2015年 3月 横前倉山

横前倉山

概要

日程:2015年 3月21日(土)~22日(日)
参加者:上林(CL)、木村(SL)、清水、守谷(記録)

3月20日(金)

 この日は21時に西国分寺駅集合。最近駅前の駐車が厳しくなったそうで、木村さんは御自分の荷物を一度降ろしてから皆が集合するまで一度駐車場まで車を一度戻された。中央道経由で栂池ゴンドラ乗り場に到着し、軽い宴会がてら翌日の行動を確認。ロングルートなので早くゴンドラに乗ることを心掛けることに決めた。

3月21日(土)晴れ

栂池ゴンドラ乗り場(810m)8:00=自然園駅(1840m)9:00…天狗原(2205m)10:00~10:25-唐松沢登行開始点(1770m)10:45~11:05…フスブリ山(1954m)11:50~12:20-風吹大池(1785m)12:35~12:45…横前倉山(1917m)13:30~13:35-温泉マーク(1204m)14:10-沢登り返し地点(1070m)14:20~14:25…林道登り開始点(875m)15:00…林道下り開始点(950m)15:25-舗装路到達点(500m)16:00~16:10…北小谷駅(396m)16:45=南小谷駅=栂池ゴンドラ乗り場

 予報通りの快晴に恵まれたこの日、切符購入とゴンドラ乗車待ちに分かれた作戦が功を奏して朝一の栂池ロープワエイに乗ることができた。ロープウェイに乗っていると金山沢方面に3ヶ所ほど表層雪崩の跡が見え、戦慄を覚える。今回一番の目的である横前倉山北東斜面は相当な急なため、大丈夫だろうかと少し心配になる。しかしシール登行は9時ジャスト開始、順調なスタートである。天狗原に近づくにつれて斜面は固くなり、白馬乗鞍の大斜面はびっしりと縞模様に覆われている。恐らく雨が降ってすぐに固まったため雨溝がそのままの形状で残ったものと思われるが、とても快適に滑れる状況ではない。案の定、唐松沢はひどい洗濯板状態で溝の底では絶対ターンができない、テクニカルなバーンとなる。ただ唐松沢の傾斜は緩く、もし雪が柔らかければ滑りが悪く時間がかかりそうなので、この方が良いかもとpositive thinkingに切り替え沢を下って行く。唐松沢は振子状がずっと続く。最初はターンしづらく思えた洗濯板も溝を外して回すコツが何となくつかめてきてそれなりに快適。途中1600m付近に滝があるとの情報があり、1770m付近で早目のシール登行に切り替える。フスブリ山の下を巻くか上へ出るか少し作戦会議した後、登りながら状況判断することで開始した。
 この登りからトップを任されたのだが、トラバース気味で沢を越えるルート取りの判断に躊躇する。トラバース気味に高度を落とさずに行くか、沢底に降りて登り返すか・・・この判断の難しさは結局横前倉山の登りでも味わうことになる。何度か沢状地形を越えてフスブリ尾根に出ると、傾斜がグンと緩くなり、紙すき山牧場へのルートと合流した。一昨年にこちらのルートを辿った時は非常に緩い下りでスキーを漕がなければならない状況が延々と続いたが、今回のシーハイルルートはかなりメリハリがある印象。勿論前者もスキーハイキングの趣がある。シーハイルルートの場合、フスブリ尾根に出て初めて白乗以北の稜線が見えるので、雪倉岳の大斜面に嘆息。(この日行ってもガリガリ溝々だったとは思うが。)
 フスブリ山から風吹大池への下り斜面も相変わらずのガリガリ溝々バーンで池手前はそれなりに傾斜もあるので気を遣いながら降りる。池の真ん中を通る人が多いのだが、「もし割れたら」という恐怖のためなるべく端の方を通る。ここから横前倉山への登りは岩菅山とのコルを目指す。風吹岳西尾根を巻き気味に抜けようと考えたが、岩壁が立ちはだかっていたため一旦小敷池付近まで降りて急斜面を登り、岩菅-横前倉のコルに出た。この登りが斜度的にはこの山行で一番きつかったのではないだろうか。
 横前倉山山頂からはお目当ての大斜面は見えず、かなり尾根を東へ行ってから目にすることになる。ただし斜面の先端まで行くと下が見えない程の急傾斜。思った以上であるが、スキーヤーズレフト方向に行くと良い感じであることを上林さんが見つけられてそちらにルートを取ることに。上部にクラックが入っているのでそれを避けて40 度ぐらいの大斜面に飛び込んだ。滑り出してガリガリ溝々ではなく快適なザラメであることにすぐに気付く。これは素晴らしい・・・今まであまりここが知られていなかったというのがウソのようだ。疎林帯に入る辺りでは斜度も30度程度になり、どんどん滑りやすくなっていく。この先溶岩流跡の沢に挟まれた細い尾根に乗る予定なので、ルートに気を付けながらさらに下って行く。標高1900m 弱をスタートとして1300m ぐらいまではかなり良い斜面ではないだろうか。ただしパウダーの季節は雪崩が恐いよね、というのが一致した意見だった。
 しかしルートは長く、まだまだ終わらない。地図上の温泉マーク辺りで細い尾根は消えるため溶岩流跡を対岸に渡らなければならない。このポイントは地図には表れず、これ以降のルートファインディングは先行者の的確なトレースにかなり助けられていく。このトレースはしばらく行くと右側溶岩流跡の沢を進むようになるのだが、1070m付近で沢が右に折れて急になる箇所もそのまま進んで南俣沢に続いているようなので、これについて行くべきかどうか作戦会議。安全策を考えて一旦沢から出て林道に出るために再度シールを付けて短い急傾斜を乗り切る(最終的に南俣沢は雪に埋まっていてトレースのルートはこの時期としては正解)。ここからは林道と思われるところをひたすら辿るのだが、雪斜面のトラバースでいやらしい。南俣沢の橋を渡る対岸部は特に雪崩が起きやすそうでしかも登りなので少し気が滅入る。ダラダラした標高差70m 強を登りきるとかなり疲れが出てきて効率的なルートを色々と考える元気が失せてしまい、トレースさんをひたすら追いかける。後からGPSで確認しても林道をうまくショートカットしていて彼らのルート判断は相当正確のようだった。標高500mの民家が現れるところまで道路の除雪がされており、ここから北小谷駅までは舗装路を30分ほど歩いた。(GPS の記録は乱れてしまったが、姫川は国道ではない小さい方の橋を渡る。)

3月22日(日)晴れ

 この日も天気は良かったが、元気な清水さんを除いて皆山に入る気力はなく、のんびり帰ることに。途中の蕎麦屋は有明神社横の「くるまや」に寄ってたらふく蕎麦をいただく。途中有明山が非常に急峻な山であることを木村さんから話を伺い、今まであまり気にしていなかったこの黒い山が妙に存在感を増した気がした。西国分寺に到着すると2 週間前に車内に忘れたトチモチを木村夫人が持ってきていただき、ひたすら恐縮。家族には白馬のみやげとして食べてもらったが、素朴な味でとても好評だった。
(守谷 記)