5月3日快晴

太郎平小屋620……北ノ俣岳750809――黒部五郎の登高開始919……黒部五郎の肩1000

――黒部五郎冬季小屋104511:20……三俣蓮華岳13411406――双六小屋1501(泊)

 

太郎平小屋出発。緩やかな登りで北ノ俣岳を目指す。長坂リーダー曰く「今日のコースは、山行のハイライト。距離は長いけど、山スキーの醍醐味を味わえるよ。」と。目指す黒部五郎岳が大きくそびえている。のんびりと歩いているうちに、いつの間にか北ノ俣岳到着。

北ノ俣岳で薬師岳を背景に写真を撮った後、黒部五郎を目標に滑走に入った。赤木沢、奥の廊下を眼下に、沢を挟んで雲の平を見ながら真っ白な斜面をトラバース。遥か遠くに見えた黒部五郎岳がぐんぐん近づいてきた。

黒部五郎岳を目指して。遥かに槍ヶ岳。

日本一楽しいトラバースということが実感できた。黒部五郎の登りに備えてクトーを装着。かなりの急斜面である。雪が比較的緩んできていることが幸いだ。長坂リーダーを先頭に登り出す。ルートの取り方がとても上手く、登りやすかったが、あまりにも速いペースで皆がついていけずに。ギブアップ。

その後は中山さんを先頭にして進んでいった。中山さんは「疲れた。」と言っている割には急な登り方だった。皆カールを早く滑りたくて仕方ないのだ。急斜面だが意外とあっさり登ってしまった。今日の空は、宇宙まで抜けるように青かった。                    

黒部五郎の肩到着。10人くらいの集団が休んでいた。山頂には向かわず、そのまま肩からカールを滑ることにした。直下はかなり急斜面である。40度かそれ以上か。20代後半と思われる若者がその直下から飛び出して入った。さすがに華麗である。あっという間にカールの底に行ってしまった。長坂リーダーが「俺も、あと10年若ければやるんだけどな。」と残念そう。長坂リーダーより24年若い宮本は「うむ…。」と黙りこんでしまった。いつかはやってみよう。全員でトラバースして、少し下がったところから滑ることにした。

誰も滑っていない真っ白な斜面に5人の異なったシュプールを描こう!ところが、ああ、残念。そこにはもう大勢のシュプールが…!ああ、休憩せずにそのまま行っていればよかった…と思うも後の祭り。比較的はシュプールのないところを選んでカールの底を目指した。

 

黒部五郎岳のカールを滑る。

素晴らしい斜面である。斜度はそれなりにあるが、ザラ峠の斜面に比べれば緩かった。各人思い思いのシュプールを描いてカールの底に到着した。カールの底から黒部五郎の頂上を眺める。大きなデブリの跡があった。雪庇が大崩壊したようだった。そのまま高度を下げて黒部五郎冬季小屋を目指すことができたが、長坂リーダーの誘導で黒部五郎冬季小屋を眼下にできる斜面にトラバース。 小屋付近には大勢のギャラリーがいた。かっこ悪い滑りは見せられない。転ぶなんてもってのほかだ。黒部五郎第2ラウンドの滑走に皆燃えた。黒部五郎冬季小屋に到着。この小屋をベースにしている土屋・田中パーティーに書置きを残して出発。笠ヶ岳がとがって見えた。

三俣蓮華岳を目指して急登。ルート取りとペース配分の練習と言うことで、阿部さん、宮本が順番に先頭になって登っていった。長坂リーダー曰く「先頭を任せられるということは、自分のことだけでなくルートの取り方を含めてみんなのことも任せられているんだ。」と。2人ともまだまだ、という結果になった。

 

     休憩時間などを利用して、予めルートをイメージすること。

     トラバースしている時間を短めにして稜線には早めに出ること。

     登りターンはなるべく余裕を持って緩く回って、急な切り替えをしないこと。など非常に有意義なご指摘を受けた。今後はしっかりやりたい。

 

  黒部五郎岳のカールをバックにシール登高

三俣蓮華岳の手前2,661m付近で昼食となった。黒部五郎岳がでっかく見えた。改めてみて雄大で素晴らしいカールである。薬師岳からの越えてきた稜線が見えた。太郎平小屋も見える。ああ、あんなに遠いところからきたんだなあ、とつい、うっとりしてしまった。

休んでいると、我々の後に登ってきたパーティーが双六小屋に予約の電話をしている。便乗して予約することができた。快く引き受けてくれたパーティーに感謝。ドコモの携帯を使っているとのこと。山頂ではちょっとした配置とかアンテナの向きで通じたり、通じなかったりするようだ。

三俣蓮華岳の山頂付近で、どこかで見たような人が手を振っている。誰?あっ!大坪さんだ!駆け寄るようにして合流した。皆笑顔で再会を祝した。大坪さんは前日、新穂高温泉から双六小屋に入り、本日は樅沢を滑ってきたということ。大坪さん差し入れの夏みかんはとてつもなく美味しかった。

三俣蓮華岳山頂付近は360度の眺望であった。東に槍ヶ岳、西に黒部五郎、南に笠ヶ岳、北に鷲羽、水                  晶といった感じで。この山行中一番のビューポイントだと思った。

三俣蓮華岳からクラックの入った雪面を登り下りして、丸山(2,854m)でシールを外して滑走に入った。途中大規模なデブリの上を通過し、大トラバースをして双六小屋に到着した。宿の受付をしていると、なんとそこには錦織さんの姿が。3年連続で来て周辺を滑りまくっているということ。暫し歓談して部屋に入った。予約していたせいか個室に案内されて、ゆっくりすることができた。今日も素晴らしい1日であった。     →  51日へ戻る> 54日へ進む>