2008年2008年GW 鳥海山 会山行報告

5月3日(土) 天候:快晴

祓川駐車場8:40・・・七高山12:10〜12:30−百宅コース滑降12:45-1850M 13:00・・・七高山14:30−祓川駐車場15:30=鉾立山荘(泊)

前日に藤澤さんの車で東京を出発し、道の駅鳥海で仮眠後、早朝に祓川駐車場に到着。朝からの快晴で、登山口近くの駐車場はすでにいっぱい。後からくる室岡車と2台分の駐車スペースをやっと確保したような混雑ぶりだ。
室岡さんたちの到着を待っていざ行動開始。目の前に大きな斜面が広がり雄大な山を実感する。七ツ釜避難小屋の横を抜け、ひたすら登ってようやくお昼に七高山の山頂へ到着。日本海の海面もおだやかにきらめき、反対側には山々が広がる絶景だ。長い登りでバテぎみとなりまわりを見渡す余裕もなかったが、山頂へきてようやく景色をながめることができた。
休憩後外輪山の稜線を少し東側に移動し、百宅コースを唐獅子平避難小屋に向けて滑降開始。清水さんと、バテぎみの私は200Mほど、その他のみんなは400Mほどの滑りを楽しんだ。七高山から祓川へのバーンは大賑わいだったが、この東面にはほとんど滑る人がいない。広く快適な斜面を独り占めだった。
このあと七高山の山頂直下まで登り返し、メインコースの少し東側の浅い谷状の斜面を1900Mまで滑って、それからトラバースぎみに祓川の駐車場を目指す。こちらのコースもメインコースとはずれているためか、何人かのスノーボーダが滑っていただけだった。下のほうでパトロールに出会う。この先に危険箇所があることを教えられ、安全なコースへと進路を修正して無事駐車場に着いた。 祓川駐車場を後にして鳥海山の裾野を北側に移動し、矢島を経由して鳥海ブルーラインに入り鉾立山荘に到着。荷物を山荘に入れた後、山荘脇の見晴らし台で日本海に沈む夕日をながめながらさっそくビールで乾杯した。鉾立山荘は登山者用宿泊施設で、キッチンも100円で使用でき、一泊1,300円ほどと安く、たいへん快適で拠点にするのにお勧めの宿だ。お風呂はないが、5分200円でシャワーも利用できる。


5月4日(日) 天候:晴れ

鉾立山荘=大平口駐車場7:00・・・御浜小屋9:20〜9:35・・・七五三掛・・・新山12:20〜12:50−七五三掛14:00−鳥海湖14:40〜15:30−大平口駐車場17:00=鉾立山荘(泊)

うす雲は出たものの、前日に続き、大変良い天気に恵まれた。鉾立山荘から車で5分ほどの鳥海ブルーライン脇の大平口駐車場に車を停める。そこから、木がまばらな林の中を登りはじめる。しばらく行くと疎林が途切れ、またまた広々とした斜面が現れた。前日の祓川コースもそうだが、ガイドブックなどにもある通り、視界のよい日はルートファインディングが容易だが、視界がないと広いだけにルートがまったくわからなくなりそうだ。目印の竹竿が立っているので竹竿沿いに登っていく。笙ヶ岳との鞍部に抜けて鳥海湖の上の稜線を御浜小屋まで登る。小屋のすぐ隣にトイレもあり一休み。
休憩後、扇子森を登りいったん下って七五三掛から千蛇谷へまっすぐ入る予定だったが、雪付きの状況が悪く板をザックにつけて狭い夏道を登る。足元は左側が切れており中華鍋の底のような形になった崖。足を踏み外したら谷底まで落ちそうだ。なかなかスリル満点。ようやく夏道を抜け千蛇谷に入る。長い上り坂の千蛇谷を登りつめ、新山山頂へ。この日も、山頂からは360度大パノラマの絶景が広がっていた。
山頂からは千蛇谷を快調に滑り降りた。七五三掛に出るのに往路の夏道を通るのもつまらない、ということで、室岡さんが左手の斜面をつぼ足で登ることを提案。後に「室岡ステップ」と命名されることになるステップを切ってくれたので、みんなで後に続く。これまた下はけっこう急斜面が続いているので、滑り落ちそうな恐怖と戦いながら上を目指す。ようやく稜線にたどりつくと、そこにはまた大きな斜面が広がっていた。その斜面を滑って扇子森に登り、左側の肩からいっきに鳥海湖のど真ん中まで滑り降りた。そして、湖の上でカップラーメンタイム。
実はこのカップラーメンタイムは、時間調整の意味も持っていた。用意してきたラーメンとおにぎり、チーズとワインで大休止。一時間ほどのんびりしてから、鳥海湖のヘリの急斜面を登って朝通ってきた竹竿のコースに戻る。ここから今日の目的のひとつ、日本海に沈む夕日をながめながら滑るサンセットクルージングだ。先ほどカップラーメンタイムで時間調整したが日没には少し早く夕焼けとまではいかなかった。それでも、日本海に傾いた夕日はほんのり赤くなりはじめて海面に映っていた。夕日に照らされキラキラと光る日本海を見下ろしながら、大平口までの緩斜面を滑る。忘れがたい感動的な景色だった。
駐車場に戻り、大平山荘に寄ってお風呂にゆっくりつかって鉾立山荘に戻った。二日目もまた、よく登り、よく滑り、景色を堪能し、そしておいしいものをいただき、自然を満喫した。 (木村ゆ 記)


5月5日(月) 天候:曇りのち雨

鉾立山荘=大平口駐車場6:40・・・御浜小屋 8:40・・・文珠岳10:20・・・伏拝岳手前10:50−千畳ヶ原11:50〜12:30・・・鳥海湖稜線13:50−大平口駐車場14:15=鉾立山荘(泊)

本日は、昨日までとうって変わってどんよりとした曇り空だ。午後から雨の予報だったので、早めに行動を開始し2時過ぎには降りてくることを前の晩に申し合わせていた。鉾立山荘を6時半に出発し、昨日と同じ「大平口駐車場(1072m)」でシールを付け、御浜小屋目指して登高を開始する。昨日は沢状右上から行ったが、左側から行ってみたら上部でブッシュに捕まってしまった。右に進路を変更して無木立の「すり鉢状」に出て登高、片斜面なのでバランスが難しく、スリップしそうでちょっと怖い。登りきったところで休憩。
暫くは緩やかな登りの後、右側に台地の稜線が現れた所で、昨日は途中から急斜面を斜めに上がって稜線に出たが、私は残っているトレースを頼りにヘリの方から徐々に高度を上げて稜線に上がるコースを取ってみた。仲間が誰も見えなくなった時には多少心細かったが、大した苦労もなく上れた。 一旦開けた所からルートを右の登山道沿いの稜線に求めトラバースして行く。笹やぶの中の登山道は雪が消えているので、昨日と同様、10M程板を担ぐ。御浜小屋に続いている片斜面状の稜線を板を滑らせながら歩く。御浜小屋で2度目の休憩。ここまでの通常コースタイムが「2時間」だそうで、今日は合格点が貰えたようだ。
いったん扇子森へ登り、鞍部まで下ってから文殊岳への登りにかかる。広い斜面をひと登りした後稜線上の長い中斜面をひたすら登り、やっと文珠岳に到着した。山頂付近の稜線の夏道はすっかり雪が消えていた。皆の到着を待って暫く休憩した後、伏拝岳手前の滑降開始地点まで板を担いで移動した。ここで、本日2度目の「オレンジ・タイム」。水分のある果物のおいしさは格別だ。  そして、いよいよ滑降開始。「千畳ヶ原」まで標高差約600Mのダウンヒルだ! ! しかも、布原さん、室岡リーダーと、2人の「撮影隊」が待ち構えている。適度に緩んだ雪は、滑降するのになかなか快適である。しかし、緊張のため、いつもはとても上手いのに、期待を裏切らず、転倒する人も・・・。
 大滑降の後は、お楽しみの「ラーメン・タイム」。各自1個ずつ持参したカップヌードルと、清水さんが作ってくれたおにぎりの豪勢な昼食である。岡安さん提供の食後のコーヒーまでしっかり付いている。岡安さんの提案で「雪のテーブル」を作って座る。今日は早出をしたので12時前の到着となり、余裕で40分も休憩出来た。
 千畳ヶ原で昼食をとってから、鍋森と鳥海湖の間を抜け笙ヶ岳への稜線に登り返した。稜線上で雲の切れ間に見えていた新山をバックに記念撮影を行い、天気を心配しながら大平口に向かって滑り始める。笙ヶ岳との鞍部まで滑ったところでいったんスキーを外し藪の中の登山道を歩く。昨日滑ったコースなので、順番に並んでどんどん下る。昨日は右側に行き過ぎた場所も難なくクリア。あっという間に出発地点の大平口駐車場に出た。時刻は14時15分。
その時待っていたようにポツポツと雨が降り始める。靴を履き替え、荷物を車に積み込み、「さぁ、出発 ! 」という段になって、いきなりザーザーの本降りとなった。正にジャスト・タイミング ! ! こんなにうまくいくなんて、余程皆の心掛けが良いのだろう。高曇りで暑くなく、視界も良好の上雪質も良く、快適な昼食も摂れ、更に下山と共に雨なんて、正に申し分無い一日だった。
 一旦鉾立山荘に戻ってから、大平山荘に風呂に入りに行く組と下に買い出しに行く組に分かれた。5日中に月山に移動し翌日は月山で滑る予定だったが、この天候では無理ということになり鉾立山荘にもう1泊し、明朝東京に帰ることになった。快適な山荘での最後の夜は、またもや盛り上がった。夕食は、清水シェフが試作品まで家で作ったという「ホタテと切り干し大根のサラダ」、「ナスときゅうりの浅漬け」に、メインは大量に買い出ししてきたばかりの新鮮な豚肉たっぷりの「チゲ鍋」。北海道からの単独宿泊者も交えて、他の団体客が居なくなった食堂を独占し、食後の、今回の「鳥海山ツァーのビデオ鑑賞」のおまけ付きで、充実した山行の締めくくりとなった。
 翌6日は、晴れ天気予報だったが鳥海山には通用せず、ガスと霧雨の中、予定通り下山して吹浦の「アポン西浜」の温泉に浸かり、2手に分かれて帰京の運びとなった。下界は次第に晴れ、夏日の様に暑かった。
(中館 記)
《反省と課題・その他》

(木村ゆ) 
ここしばらく山へ行く回数が減っていたので、日頃の運動不足が出たのか、登りがめっきり弱くなった。体力をつけるよう努めたい。また、事前に室岡リーダから、登り返しが多いコースなのでシールの糊を強化しておくように、との注意があったにもかかわらず、糊不足でシールがはがれてしまった。装備の不備はなくしたい。

(中 館) 
今回の山行は天気に恵まれ、良きリーダー&メンバーに恵まれて、大変充実した、楽しい山行でした。皆様、本当にありがとうございました。そして、お疲れ様でした。

(岡 安) 
今まで何回か行った鳥海山で、一番よく登り、人が荒らしていない所を一杯滑り、鳥海山を満喫した山行だったと思います。メンバーの足並みが揃っていた事も良きことの一つですよね。

(室 岡) 
3シーズン振りの鳥海山。いつ行ってもすばらしい山だ。充分な残雪・多彩なコース・適度なスケール感。今回の収穫は祓川コースで滑りを愉しめたこと。つまらないからもう行かないと決めていた祓川コースを、東斜面の滑走と七高山からは少しはずして滑ったことで目いっぱい愉しむことができた。シーズンの最後にとても充実した山行を創り上げてくれたメンバーの方々に感謝。