2008年2月 吾妻大平下り 会山行報告

2月23日(土)

9:40 天元台スキー場リフト終点発 → 10:20 中大巓 →11:00〜11:40 藤十郎(昼食)→ 12:50 間々川 → 14:40 不忘閣 → 16:00 大平集落 (所要 6時間20分)

 週末の天気予報は大荒れだ。予想天気図も恐ろしく悪い。土曜日の午前中までは比較的良いということだ。大平下りを実行することに決めた。出発時西屋旅館でも天元台スキー場でもくれぐれも無理をしないように釘を刺された。
ビーコンと無線(深井、石黒、宮本)のチェックとの後まず中大?を目指して出発した。吾妻は例年になく雪が多いらしい。樹木がすっぽり雪に覆われて何時になく木が低く見える。樹々の間を縫うようにして稜線に到達した。風も緩くいつもより温かい感じがした。いつもの強風吹き荒れる吾妻の稜線とは別世界だ。今のところ優しいお出迎えだ。
 視界も良好である。東大?の稜線まで見渡せた。はるか20キロ先には野村さんのグループがいるはずだが、出どうしているだろう。中大?を北から巻いて藤十郎に到達した。
昼食を兼ねて大休止。風も弱く時折青空も除いてのどかな雰囲気である。嵐の前の静けさだろうか。まだ天気は大丈夫だが、何時急変するかわからない。時間がないことから深井さんと石黒さんに代表して弱層テストをやっていただいた。比較的安定しているようである。それでは標高差1000mの滑走開始だ。大滑走は望めないが、やはり心は躍る。期待と不安。先頭は宮本だが、今回はGPSなしだ。大丈夫か?本当に?天気が悪くなる前に間々川を渡ってしまいたい。できれば不忘閣まで行っていれば大丈夫だ。
 稜線から滑走を開始した。視界はまだ良好である。標高1700m付近では間々川の渡渉点と反対側の1393のピークがはっきり見えている。しばらくすると、風がやんだようだ。深井さんがこれは天気が悪くなる兆候ですよ、と皆に注意していた。標高が低くるにつれて樹々が混んで視界は悪くなった。滑りやすい斜面を選んでいるといつの間にか佐原沢に引き込まれてしまっていた。雪もちらつき始めた。たまりかね最後尾の石黒さんから指令がでて、間々川の渡渉点を目指して延々とトラバース開始した。先頭はいつの間にか深井さんになっている。宮本のコース取りが悪く間々川渡渉点前の一番おいしい斜面はお預けになってしまった・・・。
間々川を渡渉して反対側の1393のピークまで登り返した。雪の降りが激しくなってきた。風もだいぶ出てきた。また先頭は宮本にチェンジして滑走を始めた。気持ちの良い斜面だ。でも・・・今度は座々沢に引き込まれている。というか沢滑っている。今度は石黒さんが先頭になりコース取りを修正した。本来登り返すはずの無い尾根に向かってシール登行した。すんなり不忘閣に到達して一安心だ。もう先頭は駄目だ。
細い尾根を延々と下っていくと、九十九折の林道に出くわした。急斜面でいかにも雪崩れそうな斜面が続いている。林道をそのまま下ると危険性が増しそうなので、急斜面だが樹木の多い安全なところを苦労して降りた。大平公民館に付く頃には雪の降りはさらに強くなっていた。その後いつもの西屋旅館で温泉としゃぶしゃぶ大会で大いに盛り上がった。


2月24日(日)

 天候は悪化している。無理をして山行を続けるか悩んだが、リーダー判断で山行を中止することに決定した。ゲレンデ滑走及びビーコン練習に変更した。
とても幸運なことに米沢スキー場で早川先生並びに深井先生の直接のご指導を賜れた。
ゲレンデで濃厚な3時間を過ごした後、米沢へリポート脇の公園でビーコン練習を行った。幅30m長さ80mの雪崩が起きて、最大5人が埋もれたという設定で4人で捜索したが15分以上かかった。実際はもっとかかるであろうし、掘り出した人をさらに蘇生させることができるか定かではない。でも練習していないといざと言うときにもっと大変なことになる。これからも妙高の事故の教訓を生かしていきたい。
参加者の皆様には、悪天候にもかかわらず無事に山行を終えられたことを感謝いたします。ありがとうございました。

(宮本 記)

積雪安定性評価ワークシート
場所:西吾妻大平下り
日時:080223
時刻:−
分析者:S.Fukai
Class1安定性要因
雪崩発生状況とテスト
 面発生雪崩観察なし、標高の低い林道ノリ面で木からのスノーボールあり
 スキーカット結果なし
Class2積雪要因
積雪テスト
 NE面1860m20°
 CTM(13)RP@20cm↓
 CTH(25)RP@47cm↓
重要な弱層、埋没した日・種類・深さ
 南風の影響と思われるウィンドスラブが上に乗った新雪層と下のしまり雪の層の結合が少し悪い
積雪構造、スラブの特性
 ウィンドスラブ層は1F、下部の新雪層は4F、その下に1F〜Pのしまり雪層がある(稜線北)
積雪、深さの多様性・斜面利用状況と圧雪具合
 1860m稜線北で300cm以上
 南風による雪庇の張出しは少ない
 Class3気象要因
風:AM南風、PM北西風が時々強く吹く(樹林帯)
降水量:AMなし、PM雪(時々S4)
飛雪:AMなし、PMあり
気温:AM-4.6(稜線)、PM低下
雪温:-4.5、温度勾配観測なし
日射:AM時々あり、PMはなし
貫入:25cm(稜線北)
沈降:あり(22日の気温上昇による)

積雪安定性
ALP:不明
TL:Good〜Fair(PMの降雪、飛雪に注意が必要)
BTL:Good
翌日以降はTL、BTL共にFair〜Poorが予想される

地形移動の際の留意点
TL:急斜面の移動、ノール状地形に注意
BTL:林道のノリ面(急斜面)に注意
部分的に高温によるクラストが見られるが、全体的には新雪
PMからの新雪の影響に注意