2011年2月 八甲田山(東京スキー協合同深雪ガイドツアー)山行報告

 東北新幹線が新青森まで全通したのを機に久しぶりの八甲田訪問、但し高価なJRは今回限りか。前2回(95/2月、97/3月)は吹雪の毎日、モッコ沢、前岳西面、仙人岱などをランドネの仲間と滑った。風雪濃霧下、GPSの無い時代は地図・コンパスが頼り、全員が緊張し協力し合ったのが懐かしい。
 今回は酸ヶ湯のガイドツアーに参加したため安心お任せだったが、この合同企画に参加したクラブはランドネ(4名)のみ。首領の大川さん(三多摩)は山腹のゲレンデで自主トレ。とても貸切ツアーは組めず、4名は一般ツアー30〜40名の混成隊に入ったが、まずまず深雪に達者な面々で足前不足の問題は無かった。(直井 記)

2月2日(水) 天候:晴 参加者:井上、田原、直井

 冬型気圧配置が緩んだため良く晴れて、ロープウエイ山頂駅から青森市街も見渡せる。午前は銅像ルート。シールを使わずに前岳コルまで進んで北斜面の滑降に入る。新雪深雪で気分良い。我々スキー組のトレースに沿ってスノーボード組が続く。下半部で傾斜が緩むとスノーボードには少しつらい。振り向くと前岳が青空に映え、山頂は雪煙を上げている。周回道路に出て待機している酸ヶ湯のバスに乗り、ロープウエイ駅へ戻って昼食。
 午後は変形八甲田温泉ルート。ロープウエイ山頂駅東のコブから少し滑り、北東方向へトラバース気味にからんで北東斜面の滑降に入る。下半部で所定ルートより少し北側の沢沿いに振って周回道路に出る。良い雪質と最後まで平均した斜度の好ルート。
 ズバリ終了点の車道脇で待ってくれている酸ヶ湯のバスに乗ってすんなり帰れるのは嬉しい。八甲田に精通したガイドが案内してくれる安全安心と送迎付きで3500円/日はリーズナブルかも。強風でロープウエイが止まらなければ、霧の日でもツアーがあるのは頼もしい。(直井 記)


2月3日(木) 天候:曇 参加者:井上、田原、成ヶ澤、直井

 今日のガイドツアーは箒場岱ルートのため昼食準備を指示される。大岳避難小屋を通る東西横断なら待望の八甲田中心部に初めて入れるぞ、と密かに期待するが天候は芳しくない。ロープウエイの途中から上はガスの中に入る。ロープウエイ山頂駅から田茂萢岳の北〜東側を半周して下る。シールを付けて井戸岳の西〜南側を大岳避難小屋のあるコルへ登りシールを外す。
 戸外で食べると思って昼食を取り出すと、皆さん小屋へ入って行く。急いでザックをまとめて小屋へ入る。ガイドの一人が小屋の外で最後になった私を待ってくれていた。ガイドはトランシーバー常時onで通信しながら隊列の前後から手分けして全員を見守ってくれるのが心強い。昨日は休みだった其田隊長、今日は同行して時々若手ガイドにコース取りを助言している。
 待望の北八甲田核心部へ初の参上というのに烈風濃霧で展望皆無。近隣ピークには寄らず一路慎重に箒場岱へ下る。高度を下げると雲の下に出て、八甲田温泉方面の平坦部や南には雛岳が見える。「北八甲田山岳スキールート図」に記載される箒場岱ルートの1本北側の尾根を下り、深い沢を対岸に渡って所定ルートに出ると、後は僅かな傾斜の樹林帯。ガイドが先行して作ってくれたトレースのお蔭で止まらずに周回道路に出られる。(直井)


2月4日(金) 天候:曇 参加者:井上、田原、成ヶ澤、直井

 今日のガイドツアーも箒場岱ルート。曇りだが昨日よりは明るい。7年前に仕事で英国から来て東京に住む女性が、ロープウエイ駅へ向かうバスで隣りに座る。昨日は一緒にツアーしたが、週末の海外出張に備えて今日は別の半日コースに参加して帰るとか。英国からはフランス東部の山岳スキー場へ通ったようで、日本に来てからは北海道へも行っている。井上さんとの会話で富良野のチャック氏も知っているとは恐れ入る。海外からの交通接続が整えば深雪志向の外人さんは日本で更に増えそう。
 昨日より少しショートカットで田茂萢岳を巻いて下り、シールを付けて大岳避難小屋へ登りにかかると霧に巻かれる。写真を撮りながら隊列の後を行くと、其田隊長が色々と教えてくれる。今冬は寒気が強すぎて樹氷の成長は弱いが、例年2月末までは成長するとか。
 避難小屋で昼食の後も霧は晴れない。視界が回復しないため、今日も近隣ピークには寄らず箒場岱へ下ることになる。今日が最終日のため、八甲田中心部には入れたが展望は次回の楽しみとなる。大岳避難小屋から井戸岳東面を昨日よりも長目にトラバースして滑降に入る。昨日来あまり新雪が降らなかったのと冷え込みが甘いため一部モナカ雪で引っかかる所もある。下りの後半は昨日のトラックに乗って箒場岱へ到着。
 昨日のこと、酸ヶ湯の食堂でお会いした年配の男性が、つい1月下旬のスキー協ツアーの際にチセヌプリ山麓の宿舎「雪秩父」でお会いした人と良く似ている、と井上さんがお尋ねしたら他ならぬその人。函館に住み80歳台ながら今もスキー三昧。昔、八甲田で三浦敬三さんと滑ったそうで、雄一郎さんはまだ学生時代で加勢。その頃の写真もお持ちとか。当時の古い映像を其田隊長が保管している筈と教えてくれた。今日、大岳避難小屋へ登りながら隊長に聞くと、昭和10年台のフィルムをDVD化したのが沢山あり、いつでも見に来てとの快諾。夕食後、大川さんも誘って隊長の応接室で拝見する。敬三さん達が細身の長い板で開脚ターンして春山を豪快に滑っている。昔、酸ヶ湯は冬場休業、道路を除雪して営業再開は春からだったとか。(直井)


2月5日(土) 天候:曇 参加者:成ヶ澤

 一般ガイドツアーに参加した。箒場岱コースと午前午後半日コースに分かれることになった。濃霧のため、箒場岱コースは期待できず半日コースに参加した。約15人の参加者であった。午前は前岳の北側をまいて東側へすべる野営コースであった。日本軍の野営地で死んだ兵隊の亡霊が足をつかむと言われるコースである。10cm〜20cmの新雪で、八甲田の新雪を楽しめた。午後は、銅像コースで、午前と同じに新雪を楽しむ事ができた。(成ヶ澤 記)


2月6日(日) 天候:曇り後晴 参加者:成ヶ澤

 一般ガイドツアー(箒場岱コース)に参加した。40名以上の参加者であった。天候は良く、避難小屋で昼食後大岳頂上近くの大岩まで登り、大岳大斜面滑降となった。真ったいらなバーンの上に数センチの新雪が積もったような雪質で、快適な滑降であった。箒場岱までの雪質も、固く締まった雪の上に10〜20cmの飛雪が積もり、楽な深雪を楽しむ事が出来た。参加者は常連ばかりのようで、転倒する人もなく、2時半ごろ箒場岱に着いた。(成ヶ澤 記)