2009年GW 北海道 会山行報告

5月1日−5月2日 羅臼岳

行程概要:(5/1)旭川空港9:07/9:50=木下小屋16:30/泊 (5/2)木下小屋7:50=知床横断道路ゲート8:15/10:00=知床峠10:12/10:20−岩清水下登山道分岐12:55/13:35−羅臼岳山頂14:25/14:30−登山道分岐14:55/15:05−知床峠15:45/16:00=白銀荘22:30/泊


メンバー:三浦(L)、矢口(SL)、森(コーディネーター)、金井、鈴木、遠藤、川久保、井上、矢野(北海道組)、小野田野(同)、久保田(同)、野村(記録)

川久保、鈴木、遠藤、野村は羽田で落ち合い、skymark603便にて旭川に向かう。旭川空港9:07着。我々4名以外のメンバーが出迎えてくれた(矢野さんは木下小屋集合)。三浦車、井上車、久保田車の三台の車に乗り込みスタート。一路知床半島を目指した。三浦車、久保田車は途中網走市内のオホーツク料理店「かじか」で遅い昼食。昼食後市内のスーパー「Basic」で食材調達。網走からは左手にオホーツク海を眺めながら国道344号線を疾走する。ウトロから知床公園線に入り岩尾別川を渡ったところで直ぐ右折、岩尾別川に沿って走ること十数分で木下小屋に到着する。知床公園線沿線にはおびただしい数の鹿がそこら中で草を食んでいる。小屋16:30着。井上、川久保、森グループは旭川空港から別路で小屋に直行していて僅かに先着していた。
木下小屋(@2,000円)は40名程収容の丸太作りのいかにも山小屋風小屋。本日は我々11名で貸し切り。男性は二階に陣取った。有名な岩尾別温泉「ホテル地の涯」の裏手に建つ。管理人は法量さんという方がもう何十年も管理している。一階がリビング風の部屋で、片隅にガス台、流し台等が設置され、いつもは管理人さんの自炊用設備のようだが今回はわれわれに解放してくれた。
小屋に付設で小さな板塀で囲まれた露天風呂と解放された小さな露天風呂が2つ有るが、ホテル地の涯前の駐車場を横切って、岩尾別川に降りる途中にある三段式の露天風呂の方が遙かに良い。ここは湯ノ花で浴壁が青白く変色して風情がある。奥にも小さな露天風呂が有り、隣の滝見物を兼ねてたまに観光客が通る。旅の恥はかきすてというわけでは無いが、何故か風情が勝って恥ずかしさは無い。湯に浸かっていると随分と遠くまで来たもんだとの実感が湧いてくる。
入浴の後は各自荷物整理し、調理手伝いとなり、ほどなく宴会である。石狩鍋、刺身、サラダの豪華版。女性陣や函館からの久保田さん、森さんなどが大奮闘であった。食後、調理組以外のメンバーは後片付け。宴会延長組は別にして多くは21:00には就寝した。

5月2日  4:50起床。7:50小屋発。知床横断道路のゲートには8:15には到着した。前夜、三浦先生が岩尾別川を30分遡上し雪の状態を確認されたが途中ほとんど雪が無いということで、羅臼岳へのルートは予定変更して知床横断道路の知床峠から登ることに決定していた。この知床横断道路は今年は冬季閉鎖解除が遅れていたが、運良く本日が道路開きであった。恐らく多くの車が集まるだろうとの予想で早めに入り口ゲートに到着し、午前10時の開放を待った。我々は車の登坂性能で乗車メンバーを入れ替え、先発隊、後続隊を作り準備万端である。ゲート前では地元テレビ局のテレビカメラ数台が並び、開通前には道内外からの多くの車が集まり長蛇の列をなした。話はそれるが知床半島に沿って走る道路・知床公園線の知床五湖〜知床大橋間は三年ほど前から通行止めが解消されておらず、羅臼岳から硫黄岳方面への縦走は下山しても戻る道が無いので出来ないらしい。
話は戻って、ゲート前で我々は見るべきものもない知床自然センターを見学したりで時間を潰す。いよいよ10時。数人の係員がゲートを押し広げる。と同時に知床峠を目指して車列が始動する。テレビカメラが車列を追う。全車競うように峠を目指す。10時12分知床峠到着。あっという間に峠の広い駐車場は満車となり、空車待ちの車が何十台も並んだ。我々は先発隊も後発隊もほぼ同時に駐車場に到着し駐車できた。早い時間にゲートに並んだのは大正解である。車に「只今登山中」のメモを残して10時20分標高738mの知床峠駐車場スタート。
本日は申し分の無い晴天。ほぼ無風。当初知床峠から北東の方角に標高1350m位まで暖斜面を登り、そこから高度を上げずに羅臼平までロングトラバースの予定であったが、目標高度付近は岩稜帯で雪が着いておらず、予定変更してその雪の付いていない岩稜帯のかなり下を大きく回り込むように標高1140〜50m付近を高度を上げずにトラバースせよとの指示が出る。雪はザラメでスキーは雪面をしっかりととらえてくれているが、滑落するとかなり下まで止まりそうにない。三浦先生よりトラバースに入る前にクトー装着の指示が出る。
羅臼岳の広大な南斜面をクトーを付けてトラバースを開始、東南斜面に入ってくると根室海峡に浮かぶ国後島の主峰・爺爺岳(チャチャ岳)が見えて来た。海と空の境が無い一枚のミルキーブルーのキャンパスの中を、冠雪し、均整の取れた端正な山が天と地の真ん中あたりに浮かんでいる。そんな何とも不思議な景色だ。幻影的でもあり、感激的な景色だ。そのまま高度を上げずに、知床半島東海岸側の羅臼温泉から岩清水の下につながる登山道と、羅臼平へ斜めに登り上がる登山道が分岐するあたりまでトラバースを続けた。距離にして約1.5km程の距離だろうか。
 羅臼温泉からの登山道を横切ってからは緩やかに高度を上げながらやはり回り込むように進む。標高1270m程のところで方向を直角に変え、羅臼平目指してジグを切りながら一気に登り上げる。程なくだだっ広い台地に出た。これが羅臼平なのだろう。羅臼岳の山頂が目に飛び込んでくる。ここから見上げる山頂部は真っ黒で、イガグリ坊主の様にボコボコと中小の岩が露出しており、全体では大きな岩の塊である。
山頂部の岩塊が乗った基部はしっかりと雪が覆い、一部凍っているように光って見える。その基部に向かって羅臼平からなだらかにハイマツ帯が広がっている。見渡すと露出したハイマツの間に僅かに残る雪が山頂基部まで辛うじてつながっているようだ。羅臼平から先頭になった野村はそれを期待してハイマツ帯に踏み込んだ。三浦先生は露出したハイマツ帯を避けて北の方に大きく回り込むように進んだ。私の後からは誰も来ない。暫く間をおいて、鈴木さんと井上さんだけが続いてくれた。幸いに雪は最後までつながっており、三浦先生隊より大分早く岩清水の下の登山道が分岐する地点に着いた。しばし休憩して三浦先生隊を待つ。三浦隊も到着して本日2回目の休憩。昼食。ここから頂上を目指すことになるが、スキーはデポして歩行アイゼンを装着した。最初三浦先生からスキーで登ろうとの提案が有ったが、ほぼ全員がスキーは無理だの大合唱。やむなく先生も歩行アイゼンを着けた。
取り付きは確かにかなりの急斜面で、スキーを履いても階段登行となりそう。ただし取り付きの急斜面を過ぎるとやや斜面は緩む。ピーク目指して最初左に大きく回り込み、更に右に大きく回り込んで、頂上直下にたどり着く。最後の山頂への数mの急斜面はキックステップで登る。ここで山頂から戻るスキーを担いだアイゼン歩行の地元の青年二名と行き会った。彼らに先に降りてもらう。知床峠から登ってこれから岩尾別温泉に下ると言う。奥さんが岩尾別温泉でピックアップしてくれるとの羨ましい話であった。我々は彼らと交代する形で急斜面を登るが、この高さ4〜5mの僅かの距離の直登斜面は落ちると百数十m下までそのまま滑落しそうで緊張する。2番手が苦労しているので、先頭で登った三浦先生が早速お助け紐をセットしてくれたが、紐一本で随分と気分が違う。あとは岩の間をすり抜ければ広い山頂に出た。右手にピークと思われる一段高い所があり、それが壁のように一部視界を遮ってはいるが、大展望が開けている。
「初めて北の果てに登った!」と心中大感激である。知床半島の先端方向には三ツ峰、サシルイ岳、硫黄山が、その岩峰群の右側には国後島の山々が雲の上から頭を出している。爺爺岳の左の立派な冠雪した山はルルイ岳か。とても幻想的な風景だ。すこし残念なのは知床半島先端の海岸線が山に隠れて見えないことだ。振り返り、知床半島の付け根方面を眺める。右手にオホーツク海が広がり、遙かに霞んで見えるのは斜里岳、その左に雌阿寒岳なんだろうか。羅臼岳に立って斜里、雌阿寒を眺めるなんてなんと贅沢な一日だ。ゲートの閉門時間が迫ってきた。実に名残惜しいが、集合写真を撮って、下山とした。
 現金なもので、スキーでくれば良かったの声も上がるが、後の祭り。先ほどの急斜面は鈴木さんが確保しているお助け紐をゴボウでクライムダウン。後はストック両手にキックステップで快調に岩清水直下のスキーデポ地点まで戻った。そこからはスキーを担いで、来た道を戻らず、羅臼温泉方面へ登山道沿いにハイマツをよけながら移動。雪がつながったところで、いよいよ滑降開始である。適度な斜度の大雪面を1200m位まで根室海峡を目指して各自思い思いに滑り降りる。障害物皆無の大斜面である。快適!!!! こんな景色は滅多にありませんね。
 後はほぼ来たルートをなぞって大トラバースに入る。函館の久保田さんがみんなより高い位置をトラバースして滑落。100mも落ちたが幸いに止まった。三浦先生が脱兎の如く駆け寄る。あたりは立木も岩も無いので怪我はしていないだろう。羅臼岳の南斜面に入ると知床峠が下の方に見えてくる。目視で峠を目指す。思い思いのルートを取っても単純で見通しの良い地形だから迷う心配も無い。山頂より約一時間強で峠到着。天候に恵まれ、眺望にも恵まれ、何よりも三浦先生や森さん等のおかげで堪能できた大満足の羅臼岳スキーであった。
(注:知床横断道路は夜間凍結の時期まで15:30にて閉門だが、貼り紙のお陰で、ゲートは閉めず係員は待っていてくれた。)

(記録:野村)


5月4日 富良野岳

行程概要:6:40 白銀荘から各車で出発、6:35 凌雲閣、6:40 登山開始、8:00 富良野岳連山の傾斜が急になる場所(1585mh)クトーをつけ、斜め左方に登る、9:10 小ピークの手前のコル、10:00 富良野岳頂上、10:30 滑降開始、10:55 前富良野岳との鞍部、11:00 シールを付け、登行開始、12:00 前富良野岳頂上、12:30 滑降開始、12:55 川の近くの夏道、13:30 管理人の小屋、13:58 ベルルイ林道との分岐点(バスが待っている)、14:08 バス出発、15:00 白銀荘


メンバー:[ランドネ]三浦(会友:L)、矢口(S.L)、森(コーディネーター)、金井、井上、鈴木、野村、遠藤、金子、川久保(記録)、 [函館山の会] 梶田、有馬、上縄手、木谷、[その他] 三浦(大雪)、三浦(岳)、矢野、和田、池田、浜崎、久保田

凌雲閣からスキーを担いで急斜面を降りて20m程下の沢に下り、また対岸に登り返して高原状の所でシールを付けてスキー登行開始。緩い広大な斜面を富良野岳を主峰とする尾根に向かって歩く。快晴である。頂上付近の雲は流れが早いので風が心配であるが、この場所は時折ちょっと強い風が吹く程度である。斜め右に歩きながらゆっくりと高度を稼ぐ。大部隊が一列になって行進するのは壮観である。富良野岳の手前のコルがだいぶん近くなり、これから傾斜が少し急になる所でクトーを付ける。雪面はザラメ状でカチカチの氷ではなかったが、やはりクトーを付けていた方が気分的に楽である。遠目からはコルを越す所は傾斜が急に見えたが実際は大したこともなかった。ここから富良野岳の手前の小ピークの鞍部まで20m程下るが、先頭の三浦(大)さんは一歩一歩慎重に階段下りで降りて行く。
私の前の井上さんは歩行器のテールの部分を滑降モードにした後、シールのままで滑り無事鞍部に降り立った。私もその真似をしてうまく鞍部に辿り着けた。着いてから気づいた事だが、井上さんは最初からクトーを付けていないのに私は付けていたのであった。よくぞ雪面を引っかからずに滑れたものだと思う。逆に言えばこの雪では私のクトーはあまり役立たないという事でもある。他の人は自分がクトーを付けている事を覚えている為か、慎重に階段歩行で下りて来た。ここから痩せた急な尾根を行くか、左側の雪の斜面に下りて小ピークを左から巻きながら頂上に登るかの選択があった。三浦リーダーは後者を採り、先頭でルートを作って行く。斜面は左側に30度ほど落ちている。踝くらいまで潜る雪を慎重にジグザグを繰り返して無事頂上に着いた。登る時に心配していた強風もなく楽しい登りであった。
この頂上から前富良野岳の鞍部まで傾斜約20度の一枚バーンが標高差600mで続く。上手な人は一気に滑り降りあっと言う間に小さな点になったが、こちらは時々休みながらゆっくりと滑る。鞍部ではポカポカとした日だまりの中でゆっくりと食事をした後シールを付けて前富良野岳に登り返した。この頂上からも標高差300mほどの素晴らしい斜面があり、それから谷の中を滑るコースとなる。次第に木が密生してきて川音が間近で聞こえるようになり、GPSによると夏道に出てきたところで休憩となる。全員の到着を待つ間に大きなリュックを担いだ5名ほどのパーティーが降りて来た。近くで数日間キャンプをしていたとの事。重い荷物を担いでいるのに密生した木々の中を上手に滑って行った。これからは夏道を行くが木の枝に気をつけるようにとの三浦リーダーの指示があり、いつも果敢に滑る鈴木さんを先頭に行った。途中ダラダラとした緩い傾斜の登り坂で私の前を行く矢口さんがつらそうであった。
彼は長年のスキーやバスケット等の激しい運動のせいで膝を痛め、特に左膝のふんばりが効かなくて、谷を左に見てのトラバースやエッジを効かせてのスキー歩行がつらいとの事。そのような状態でも他人より遅れることもなくスキーツアーをされる意志の強さに脱帽する。峠からは傾斜も少しあって快調に滑って行くと広場に出て「ニングルの森管理棟」の建物とトイレがあった。ここからは所々雪が切れた部分が出て来、その都度スキーを外す人、強引に砂利道をスキーのまま歩く人、さまざまな方法で下って行くと車が4,5台止まっており、我々を迎えに来たバスが来ていた。狭い場所で何とか方向転換が終わり、全員のスキーを強引に収納所に入れ、バスは出発した。里では美瑛岳、富良野岳の雄大な連山をバックに鯉幟が泳ぎ、桜が咲き、典型的な五月の北海道の景色を楽しみながら白銀荘への帰途についた。三浦先生のリードのおかげで前から行きたかった富良野岳と頂上からの広大な斜面でのスキーを楽しむ事ができました。深く感謝いたします。

(記録:川久保)


5月5日(火) 前十勝岳

行程概要:白銀荘8:15 ― シュナイダーコース入口(1305m)9:15,9:25 ― 大正火口脇(大きな岩、1635m)10:10,10:30 ― 前十勝岳山頂11:20,11:50〜〜千春沢下(1120m)11:50,12:20〜〜白銀荘12:35


メンバー:三浦(L)、矢口(SL)、三浦(大雪)、三浦(岳)、金井、森、金子(記録)、池田、小野田、久保田

白銀荘玄関脇の温度計は今日も朝から15°C、 昨日もそうだった。当地でGW連日の快晴続きは20年ぶりとの事、それにしても暑い、その上 1日たりとも休養日(悪条件の天気の日)がなく疲れ気味なのは私だけか?(途中参加の身体なのに!) 本日のコースは十勝岳と前十勝岳の二組に別れる。滑降重視の一部の方、リーダー以外は腰痛・膝痛、足にマメ・靴づれが出来た障害者が前十勝岳組だ。白銀荘前の十勝岳入林承認書に記入し、早速シール登行開始。吹上温泉観測所の前を通り、小沢を渡り、泥流感知綱が張られた千春沢を横切りシュナイダーコース標高1305mで一本立てる。この辺り迄は本峰組も一緒。1400mで別れる。雪の状態を診ながら高度を上げ、2本目は標高1635m大正火口の脇、水蒸気爆発の煙は真っ直ぐ上がっている。休みとなれば靴擦れ・マメの手入れに余念がない。右小尾根より小雪庇が張り出しているが、頂上迄雪は続いている。爆裂火口の右側を巻くように斜上し、1780mの頂上到着。
快晴の空の下、三段山は目の前に、その右は昨日登った富良野岳の遠望がきく。 ゆっくり休み寒くなって来たので滑降開始。滑り出しから小尾根は洗濯板状態で少々手こずったが、沢筋に入ると水分やや多い雪質なれどこの時期としては「優」。雪量も例年より多く1120m辺りまで滑り下り大休止。石の上に腰掛ける人、青空を見ながら寝そべる人、充実した顔・顔、ユニークな雪焼けに笑いが出る。帰宿後、お蕎麦で昼食を済ませた。

(記録:金子)


5月5日(火) 十勝岳


メンバー:[ランドネ]鈴木、野村、遠藤、井上、川久保(記録)、 [函館山の会]梶田(L)、有馬、上縄手、木谷、 [無所属]朝倉(SL)、浜崎

昨夜のミーティングでは十勝岳は人気がなく、ランドネでは野村さんと私の2人だけであった。二人とも初めての山なので今までのように三浦先生に頼り切りの気楽な山行から自分たちの判断による山行をしなければならぬと気を引き締め、事前に三浦先生にルートを教えてもらったりして準備していたら、函館山の会の4名と朝倉さん、浜崎さん、それにランドネからも鈴木、遠藤、井上さんが加わり、総勢11名の大部隊となった。リーダーはこの山に数回登っておられる函館山の会の梶田さんにお願いしたので結局今回もリーダーの後ろからついて行く気楽な山行となった。三浦先生をリーダーとする本隊は前十勝岳コースに行くとの事で途中までは一緒である。大部隊でなだらかな傾斜を良いペースで登って行く。所々電線が張ってあり、噴火による泥流のセンサーとの事である。晴天で風もなく暑い。Yシャツも脱ぎ、Tシャツだけで歩く。2カ所雪が切れている場所があり、スキーを脱いで歩く者、そのままスキーを付けて強引に歩く者、様々であった。
標高1450m地点で前十勝岳組と別れ、我々は梶田さんを先頭に進んで行った。所々雪の上には黒い火山灰が散らばっており、こぶし大の溶岩礫も転がっている。硫黄の臭いもして来た。その内少し寒くなって来たのでTシャツの上に直に雨具の上着を着る。台地状の場所に来たら初めて十勝岳頂上が見えてきた。ここから1km程緩い斜面を行き、その後急斜面となるが、かなりの部分が雪がなく、上部の台地に接続されている部分は数カ所しかない。遠目にはそれらの接続箇所全てが急に見えていて登りには苦労しそうである。その中でも最も傾斜が緩そうな場所に行くと、遠目で見た感じとは違って比較的容易に登れた。頂上はガスの中に隠れて見えなくなった。風も強くなり、Tシャツの上にYシャツを重ね着し、その上に雨具を羽織る。登るにつれガスが濃くなり風も強くなって来た。
頂上直下のより傾斜が強い場所に着き、スキーをデポする。先陣のツボ足の足跡をなぞりながら急登するとようやく頂上に着いた。鈴木さんと遠藤さんだけは急傾斜・視界不良・強風にも関わらず果敢にもスキーで登って来た。頂上では寒いので写真を撮ったらすぐ下山を始めた。スキー組はシールを外して我々より後に下り始めたのに殆ど同時刻にスキーデポ地点に来た。我々もシールを外して滑降開始。視界が20mくらいしか無いのでコンパスを見ながら北方に慎重に下る。ちょっと下っては笛を吹き、皆が揃うのを確認して再び滑り出す・・・・を数回繰り返したら高度が低くなったせいか、やっとガスが切れて来た。ここからは登りの時に急傾斜に見えていた場所も一気呵成に滑り降り、登りに採ったコースより少し高い高度で左方向にどんどんトラバース気味に滑り下りてアッという間に白銀荘に着いた。頂上までスキーで行けなかったのは残念であったが、梶田リーダーのおかげで19歳の夏に登って以来の十勝岳に登れたのは幸せであった。

(記録:川久保)


5月6日 三段山(振り子沢からなまこ尾根コース)(第1回)

行程概要:白銀荘8:35 ― 小休止(標高1330m)9:25,9:40 ― 三段山山頂10:40,11:05〜〜登り返し地点(標高1395m)11:30〜〜白銀荘11:45


メンバー:三浦(L)、三浦大雪、三浦岳、金井、鈴木、遠藤、金子、森(記録)、川久保、池田、、小野田、久保田、濱崎(ゲスト)

前日、前十勝岳山頂から三段山を眺めていると頂上の左側から大きな谷(振り子沢)に「ええ斜面があるぞ」「あそこを滑りたいな」「あそこは滑れるのではないか」三浦さんも滑ったことがなく明日行こうということになり出かけた。大げさにいうと初めて滑るコースにトライ。厳冬期には雪崩の巣のようなところでとても無理。斜面は最大斜度40度近くあったが雪は適度にしまっていて期待どおりの快適な滑りを堪能できました。この時期のちょっとした穴場になるかもしれない。
山頂から新コースを滑りことで晴天の連続で休みもなくやや疲れ気味の状態で白銀荘を出発する。一段目からコースを直登ではなく残雪の加減で右にとりながら高度を上げ標高1330m付近で小休止後山頂まで約1時間と順調に登って出発して約2時間で山頂着となった。眺望は素晴らしく十勝岳から富良野岳まではいつ見てもいいものだ。さて、毎年ここは滑れるのではないかと思っていたところの振り子沢を滑りだす。出足はやや緩く最初に三浦Lが突っ込んで行き直ぐに斜面で隠れ見えなくなってしまった。
遅れじと後に各自続く、雪質はややザラメと好条件。途中の最大斜度も斜面の幅が広く難なく左右に板を何回か回転させ谷の出会いまで一気に思い思いにぶっ飛ばす。気分爽快、まさに滑っているという感。大いに満足。雪質にもよるが期待どおりのコースだ。全員集合し、この谷を快適に滑って行く。途中で切れ落ちている個所で進むには厳しいので左側上部のなまこ尾根に登り返す。ここがこのコースの課題であろう。さらに別の谷を滑りこんで一段目上部のクマゲラが開けた大穴を横目に一段目を経由してから白銀荘にまで滑った。登り返しをしないルートを見つけるのが望ましいコースであり、今後も滑るに値するでしょう!

(記録:森)


5月7日(木) 三段山(振り子沢からなまこ尾根コース)(第2回)

メンバー:三浦(L)、金井、鈴木、遠藤、森(記録)、濱崎(ゲスト)

昨日と同じコースを再度挑戦した。雪質は良くなく気温のせいか重たくなっていた。登り返しはルート取りを考えてすることなく滑ることができた。 (記録:森)


5月8日(木) 富良野岳(ジャイアントコース)

行程概要:駐車場8:55 ― 登高開始地点9:20 ― 小休止(標高1325m)10:20,10:30 ― ホコ岩11:30,12:00〜〜駐車場12:35


メンバー:三浦(L)、井上、鈴木、森(記録)、濱崎(ゲスト)

晴天続きだ。どうなってるのかな。今日はジャイアントだ。昨年に比べ積雪は多く渡渉後は尾根を登高することができた。ホコ岩の横から急斜面に飛び込み雄大な滑走を満喫できた。
今年は昨年に比較し残雪が多く最初の渡渉は容易であったが、各自の性格が出て好きなところを渡った。井上さんがなかなか現れなかったが、待たずにシール登高に入った。樹林帯をいつものコースをたどり昨年スキーを担いで苦労した個所も板を履いたまま通過出来、今年は尾根の樹林帯を登ることができた。気がつくといつのまにか井上さんが後ろについていた。約2時間でホコ岩付近に到着。そこから先はハイ松で進めず。眺望は相変わらず良い。先日行った前富良野岳山頂も見えるが滑ったコースは向こう側で見えず。いよいよ滑走となる。下から見ればここは大斜面。滑るにはもってこいだ。鈴木さんはホコ岩のすぐ手前から斜面に飛び込む。他の4名はもうひとつ手前から斜面に入る。大きな斜面を自由に滑走。気分に従い板を滑らしながら回転を繰り返す。濱崎さんとは初めて一緒に滑るが、流石に滑り慣れている様子であった。斜面の下部でコースを左にトラバースしながら進む。標高1000m付近から右側に尾根を乗越(昨年は板を担いだ)し、ややせまい樹林帯をコースを選びながら高度を下げていき渡渉個所でスキーを終えた。これが今シーズン最後の滑りかもしれないなとつぶやいた。

(記録:森)


5月10日(日) 暑寒別岳(個人山行)

行程概要:暑寒荘(06:30)? 暑寒別岳頂上(11:25-12:05)? 暑寒荘(14:30)


メンバー:井上(記録)、池田(苫小牧)、小野田(留辺蘂)、龍(柴犬、小野田さんの愛犬)


予想外に雪が少なく、小屋の前からスキーで登る予定が、しばらくはスキーを背に、その後も2合目付近までスキーを着脱しながら登る。好天、無風で3人と1匹は尾根筋をのんびり進む。頂上からは素晴らしい展望。暑寒別岳から連なる群別岳、浜松岳、浜松御殿などには美味しそうな斜面が沢山ありテント持参の縦走ルートのようだ。
頂上から大斜面を大きく快適に滑ると、2合目までは木々の間を少なくなった雪を選んで滑る。ここからスキーを背に広い尾根に出ると雪がまだほどほどにあり、林間を小野田さんの愛犬龍の先導で快適に滑るが、調子に乗って尾根の左に滑るところを右方向に滑ってしまい、大きく迂回して最後はスキーを背に小屋へ下る。下山後、増毛の温泉にて解散した。  なお、前日9日(土)は増毛の魚市場で買出しをして暑寒荘に泊ったが、好天の週末にも関わらず宿泊は2組だけ。暑寒荘は3階造りで寝具、炊事用具、食器、薪ストーブがあり快適でした。

(記録:井上)