2019年 4月 月山・品倉尾根

月山・品倉尾根

概要

日 程:2019年 4月20日(土)~ 4月21日(日)
参加者:室岡(CL)、猪俣、守谷(記録)、坂本(ゲスト)

4月19日(金)

 21時に東川口駅集合。湘南からここまで首都高速を使うのだが、横羽線が事故渋滞のため湾岸線を使用。ベイブリッジ~レインボーブリッジ~東京タワー~スカイツリーを眺めながらのナイトドライブをしばし楽しむ。
 東川口からは東北道で寒河江までの長距離になるが、久しぶりに山行を御一緒させていただく猪俣さんと四方山話に花が咲き、あっという間に到着した。仮眠は寒河江SAの屋内自販機前だが、二人の御婦人方は躊躇うことなくエアマット敷いてすぐに就寝されて、大変頼もしかった。

4月20日(土) 品倉尾根 晴れ

【コースタイム】
姥沢駐車場(1163m)7:50=月山リフト降場(1520m)8:20~8:35…姥ヶ岳…金姥(1688m)9:10~9:30ー四谷川…柴灯森(1715m)10:53ー(1619m)11:30ー(1479m)11:42–濁沢(984m)12:36~12:58…品倉南尾根コル(1290m)14:11…湯殿山・姥ヶ岳間滑り開始点(1475m)15:46~16:00ーネイチャーセンター(800m)16:21

 寒河江SAで朝食を摂った後、室岡さんと道の駅にしかわで集合。お会いしたのは5年前だけれど、全く変わらずテキパキと行動予定を指示していただいた。土曜の方が天気は良いが、風が強いので品倉尾根へ、日曜は月山山頂へということになった。
 いつもテン泊する志津野営場の駐車スペースに室岡車をデポした後、守谷車に全員乗って姥沢から月山リフトで上部へ向かった。姥沢駐車場で元会員の山科さんに出合いルートを尋ねると、銀座山の会の山行にゲスト参加して品倉北尾根を滑ってそのまま湯殿山スキー場に抜けられるとのことで、我々と半分は同じ行程の模様。
 リフトを降りてシールONしていつものように姥ヶ岳へ登ると雪がまだ硬いことがわかる。金姥(1688m)から短く1本滑ってみたところ、室岡さんから「硬いなぁ。ちょっと早過ぎましたね~」とのコメント。登り返して長くもう1本、四ツ谷川方向に滑ってみる。少しの時間だが、今度は適度に緩んで快適なザラメバーンになっていたので、予想より下まで滑った。滑りを楽しむためには登り返しを厭わない、室岡山行の始まりだ。
 滑ってきた斜面を登り返して標高1715mの紫灯森へ。品倉尾根はここから北西方向へ伸びてから1619mで二つに分かれる。本日の行程は北側の尾根を滑った後に濁沢に降りて南側の尾根(下部に品倉山がある)を登り返すもの。
 室岡さんは山科さんが予定されている湯殿山スキー場へ抜けるルートを辿ったことはあるが、品倉南尾根を登り返したことは無いそうで、北尾根を下る際に南尾根の様子を見ながら帰りのルートを考えましょうということになった。紫灯森からの下りは少し痩せていて右側は雪庇が張り出している。北面のためまだ固いアイスバーンを少し緊張しながら滑って行くと月山北西面のダイナミックな景観を眺めることができた。月山はたおやかでどこでも滑れる印象だったのだが、こちら側はゴツゴツとして変化に富んでおり圧倒される。尾根分岐前に1箇所急な登り返しがあり、一度スキーを担いでツボ足で登る。既に本日4回目の登りになるが、実はまだまだほんの序の口である。
 尾根分岐の1619m付近から北尾根を滑ると雪も徐々に緩んできていることが感じられた。1479m地点から下は広大な斜面が広がっており、素晴らしい滑降を楽しむことができた。1230m付近まで下って大休止。ここまで来るとポカポカと暖かく緊張感が取れて来る。しばらくすると銀座山の会のパーティもやってきた。主尾根を大きく外れているので、一度シールONして手前の支尾根を登り返す。スキーを着けて主尾根を乗り越えて濁沢に降りるルートを相談した。この辺りは地形が複雑なので、あまり滑ってしまうと濁沢へ降りる場所が下方になってしまうので、要注意だ。沢に降りる急斜面にクラックが入っており、ここを通過する際に猪俣さんが転倒してリカバリーに少し難儀した。坂本さんと守谷はできるだけ降り易い木を使ったラインを辿り、スキーを外してクリアした。
 無事に沢に降り立ってまずは一呼吸整えて後のルートを室岡さんと確認する。品倉南尾根は何箇所かヤブが出ており、これを辿って1619m峰まで辿ると上り下りもあって時間がかかりそう。それよりも南尾根を越えて湯殿山神社の沢を越えて姥ヶ岳-湯殿山間のコルに出るのが効率的ではないか、ということだった。品倉南尾根のへ濁沢側の斜面はどこも滑降意欲をそそるバーンである。次回は南尾根を滑りながら下ってみたいな、と妄想が膨らむ。
 品倉南尾根上1386mピーク-1281mピーク間のコルに出ると南側の大部分は雪庇が張り出しているが、コルを少し登ったポイントから沢へ入ることができそうに思われた。ここから湯殿山神社の赤い鳥居がはっきり認めることができる。湯殿山神社上部の沢は両岸とも沢筋の傾斜がきつく、降りるためにはコルから上流に向かってトラバースしなければならない。ここは崩れやすく間隔をおいて進んだ。
 沢へ降りる目途は付いたが、湯殿山-姥ヶ岳コルへの登り斜面が急で、どうしようかと相談する。沢上部は斜度がそれ程ではなく最後まで詰めることは問題無さそうだが、時間短縮を考えてできればどこかで湯殿山―姥ヶ岳間のコルに登り上げたい。探りながら沢を登って行って1本のルンゼがその答えではないか、ということで登り始めた。雪庇が出ていて右側の斜面を登ったが、上部に行くにつれて雪面が固く急になり、キックターンに緊張する。猪俣さんが一度10mほど滑落して肝を冷やすが、事なきを得る。ここを乗り越えると、あとはコルの少し上部まで緩やかに登るだけであり、ようやく長い山スキー旅の難所が終了した。
 この後、装束場まで本日のフィナーレの快適な滑降を楽しみ、湯殿山と姥ヶ岳の間の石跳川の源頭ハーフパイプ斜面を滑り、最後に石跳川沿いのモナカ雪で苦しみながらネイチャーセンターに降りついた。

4月21日(日) 月山 曇り

【コースタイム】
姥沢駐車場(1163m)8:35=月山リフト降場(1520m)9:10…姥ヶ岳9:35…金姥(1688m)9:42~9:55–四谷川10:12…月山頂上小屋(1975m)11:40…月山頂上(1980m)12:03ー月山東面(1814m)12:17…月山頂上小屋(1975m)12:40~13:02ー月山南面(1816m)13:15…(最終滑降開始点1894m)13:50ー姥沢駐車場(1163m)14:30

 土曜日は登り滑りが7回ずつというハードな山行になったため、日曜日は少し疲れが残っている。昨日と同じように月山リフトを降りた後にシールを付けて登り始めるが、「さすがに体が重いね~」などと声が出る。姥ヶ岳を越えて金姥(1688m)まで前日と同じルートを辿る。ピークからは昨日のタフだったルートが眺められ、感慨にふける。遠くに見える鳥海山も美しい。
 さて1本目の滑降。次に月山へ登るポイントを目指して滑ると適度なザラメ雪でスキーがよく走ってくれた。月山への登りもシールがよく効いてくれるが、昨日の疲れもあり急斜面が段々きつくなっていく。胎内岩手前のハイマツ帯を乗り越えて最後の緩斜面を登ると月山頂上小屋に着いた。大休止して行動食を摂り本日の行程を確認する。
 東面の素晴らしい大斜面を滑って登り返し、南面の滑降を楽しんだ後、尾根を越えて姥沢に滑り降りるということだった。荷物はここにデポしてサブザックにシールを入れて頂上へ。シールを外す際にサブザックが強風で飛ばされたが、東面の途中で無事回収できた。
 月山頂上からの東面は5年前も滑ってボウル状の大斜面に感激したところだが、やはり素晴らしい。標高1814m付近まで滑って登り返し、南面の緩斜面へ。ここも広々として清川行人小屋付近までずっと滑れるということだったが、今回は時間の関係もあって1816m付近で止めて姥沢へ向けて最後の登りに入った。往路で辿った辺りを越えて姥沢への滑降へ。四ツ谷川右岸のトラバースは雪庇の崩壊箇所に注意しながら通過し無事に姥沢駐車場に到着した。
 帰りの温泉は室岡さんの御案内で谷地の「べに花温泉ひなの湯」に連れて行って頂いた。辺りの桜は丁度満開。大変整って清潔な施設だが、料金は280円。近くの蕎麦屋で頂いた谷地名物の肉そばも含めて最後まで堪能させていただいた。
 今回の山行は品倉尾根が本当に感動的でした! 1日のうちに7回登って7回滑るというのは初めてで、ダイナミックな月山北西面の景観の中、未開拓のルートを探っていく楽しさはまさに山スキーの醍醐味だったと思います。
 連れて行って頂いた室岡さんに感謝の念しかありません。自分もいつかはこんな山行ができたらと思いました。猪俣さんには疲れていた中で美味しいお料理を頂いただけでなく往復の車中で楽しいトークで眠気を吹っ飛ばしていただきました。今回ゲスト参加の坂本さんは、ランドネ初参加でこのタフな山行を最後まで完遂されたことに敬服いたします。どうもありがとうございました。

(守谷 記)