2007年8月 大荒川谷 沢登り 個人山行報告

8月18日(土) 天候:曇り後晴れ

入川渓流観光釣り場発(9:15)---赤沢谷出合い着(10:15)---金山沢下降点(12:05)---金山沢出合着(12:25)---金山沢出合発(13:00)---ゴンザの滝着(15:30)---ゴンザの滝上 テント場着(16:00) 行動時間 6時間45分

7時45分に西部秩父駅前に予約した丸通タクシーのジャンボタクシーに乗るために、全員 所沢駅始発の特急に終結。予定通り西武秩父駅でタクシーに乗車して、川又の先の入川渓流観光釣り場で下車 (西武秩父から入川渓流観光釣り場までタクシー代 \11,490円)。
林道はここのゲートでクローズされている。昨日までの都会の暑さがうそのような涼しい気候の中 入川沿いの林道を歩き出す。しばらくして現れた「十文字峠」への標識に沿って左側の登山道に入り、赤沢谷出合まで約1時間の平行移動。古い登山地図や国土地理院発行1/25,000地図ではこの先も入川沿いに登山道が続いているように記述されているが、赤沢谷を渡る橋もここで壊れて道は無い。入川を遡行するか登山道に沿いに行くか協議したが気温が予想していたより低く、入川遡行もグレードが少し高いため登山道沿いに進む事にする。
急登の後 入川とは直角に流れる赤沢谷沿いに進み、いいかげん不安になった所で「十文字峠」方面の標識に従って方向を変え高度を上げていく。入川への下降点は大きな谷を3つ超えた尾根沿いの踏み跡で、予め情報を収集した上でGPSで位置を確認しながら進んでようやく見つけた。ぶっつけ本番では入渓点へのポイントすら判らない所だ。よく踏まれた急な踏み後を下りようやく金山沢出合に到着。ここまで3時間もかかり奥秩父の沢としては長いアプローチだったが、沢の仕度をしてようやく出発。


金山沢出合にて

やはりこの時期 水の中を歩くのは本当に嬉しい。しばらく進むと最初の釜。容易に巻けるが おだてられて突っ込み簡単に突破。次の釜は竹内さんが積極的に泳いで突破して拍手喝采。徒渉を繰り返しながら進んで一目で判るゴンザの滝に到着。我々の技術では歯が立ちそうに無く左岸を大きく巻いて懸垂で川底に降りた。右岸の高台に素晴らしいテン場が有り、予定地より下だがもう16時なのでこの日の行動はここで終了とする。
タープを張り、薪を拾い、食事の支度と全員忙しい。ずっと雨が降っていないため乾いた薪はメタ1個で威勢良く燃え上がり今宵の最大の楽しみを保障してくれる。メインの夕食は阿部さんと竹内さんが「きりたんぽ鍋」もどきの「もち鍋」を用意してくれるが、いつものように猪俣シェフが次々と前菜を作ってくれて持参した酒で乾杯。焚き火を囲みながら最高に幸せな時間を過ごす。どんよりしていた空もいつの間にか晴れて、木々に囲まれた狭い空から星空が覗いて明日の好天を期待させる。
20時を過ぎた頃から三々五々タープに潜って就寝。いつもの様に最後まで焚き火の番をして、酔った勢いで焚き火の横にマットを敷いて寝袋に潜り込んだ。


これをやるために沢に行く?


8月19日(日) 天候:晴れ後、曇り後、雨後、曇り

テント場発(7:10)---小荒川谷出合い(7:45)---二股(10:00)---三俣(11:05)---西破風山(13:40)---ナメラ沢下降点(14:00)---奥の二股(15:30)---ナメラ沢入渓点(17:40)---雁坂トンネル入口(18:20) 行動時間 11時間10分

夜中の1時半頃焚き火が消えて寒くて眼が覚め、うとうとしながら5時起床。再び焚き火を囲んで昨日の鍋の残りにご飯をいれた雑炊の朝食。野菜たっぷりなのが嬉しい。たっぷりのコーヒーを飲み、のんびり仕度をして出発。


テント場にて

しばらく進んでゴルジュの中の2段の滝が登れそうになく左岸を巻く。柳小屋へ続くと思われる踏み後を見つけたが小屋まで続いているのであろうか? ほどなく小荒川谷との分岐でようやく大荒川谷に入る。右岸の高台に良いテント場有り。このあたりから小滝とナメが続き大荒川谷の真骨頂だが、上林のラバーソールの沢靴はこのあたりの岩(特に赤茶けたナメ)と相性が悪く、滑りまくってよろよろしながら進む(99% 靴のせいにする)。ラバーソールの沢靴を履いて3年目だが、岩との相性を極端に選ぶ靴で、相性が悪いと最悪である。竹内さんは実にバランスよく一定のテンポで歩いている。


気持ちの良いナメが続く

中々高度が上がらず時間がどんどん経過するが1590mの二股を超えてようやく1790mの三俣に到着。ここから左俣に入れば稜線まで判り易いはずだが、稜線からのナメラ沢の下降を考えて中俣にチャレンジする。しばらくナメが続くが直ぐに水が切れて急なゴロタ歩きとなる。西破風山の北へ伸びる稜線に続くという踏み跡は見つけられず、上部の荒れたゴロタ地帯を避けて苔むした右岸を登るが、ふわふわしたツンドラの上を歩いているようで歩きにくく、疲労してきた足に堪える。
奮闘のあげく少しだけ薮を抜けて西破風山の北へ伸びる稜線に出て大休止。ここでようやく踏み跡を見つけて西破風山の山頂に向けて最後の苦しいアルバイト。途中から踏み跡も判らなくなるがともかく上を目指してようやく主稜線の登山道に出た。展望の無い西破風山のピークを超えて雁坂峠方面に少し下った2300m付近の鞍部にテープを見つけ、ナメラ沢の下降に入る。
濃い薮を抜けると巨岩地帯で、大きい割りに不安定な岩が重なり神経を使う。こんな大岩を落として当たったら大怪我だ。獣道のようなかすかな踏み跡を拾って どんどん下っていくと徐々に沢の地形となり、水が出始める。水が出てから300m以上下り、ようやく通常のナメラ沢遡行の終点「奥の二股」に到着。この先は2度経験が有り一安心だがまだまだ先は長い。
滑りまくる靴で登りはなんと持ちこたえていたが、この先で3回滑って転倒。中ノ沢との合流直前で雷雨となるが雨は短時間で終わって助かった。中ノ沢を過ぎて最初の左岸の支流を少し登るとようやくナメラ沢の入渓点の橋。林道に出てやれやれと全員と握手。雁坂トンネル入り口まで小一時間歩いてようやくゴール。中々ハードな一日だった。
タクシーではやぶさ温泉に向かう途中凄まじい雷雨となり、入浴後 塩山の駅で2時間足止めを食らうアクシデントがあり、疲労に輪をかけたが何とか帰る事ができた。

予想よりはるかにハードであったが、甲武信ヶ岳北面の奥秩父の雰囲気を堪能した充実した山行だった。

(上林 記)