2009年4月 乗鞍岳 個人山行報告

この山行は、4/5の大渚山で室岡さんが呼びかけたことから急遽決定した。当初、GWに計画されていた薬師岳に角田と加藤さんが申し込んでいたが、事情により不参加となった。そこで二人のために室岡さんが乗鞍岳個人山行を計画してくれたものである。直前に藤澤さんの参加が決定し、参加者は4名となった。

4月28日(火) 天候:

千歳船橋=乗鞍観光センター


28日21時半に集合し、中央高速に乗り松本を目指す。ICを降り、1時間程下道を走り、25時過ぎに乗鞍観光センターに到着する。満天の星空の中、用意したテントを張り、軽い酒宴の後就寝。


4月29日(水) 天候:

乗鞍観光センター 6:30 = 三本滝駐車場7:15 ・・・・ 7:50スキー場リフト終点・・・・位ケ原・・・・肩の小屋 ・・・・12:05朝日岳 ・・・・ 12:20 剣ケ峰 13:30− 位ケ原 − 14:40 三本滝駐車場


5時20分に起床。お湯を沸かしカップラーメンなどを食べ、準備の後、出発地点の三本滝レストハウス駐車場に移動する。5/2からは位ケ原山荘までバスが出ているとのことだが、当日は三本滝でゲートが閉まっていた。準備の後7時過ぎに登高開始をするが、登り始めはスキー場の急斜面のため、板をザックに付けつぼ足で登る。40,50分ほど登っただろうか、スキー場のリフト終点を過ぎると緩斜面になり、シールを付けて歩き始める。高気圧に覆われたのか、快晴で暑く、また風もほとんどない絶好の山スキー日和である。4.5日前には寒気が入り雪も降ったようで、山がきれいに化粧し直していた。
薄着になり、気持ちよく登ったが、休憩時にリーダーから「こういう時に地図を見て確認をしなければ駄目だよ」と注意される。何と私は地図を別のカバンに入れたまま忘れてしまったのである。いつもは大人数の中、じっくりと地図とコンパスを見るのもできないでいるのに、こんな時に地図を忘れるなんて・・・と思っても後の祭りである。生返事のまま時が流れ、2回目の小休止の時には「地図も見ない人は、その内誘ってもらえなくなるよ」と2回目の注意をされる。その段階で地図を忘れた事を報告することになるが、とんだ大失態である。忘れたことと、すぐ報告できなかったことの2つの失敗を犯してしまい、反省・反省・・・ただただ恐縮するあまりである。
肩の小屋までは傾斜も緩く、春の陽気の中汗をかきながら気持ちよく登る。すれ違う別のパーティーも様々な格好で登っており、ゲレンデブーツでずっとつぼ足の人、アイゼンを付けた登山者、スノーシューにボード・・・等色々な人がいるようだ。でも皆一様に晴天の中日差しを浴びながら、気持ちよさそうである。しかし肩の小屋を越えたあたりから、さすがに3000m級の山、雪が固くなってくる。そして斜面も急斜面である。リーダーからクトー装着の指示がでる。ジグを切りながら、しっかりとクトーを食い込ませながら登る。私は、新しいシールに期待を馳せながらも、まだまだシール登高技術が未熟のようである。クトーを利かすためにクライミングサポートを使わないで斜登高をすると、へっぴり腰になりスキーに荷重がかからないようだ。荷重がかからないといくらシールの性能がよくてもやはり滑る。ブーツのバックルを上まできつく締めていたので、それを緩めるよう指示され、そうしてみるとへっぴり腰が直り、滑らないで登れることを実感する。こんなところで滑ったらどこまで落ちるのだろうと想像しながら、恐怖心と闘いつつも剣ヶ峰が少しずつ近くなっていく。
そしてやっと乗鞍岳の頂上、剣ヶ峰(標高3026m)に到着。時計を見ると12時20分を指している。別のグループと写真を撮り合いっこしたり、山頂神社に手を合わせたりして喜びに浸る。快晴で見晴らしも良く、360°の大パノラマ、御嶽山や北アルプスも良く見える。無風だったので、山頂で食事をすることになり、ガスでお湯を沸かし各自持ってきたカップラーメンを食べる。3000m級の山の山頂で食べるカップラーメンの味は格別であり、至福のひと時である。
1時間ほど経ったであろうか、そろそろ降りようということでスキーを履き、20m程下ったところで本日の大滑降ドロップポイントに立つ。広く急斜面だが、数日前に降った雪で柔らかく滑りやすそうだ。まずは室岡リーダーが先頭切ってテレマークスキーを走らせ、気持ち良さそうに滑ったかと思いきや、4ターンくらいで転び、そのままズルズルッと滑り落ちていく。皆アレッアレッと思いながらも、止まらない止まらない。50m以上落ちたであろうか、ジタバタしながらやっと止まった。
何で?と思いながら、私が次に滑ったら、何とそこはカリカリのアイスバーン。転びそうになるも何とか体勢を立て直し、後続の人に大声でアイスバーンであることを告げる。室岡リーダーのもとに行ってみると、腕に付けていたGPSがないとのこと。滑落時に落ちたようである。この固い斜面をどこまで落ちて行ったのだろうと考えながら、全員でGPSの捜索が始まった。しかし運良く70mくらい下の雪の柔らかいところで止まっており、埋もれることもなく見つかった。良かった良かった。それからは雪の柔らかい所を探しながら滑ったが、途中風で作られたであろうシュカブラもあり、気持ちよく滑れたのは意外に少なかった。そのうち緩斜面のザラメ雪になり、気持ちよく一気に滑り降りる。あっという間にスキー場の上部に出て、道路で雪が切れているところは板を脱ぎながら、残り少ない滑走を楽しむ。2時半頃三本滝レストハウス駐車場に無事到着。
帰りは乗鞍温泉「湯けむり館」に寄り、乳白色の硫黄泉に浸かって疲れた体を癒し、5時過ぎに帰路に着く。帰りは中央高速の渋滞も思ったほどでなく、無事に東京に着き解散した。今回は天候に恵まれて、持って行った歩行アイゼンも使うことなく、気持ちよく山頂に登れた思い出に残る山行だった。

(角田 記)