2009年3月 栂池・三国境・雪倉岳・蓮華温泉・天狗原 会山行報告

3月14日(土) 天候:小雨

16:05 大西夫妻とJR東所沢駅で会う。16:15 川久保車に大西夫妻を乗せて出発(村上さんはバスで行く)(小雨)、22:00 JR神城駅着(村上さんも同乗)、22:20「十郎の湯」で仮眠

ある時はナビゲーターを信じ、ある時はその指示に逆らったおかげで気づいたら車は狭い山道をどんどん上に登っていた。その内峠を越して無事に広い道路に下りたが水平距離では数キロしか稼いでおらずガックリする。何とか村上さんとの待ち合わせ場所(JR神代駅)に着いた時は30分の遅刻、本来なら30分早めに着いている筈だったのに。川久保の小さな車(ヴィッツ)に4人分の荷物とスキーを積み込み「十郎の湯」に着いて風呂に入り大部屋で仮眠した。


3月15日(日) 天候:晴れ

6:30 起床、7:30「十郎の湯」を車で出発、8:45 栂池ゴンドラ駐車場着、9:43 ゴンドラに乗り込む(ゴンドラ代:2020円)、10:34 ロープウェーも運行していて終点着・シールをつけて登山開始(快晴)、11:45 天狗原着、13:10 白馬大池着、16:25 三国境着(晴れ・風強し)・テント設営・夕食、21:20就寝(夜強風)

ゴンドラでは大勢のスキー客が列を作っていた。ヴォルフさんが行方不明となり、私はゴンドラの乗り場で彼が現れるのを待とうと提案し、村上さんは彼は既に乗っていると主張。リーダーに従いゴンドラで上の駅に着くとヴォルフさんがいた。村上さんの洞察力に脱帽。今回は上のロープウェーも動いていたので2時間弱時間が節約出来た。天気が良いせいか天狗原までヘリスキーも営業している。
白馬大池までは風も弱かったがその上の稜線ではかなりの風であった。私は今回、上着として冬用のアノラックを止めて雨具を着てきたが腹が冷えたせいか尾根筋で下痢状となった。風向きを考えた体勢だった為、自分の出したものが自分に降りかからず事なきを得た。木や風よけのない尾根の地形でテントが張れるだろうかと思っていたら三国境ではちょっとした窪地があり、雪が吹き溜まっていて良いテント場があった。スノーソーでブロックを作り、テントの風上をブロックで囲んで快適なテント場が出来た。夜は村上シェフの美味しいタイ風カレーであった。(歩行距離:約7km)

白馬大池から三国境への尾根


三国境から白馬岳を望む


3月16日(月) 天候:晴れ後ガス

4:00起床、朝食・出発準備、7:00スキー滑降開始(晴れ・風強し)、7:35鉢ヶ岳トラバース地点でシールとクトーを付ける、9:40雪倉避難小屋着、10:12歩行アイゼンを付けスキーを担いで出発(強風)、11:12雪倉岳頂上着、11:30出発(この頃から急速にガスが発生して時々ホワイトアウト状態)、13:00瀬戸川着(無風・小雪)、13:20出発、15:32蓮華温泉着(付近でテント設営)・温泉の後夕食、21:00就寝

夜中じゅう強い風でテントがバタバタと音を立てていた。ラジオで天気予報を聞こうとするが別番組ばかりである。下界にいてラジオを聞いていると始終天気予報ばかり聞いているような気がしたが、実際真面目に聞こうとする時はどういう訳かなかなか聞かせてくれない。やっと得た予報によれば新潟県は曇のち雨との事(長野の予報は得られなかった)。三国境から白馬岳頂上へのルートはヤセ尾根で急登もある為、スキーを担いで歩行アイゼンで登らねばならない。しかし風は相変わらず強く、スキーが帆柱の役目をして体が煽られる恐れがある為、白馬岳に行くのを諦めここから鉢ヶ岳方向に派生している尾根を使い雪倉岳へ近道をする事にする。これで4時間程のショートカットとなる。
シールを外し緩い傾斜の尾根を滑って行くと這松が方々に顔を出しているアイスバーンの急斜面に出た。慎重にエッジを立てて山を左に見てのトラバース。鉢ヶ岳の麓まで来てシールを付け、左に鉢ヶ岳を見ながら少しずつ登りながらトラバースとなった。ここは山の陰になっているせいか無風である。固くて氷化した雪面を進むのでクトーが必需品であるが、ヴォルフさんのクトー(ジルブレッタのアルミ製)は前日の三国境への稜線で、ひとつは完全に割れてしまい、もうひとつはヒビが入っている状態になったのでクトーの使用を諦め、スキーを担いで歩行アイゼンで歩く事になった。ところが20mほど行くと踝までの雪となり歩行アイゼンでは歩きにくく再びスキーを付ける事になった。ところがまたもや20mほど行ったところでアイスバーンとなり、歩行アイゼンの出番。このように2回もスキーを付けたり担いだりしている間に30分以上も時間がロスしてしまった。道具が如何に大事かつくづく実感させられた。

ようやく雪倉避難小屋に着いて食事を取り登り出す。ここの登りは今まで3回来ているが、全てシールを付けて登れたのに今回はアイスバーンで夏道がハッキリ見えるのでスキーを担いで歩行アイゼンで登る事になった。風もきつくなかなか登るのがつらい。頂上に着いた頃には今まで快晴で眺望が良かったのに急速にガスがかかって来た。風が強いのでシールをつけたまま瀬戸川方面に少しばかり下り、風が少し遮蔽された場所でシールを取って滑降を開始した。ホワイトアウト状態で時々止まらないと気分が悪くなって来る。何回か転んで急傾斜の沢を滑って高度1680mに達し、右側の尾根を越えてもうひとつの沢に入って瀬戸川に達した。
今まで2回この尾根を越えたが全てGWの頃だったので尾根には雪がなく一旦スキーを担いで越えたが今回は上手く雪がついていて水平のトラバースで右側の沢に行く事が出来た。しかしいつもは雪で埋まっている筈の瀬戸川は殆ど水が出ていて安全なスノーブリッジのある場所は1箇所のみ。このブリッジも数週間すれば無くなるであろう。ひと休みしてシールを付けて尾根に登る。この頃から雪が降り出す。右に山を見ながら殆ど水平のトラバースで蓮華温泉に着いた。ここは4月20日からの営業との事、3,4人程の人がその開業準備をしていた。我々は宿から20m程下った木で風が遮られている所にテントを張り、温泉に行った。入浴料800円とは少し高いような気がするが冷えた体には最高の気分。湯から上がって寒いテントに戻っても数時間は体がポカポカしていた。
今日はヴォルフ・シェフのスパゲティーであった。村上さんもヴォルフさんも事前に自宅でじっくりと煮込んだソースを作って来られ、その努力には頭が下がる。おかげで昨夜も今夜も並のレストラン以上の素晴らしい食事を破格の値段で味合うことが出来た。時々テントが浮き上がるような風が吹く。この木の陰でさえこんなに強い風なので昨夜のテント場ではさぞ大変であろうと思われる。(歩行距離:約13km)


3月17日(火) 天候:雷、湿雪、後晴れ

4:30起床、6:30朝食終了、(湿雪と雷の為出発延期)、10:00出発、15:00天狗原(晴れ・強風)、スキー滑降開始、15:30ゴンドラ終点(栂の森レストラン)着、16:00出発、16:20駐車場着・風呂に行く、18:00出発・途中夕食、23:00JR東所沢着・解散

昨夜私は4時起きを主張、ヴォルフさんは5時起きを主張して村上リーダーが何も言わなかったのでてっきり5時起きかなと思っていたら4時半に村上さんから起こされた。テントをポツポツ打つ音がするので雨かと思ったら湿雪であった。しきりに降っている。雷も鳴り出し、その内、稲光と雷鳴とが数秒差の程度まで近づいて来た。ラジオの予報では昼頃には回復するとの事で、せっかく早起きして朝食は早早に食べてしまったがテントの中で世間話をしながら時間を過ごす。
その内雷は過ぎ去り雪も殆ど止んだ。雪は結構積もっており、外に出していたスキー靴のシェルを探し出すのに少し手間取った。10時に出発。最初の橋を渡って振り子沢の右岸沿いに登って行った。出発時少し降っていた雪も止み青空が顔を出して来た。ヴォルフさんが先頭をラッセルして行くとスピードが早く付いて行くのが大変なので途中から私に先頭を行かせてもらう。この為えらくペースが遅くなり5時間もかかって天狗原に着いた。
晴れて視界は良くなったが風が強い。当初、山の鼻経由で下山する予定であったが時刻が15時になっていたので登りと同じコースで下る事になった。天狗原からの急な下りは踝までもぐる深い雪であり、村上さんやヴォルフさんは快調に滑り、私は何回か転びながら皆について行った。非常に良い天気となった。林道を滑ってゴンドラ終点の栂の森レストランで大休止。ここから天狗原からの下りの一枚バーンに描かれた我々のスキーのトレースがハッキリ見える。毎度の事ながら私以外の3人のトレースは見事なカーブを描いているのに私のだけがあっちこっち伸びたり縮んだり人のトレースを横切ったり悲惨なものである。
ここからゲレンデを各自自由に滑降。次第に荷物の重みが応えだし、何の面白もないゲレンデを唯々義務感だけで滑り降り、皆からかなり遅れて駐車場に着いた。パッキングをしてゴンドラ乗り場の風呂に行く。私の車が小さく、4人の荷物を入れると非常に窮屈なので村上さんのリュックのみ宅急便で送った後、4人乗り込んで帰途についた。帰りは村上ガイドがいたせいか、車は峠に登ることもなく順調に東所沢に着き解散した。今回も体力に於いてもスキー技術においても皆の足を引っ張ってしまった。しかし、その引っ張りの度合いは昨年よりもマシになったような気がする。2月の八甲田と北海道のオフピステのトレーニングの成果が現れたのかも知れない。的確なリードをして下さった村上リーダーやいつもの事ながら私を優しくサポートして下さるヴォルフ・大西夫妻に感謝・感謝である。(歩行距離:約14km)

(川久保 記)

[村上リーダーのランドネへの報告(一部略)]
会山行として計画しました飯豊北部縦走は天候の予想が悪く、急遽変更して比較的天候予想の良い長野北部に変更しました。初日予想よりも好天で予定通り2700mの三国境まで登りテントを張りました。翌日は快晴ですが風が強く白馬山頂は雪煙の舞う冬模様。登頂をあきらめ雪倉に直接進みましたが、いたるところアイスバーン状態でクトーが折れるトラブルなどもありトラバースにかなり時間がかかりました。
雪倉の稜線の登路も歩行アイゼンにきりかえ登る状態で、昨年同じ時期に通過したときとは大きな違い、冬と春が同居する3月の北アルプスを肌で感じる山行になりました。雪倉山頂から蓮華温泉にたどり着き、2泊目のテントを張りました。小屋の営業は20日からだそうですが温泉には入れたことは幸い。しかし夜中から吹雪き始めた風と雷と湿雪で出発を遅らせることに。ラジオでは午後から回復と放送されていましたので気は楽でしたが予定の風吹大池から北小谷までの下降は出来なくなり天狗原から栂池に下りて縦走を終了しました。
今年は雪が少なく岩の露出した斜面も多く、すでに雪倉の滝下の瀬戸川も渡れるスノーブリッジは1箇所のみ。蓮華温泉でも昨年より1.5m雪は少ないそうです。天狗に登る沢も何箇所も穴が開いていました。


山行ルート