<2002年11月号>
「ヘリコプターレスキュー」について
もり たつお

9月末に、都岳連共済の遭難対策講習会に参加しました。内容はヘリコプターによる救助および山の救護活動の手順および体験です。遭難者を早く、容易に救助できるためか、保険の充実や携帯電話の普及によるためか、ヘリコプターによる救助が年々増えています。一方、安易に救助を求め過ぎるとの声もあります。一番大切なのは、遭難をしない準備、対策です。不幸にも遭難をした場合には、ヘリコプターは自然条件に左右されるので、救助手段としては絶対ではありませんが、大変有効です。
そこで、「ヘリコプターレスキュー」についてまとめてみました。
配備
@警察所属:全国都道府県への配備は全て完了している。
      山岳地方では警察のヘリが出動することが多い。
A消防所属:地方自治体の消防本部が所有している。
B民間所属:トーホー航空(レスキューヘリとして国内で初めて認定)
      中日本航空(山岳レスキューではないが、ドクターヘリとして、
      山岳救助の現場にも飛行をする)
要請方法
@ どこに要請するか?
通常の遭難の連絡と同じである。 ヘリの出動要請は110番通報の警察であるが、119番通報による要請も現実にはある。
Aヘリ要請は誰がするか?
ヘリの出動が妥当かどうかは警察が行う。判断材料として、詳しい情報を提供する必要がある。
● 遭難現場の状況(岩場、尾根筋、樹林帯など)
● 天気、気温、風速、積雪、風向など
● 現有装備、ハーネスなど
● 現在地点の詳細な情報
しかし、本人または仲間が要請すれば、警察は基本的には従う。最終的には本人または仲間が責任を持つ必要(金銭的、ヘリ救助の是非など)が生じる。あるガイドは「これからはどんどんヘリを要請すべきだ」ともいっています。どの状態で要請すればいいかどうかは判断が難しいが、「自分たちの力で精一杯やった」と判断したら、躊躇せずに迅速に要請すべきだと講師は言っていました。

要請後の処置
ヘリは5分か10分で飛来することが多く、それまでに準備しておく必要がある。
● 荷物の整理(必要なものだけ身つける)
● 飛散物の除去または固定
● 吹流しの設置(風向、風速を示せるもの)
● 発見されやすい工夫(周囲に紛れない色、動きのあるものを示す。GPSで位置がわかれば必要ないかも)
● ヘリが着陸したら、絶対にヘリの後方には入り込まない。
利用料金
トーホー航空の場合
@ チャーター料:511,500円/時間(遭難現場での救助作業料金)
A 空輸料:467,900円/時間(遭難現場近くのヘリポートまでの回送料金)
B 滞留料:150,000円/件(天候不良で待機する料金)