキーもとても達者な大西さん、皆さんのおかげです。ありがとうございました。

(深井 記)


GPSトラック図