2014年3月 焼石岳・不忘山 山行報告

3月21日(金) 天候:曇り

 三日間で三つも山に登る計画であったが事前の情報で現地の天候が悪く雪でしかも風が強い事が判明(山テン、木村さんが契約している情報非常に有益)。それで出発を前夜発とせず21日の朝としてその日は登山口の偵察をする事にした。焼石を偵察、登山口の石淵トンネルに行く(ガイドブックではここを通って山に入るのが本来のルート)。


石淵トンネル入口


登り口

トンネルには鉄柵のゲートがあり通行止め、周囲の斜面はいつ雪崩れてもおかしくない多量の緩んだ雪。上林さんからトンネルが通れないなら手前から山に入り西に向かうコースの提案があった。そこはお誂え向きに凹んでいてかつ丁度良い斜度である、ブッシュも出て無い。宿泊は焼石岳温泉のひめかゆコテッジ、温泉に入り事前に買出しをした食材でカレーを食べる。温泉はナトリウム温泉でしょっぱく出た後も暫く冷めない。
明日は焼石に行く事に決定しルートを確認、上林さんの提案のトンネル前から山に入り西に進み大森の北側を通り大荒沢の左岸尾根に出るコースに決まる。

3月22日(土) 天候:小雪 山中は強風

石淵トンネルと尿前渓谷橋の中間点6時33分…1001m地点10時11分〜10時50分―高度583m地点11時41分―出発点13時

 石淵トンネルと尿前渓谷橋の中間から西北に登りだす。本来のルートではないが傾斜はきつくなくブッシュも埋まっており登り易い。ただ周りの地形に変化が無く歩いても歩いてもブナ?の樹林帯で凹凸が少なく目印が無い。途中で林道に出る、予定通りのコースを行っている。そこを横切り、更に大森の北を通り西に進むと夏道にぶつかる。夏道を越え大荒沢の左岸の尾根に進む。この辺りから焼石岳に繋がる尾根になるが風が強くなる。樹林帯の中でも風が強かったが頭の上で吹いているというだけであった。が、ここでは直接身体に轟音と共に風が当たる。当然頂上に行けるとは思っていないが1150mにある銀名水小屋までは行きたい。しかしながらこの風は山が来るな来るなと言っている様。
10時11分リーダーより一時待機の指示、風を避けて尾根を少々下りツェルトを被る。私は一人用のツェルトに入っていたがすっぽり被り周りが見えず不安、歩いている時は暖かい身体が冷えてしまい登行意欲が減退。



10時50分リーダーより撤退の指示、この場所は高度1001mで銀名水小屋迄あと高度150m。残念であるが妥当な判断である。下山に移るが正しく降りられるか心配。私のGPSは樹林帯の中で信号をロストしてしまい地図を見ても正確に場所が特定できない。恥ずかしながら上林さんが行くままに付いていくしかなくなった。
上林さんは躊躇なく滑っていく。滑るには傾斜も緩いし木の間隔もあり支障ない。が位置が分からないまま付いていくのは非常に不安、何処を見ても同じに見える。その内見覚えのある場所に付く…一安心。



後で聞いたのだが上林さんはGPSを見ていないでコンパスと高度計と地図だけだそう。素晴らしい読図能力である…脱帽するしかない。遅ればせながら今後は私もなるべくGPSを使わず読図をしよう。ロストしても地図とコンパスだけで現在地が分かるようにしないと。
無事13時に出発点の石淵トンネルと尿前渓谷橋の中間点に着く。時間が早くこの後中尊寺に行く事になる。雪のある中尊寺であるが幽玄な伊勢神宮(個人で旅行した)を見た後では些か感慨が薄い。これが奥州の都なのかな・・・・
今日の宿の最上屋に向かう…謳い文句は奥州の薬湯・鄙の宿・源泉かけ流し・純和風木造路の宿である。正にこの通りであるが湯治客用の部屋もありお高い感じは無い。この宿で一大イベントを行った、メンバーの中川さんの誕生祝である。山行前から大西さんから提案があり極秘にお祝いを用意する事となった。ケーキを現地で買い、思いもかけぬ潟見さんがその他の小道具を用意してくれた(クラッカー、蛍光ブレスレット、メッセージ、造花、架台)。中川さんが部屋に入る時電気を消しクラッカーを鳴らした。中川さん感激、ロウソクを消し皆で食べる。今回は飲む人の参加が二人きりで上品な夜であった。




  
今回感じた事。
1、 上林さんの読図能力が素晴らしい、今回選んだルートはこの山に入る時の定番にして良いと思う。
2、 木村さんの決断力、情報収集力、スキー技術、リーダーシップ。
3、 潟見さんの意外と思える心遣い(誕生祝の小物)又その生い立ち。
4、 私自身は日常を離れ悪天候に弄ばれ少しオーバーではあるが生きているという充実感を得た。
5、 焼石岳は山スキーを始める前に雑誌で見て行きたいと思っていた山、敗退はしたが来れて満足、再チャレンジをしたい。

(鈴木 記)


3月23日(日) 天候:曇り

スキーリフト乗場(855m)0930〜0945降り場(1130m)1000〜1040休憩(1395)1050〜1135不忘 山山頂手前(スキーデポ)(1670)1145〜1150山頂(1705.3)1200〜1205スキーデポ地点1210〜1215シール外す(1655)1230−1240尾根に戻る(1605)−1240ビデオ撮影 (1510)1250−1305スキー場トップ−1315スキー場スキーセンター

 目覚めて、支度をしていると隣の布団から「外は雨ではないですか。」との声。えっ!と、窓を開けて見ると雨が降っている。「夜中、瓦をたたく雨の音がしていましたね。」今は、そんなに激しくはないが間違いなく雨だ。ぐっすり寝たので何も感じなかった。リーダーの木村さんが部屋に入ってきて「どうしますかね。」という。雨のスキーはやりたくないなと思っていると、上林さんから「とにかくスキー場まで行ってそこの様子で決めましょう。」という考えが出され、それに決定。朝食後、晴れてきた。8:40。準備を整えて車に乗り白石スキー場に向かう。しばらく行くと小雪に変わってくる。そして、景色も一面の雪景色に変わっていく。白石スキー場の駐車場にはスキーヤーの車が結構詰まっている。何も言わなくとももう決行するのに決まっている。リフトに2回乗る。降りると1130m。山スキーのグループが既にいて、出発の様子だ。
 今日の山行リーダーは昨日誕生日を迎えたばかりの中川さん。10時きっかり、彼女を先頭に林の中に足を踏み出す。この辺りは昨夜も雨でなく雪が降っていたのだろう。ふわっとした雪だ。しばらくは前のグループのトレースを追っていたが追いついた。お先にどうぞのご挨拶にバージンスノウに踏み出していく。風もなく。快適な登りだ。林を抜けると中斜面の広いオープンバーンだ。ピストンの帰りなら、快適に滑って降りられる所だ。だが、少し風が出てくる。右寄りの灌木の横を登っていくのだが、だんだん風が強くなってくる。先頭を交代しながら登っていく。登る差が出てきたので休憩するが、立っているだ
けの休憩では寒い。標高は1670m。頂上1706mまでまた登り始めた。ピーク近く来ると急傾斜になり岩稜っぽくスキーでは登れない。スキーをデポし上林さんを先頭に頂上に12時丁度に到着。「やっぱり頂上を踏まないとねー。」互いに握手を交わし写真をそれぞれが撮る。風と雪で眺望はないが達成感はそれなりにある。


不忘山 山頂にて


   
 下山に向かうと輪カンを付けた登山者やスキーをデポしたパーティーが次々に登ってくる。
 スキーを付けて滑降に移る。谷の方に向かったが違うようだ。急な斜面を間隔をあけて斜滑降トラバースで登ってきた斜面に出る。そして林間の新雪を楽しむ。開けたところでは動画撮影。木村さんに上から、上林さんに下から撮って貰ったので後日、家で見たが前からと後からと同じ人物の滑りが見られておもしろかった。この後は木村さんを先頭に林間を結構なスピードでトレ―ンしてスキー場トップまで右に左に滑りぬけ、スキー場のぐちゃぐちゃになった急斜面を滑り終えて1時に到着した。ああ!楽しかった!



 帰り、鎌先温泉の泊まった宿の隣の大きな老舗のホテルの屋上露天ふ風呂で2日間のこの山行を振り返りながら浸かっているのもいいものだった。ちなみにそのホテルの名は、リーダーと同じ名の「木村屋」だったのも面白かった。みなさん、お世話になりました。ありがとうございました。
 この後、3時15分に一路、東北道で東京に向かう。渋滞もあり、集合地点の練馬高野台駅前に8時に着き、解散した。家路にはまだ遠い人が何人もいらっしゃる。おつかれさまで〜す。 

 (潟見記)