2013年2月 白馬乗鞍・白馬五竜山行報告

2月8日(金)

週間天気予報では11日に冬型の気圧配置が強まるとのこと。今日は低気圧が北海道沖に去り、高気圧が張り出してき始めたか、満点の星のもと、午前1時ころ南神城の民宿「まる西」に集結。遅くまで待っていてくれた民宿のおかあさんに感謝。少しの宴会のあと就寝。


2月9日(土) 鵯峰裏コース

栂池高原スキー場ゴンドラリフト終点栂の森1560m(9:45)→尾根1930m(11:15〜11:45)→コル1450m(12:50)→若栗の頭1539m(14:00)→黒川沢堰堤(15:25)→白馬乗鞍スキー場(15:35)

寒気が下りてきているのを実感するキーンとした朝。青空をバックに北アルプス後立山の峰々が白く光る。最高のコンディションに楽しいツアーの期待が高まる。7:55に民宿発、8:30に栂池高原スキー場で佐藤さんと合流。3連休のためにリフト券売り場は長蛇の列で、結局30分ほど待つことになった。(8時までに着かないと時間ロスになる)。深井さんリードで、ゴンドラリフト終点の栂の森からシールをつけて早大小屋を経由し尾根へ。



  ヒヨドリ峰を南東に見る1930mの尾根がドロップポイント、新雪は60cmくらいか。コンプレッションテストで、下にクラスト面があるが行けると判断する。この頃には薄曇りとなり雪が舞いだす。
 出だしのみ急斜面だが、一段降りると緩くなる。新雪とクラストが不規則に顕れ、先頭の深井さんも苦労しているようだ。新雪と下の旧層の結合が悪く、かなり不安定な状況で、急斜面をカットすると表層がスラブ状に崩れる。慎重にコース取りをしながら、こんな日にはちょっと気持ちの悪い谷沿いをトラバースし、沢が合流するコル(1460m)まで滑って休憩。
 ここから再びシール登行。地形を確認しながら先行トレースに沿って登る。若栗の頭(1598m)からは安全第一で南東尾根を滑ることに決めるが、滑りにくいので左側の谷に入る。新雪、クラスト、雪崩跡のミックスで、こちらもなかなか手強い斜面であった。傾斜が一段落すると今度はモナカ雪。すっかり傾斜が緩んだ谷を滑り、崖状の急斜面を下りてやっと黒川沢に合流。有名な堰堤のスリットをくぐってスキー場に到着。15:50発のシャトルバスで栂池まで戻った。
 今回計画している3ルートはすべて北東斜面であり、初日としては雪の状態もみながら楽しめた1日であった。中川さんの探してくれた民宿の夕食も満足で、これで1泊2食5,500円とは安い。夜は深井さんのプロジェクターで滑りをチェックした。





2月10日(月) 五竜一ノ背髪(村尾根コース)

Hakuba47スキー場リフト終点1630m(9:40)→ドロップポイント1850m(10:35)→尾根の頭1339m(11:25)→中川さん滑落1270m(11:40)→再スタート1270m(12:20)→平沢堰堤(12:45)→Hakuba47スキー場(13:45)

 朝から雪。当初予定の八方ガラガラ沢は昨日の雪の状態からリスクが大きいと判断し、最終日に予定していた一ノ背髪の村尾根コースを滑ることにした。Hakuba47スキー場のリフトを3本乗り継いで終点を過ぎた1660mから入山。数組のグループが先行した。地蔵の頭を巻き小1時間でドロップポイントの1850mピークに到着。準備をしている間に風が強くなり視界も悪くなる。



 風の影響で固くうねった尾根を慎重に下る。途中から尾根も広くなり谷も絡めながら疎林のパウダーを楽しむ。昨日より雪の状態は安定しているようだ。1332m標高点の平らな頭にて本日初めての休憩をとる。
休憩後にアイスバーン上に新雪が50cmくらいのった尾根筋を滑降中、1270m付近で中川さんが尾根から転倒滑落し、約10m下の木に引っかかって停止。特に怪我はないようだが、スキーが木に挟まって自力では動けない状況となる。その木で停止しなければ更に数10メートル滑落したかもしれないが、徐々に傾斜が緩くなっているのでそれほど危険はなさそうだ。ここから、石黒さんリードの救出が始まる。藤澤さんが上から中川さんをロープで確保したうえで、石黒さんがアイゼンを履いて中川さんの所まで降りスキーを外した。中川さんは自力で尾根まであがることができた。現場より数十m下まで滑り降りていたため、無線で状況を聞いていた他のメンバーもこれで一安心となった。
 その後気持ちの良い沢筋を滑り堰堤下流に出る。一緒に渡渉した人によると、今シーズンは対岸の八方沢の雪がまだ落ちていないのでスノーブリッジができていないとのこと。堰堤と堰堤の間を徒渉する。ほぼ全員が靴の中まで濡らした。本日のリスク核心部ともなる林道の4か所のデブリ跡を越えて、無事Hakuba47スキー場到着。



足がズブ濡れで替靴下もない佐藤さんを除いて「そば神」に直行。夕食はJRで白馬に行き、居酒屋「きっちょんちょん」にて宴会。終日雪が舞う1日であった。



2月11日(月) 一ノ背髪敗退

Hakuba47スキー場リフト終点1630m(10:05)→ターンポイント1760m(11:30)→Hakuba47スキー場(12:45)

 守谷さんが所要で帰京、7名になる。今日は冬型気圧配置が強まり、北陸に大雪予報が出て、宿で新雪30cm。この2日間の積雪の状態から、比較的安全そうな一ノ背髪を再び楽しもうということになりHakuba47スキー場へ。第3リフトが止まっていたが様子を見ているうちに動き始めた。ゲレンデトップでは視界50m以内で吹雪。
協議のうえ、一旦は中止としたが、時間もあるのでドロップポイント付近まで登ろうということになった。ゲレンデを出ると50cm超のラッセルになるが、雪が重くてはかどらない。
   この天候なので今日は入山者はいないようだ。ラッセルを交代しながらドロップポイントを目指すが、リーダー判断で1760m付近でUターンしてゲレンデに戻ることになった。一瞬だけパウダーを楽しむことができた。疲労のたまった脚で延々とゲレンデを下り、無事山行を終了した。スキー場周辺の温泉は混んでいそうなので、少し離れた「ぽかぽかランド美麻」に寄って帰京となった。
  北アルプスの麓を楽しませてもらい、コース取りや積雪面の判断など貴重な勉強もさせてもらった。いい宿にも泊ることができて、満足した3日間であった。

お勧めの宿:民宿まるにし TEL0261-75-2031(南神城駅下車10分、白馬さのさかスキー場近く)

(福原 記)

リーダーから
いずれのコースも滑ったことがないので、コース経験のある深井さんにコースリーダをお願いしました。

≪予定変更について≫
初日に先頭で急斜面に入ったところ、滑り始めてすぐに表層の雪が崩れ、長さ50m・幅10m程度の小規模なスラブ雪崩を起こしました。スラブが薄く柔らかく、足下から崩れたので手をついた程度で済み、地形的にも特に危険は感じませんでしたが、その後は地形を見ながらコース取りなど十分注意をはらいました。
このような積雪状況だったので、参加者で話し合い、谷状地形を滑るのは危険と判断して翌日の八方ガラガラ沢は中止しました。深井さんから一ノ背髪は尾根沿いで比較的危険度が低いとのことだったので、最終日の天候も考慮し、予定を繰り上げ2日目に一ノ背髪村尾根コースを滑りました。結果的に新雪が落ち着いたためか、初日比べると積雪は安定していました。

≪一ノ背髪滑落について≫
今回の滑落は事故事例として取り上げるようなものではありませんが、次回も無事で済むかはわかりません。中川さんに限らず、毎週のように山に入っていると危機感が麻痺してくるような気がします。自戒もこめて常に事故は起こるという緊張感を持つことが大切だと思いました。

(石黒 記)