2022年 4月 蓮華温泉・朝日岳・角小屋峠経由木地屋 会山行報告

蓮華温泉・朝日岳・角小屋峠経由木地屋

概要

日程:2022年 4月 1日(金)~ 4月 3日(日)前夜発
参加者:八木(L)、阿部(1日目記録)、角田(2日目記録)、藤澤(3日目記録)

4月 1日(金) 天狗原から振子沢経由の蓮華温泉

天候:晴れ

ゲストハウス7:30=栂池スキー場=栂池ロープウェー山頂駅9:10~9:30…天狗原11:00…振子沢滑走開始地点11:20-振子沢転倒地点(1860m)11:35~12:15-蓮華温泉13:40

 参加者が合流し、21時40分雨模様の都内を角田さんのゲストハウス‘’焚火‘’に前泊として向かった。当初は、栂池スキー場の駐車場でテント泊の予定であったので前夜祭を快適におこなえ、感謝!感謝!
 当日、ゴンドラ下無料駐車場は7割くらい埋まっていた。春休み期間でもあり、家族連れや学生が多い。予報では午前中は曇り予報であったが、朝から晴れており9時30分登り始める。
登り始めは良かったが、50mも登ると表面が硬く氷状態で早々にクトーを装着。思い思いのルートで、数パーティーが登っている。中には背中に編み笠を背負った集団もおり、蓮華温泉へはヘルメットの他に、編み笠も必需品であることを後で理解する。
 天狗原まで来ると、一気に風がでてきて顔が痛い。白馬乗鞍への登頂は、強風と滑走時のアイスバーンを考えると、振子沢から蓮華温泉にダイレクトに向かうルートを、リーダー八木さんが最終決断。近くの防風にはならないが2m足らずの木の陰で早々にシールを外し、振子沢滑走地点へと向かう。風がおさまる地点まで早く到達できるよう気が急くが、滑り出しから、硬いバーンである。表層に、大小氷の塊が残り非常に滑りにくい。最後尾をへっぴり腰で滑って行くと藤澤さんが転倒している。近づくと、顔をしかめており心配になる。スキーを外し、状況を確認すると左膝から少し下の脛が痛いとのこと。前後しながら滑っていた3人グループが心配して声を掛けてきてくれて、板を外すなどの協力をいただいた。10mくらい先を滑っていた、八木さんと角田さんが合流し装備は持っていることを伝え、協力にお礼申し上げる。防寒着を着せ、ツエルトで防風を施し痛みが治まるのを少々待った。その間に、今後の対策を練る。最悪の場合この地点は携帯も繫がらないので、天狗原に登り返してヘリ要請。ただし、風が強くヘリが飛べるか難しい状況である。次の選択肢として、蓮華温泉におり救助要請を行うかである。
 まずは痛めた足にサポーターになる包帯を巻き、テーピングで固定し立ち上がってもらった。それほど痛みがないのか、百戦錬磨の藤澤さんは横滑りで降れると自己判断。荷物を分散して分け下降再開。傾斜によっては、横滑りではなく通常に近い滑りもできておりなんとか、宿に着けそうな目途がたった。風の無い静かな暖かい場所で昼食をとった。(転倒の様子を聞くと、転倒で痛めたのではなく、板が雪面下の波打った状況で小刻みに振るえその衝撃が膝に伝わり痛みが走り停止して横になったとのことでした。)
 温泉手前乗鞍沢の橋も、充分な積雪でつながっており宿に着いて一安心。明日の朝日岳の鋭気を養うため、八木さん、角田さん、阿部で、露天風呂”仙気の湯”に浸かる。絶景であり、八木さんが毎年来ていることもうなずける。朝日岳を見ながらのルートの打ち合わせを忘れ、ビールとウイスキーで乾杯となった。夕飯は、蕗みそを載せて食べたカツがうまかった。9時消灯と聞いていたが、20分ほど遅れての消灯であった。部屋の照明は消灯になるが廊下の照明と、新館の部屋のコンセントは通電されており、入浴と充電には時間制限はなかった。(阿部 記)

4月 2日(土) 蓮華温泉~朝日岳

天候:晴れ
蓮華温泉6:40-瀬戸川の橋7:10…ひょうたん池8:10…吹上のコル12:00…朝日岳山頂13:00~13:10-瀬戸川の橋15:00…蓮華温泉16:30

 昨年の雪倉岳登頂に続き、今度蓮華温泉に行く時には朝日岳に行ってみたい、と思っていた中での八木Lの山行計画でした。メンバーも今のランドネ主力メンバーで、あとは天気が良ければ行けるかなと思っていて、予報ではまぁまぁな感じ。しかし何と初日に藤澤さんが滑走中での怪我があり、万事休すとなる。しかしそこで藤澤さんだけ宿で療養待機することになり、他の3人で予定通り朝日岳を目指すことになる。天気は気温が低めながらも快晴無風、こんな日に朝日岳登頂しなくて「いつ行くの!」と心の中で1人叫ぶ自分がある。
 八木Lを先頭に兵馬ノ平まで慎重にコースを取り、そこから急斜面を滑って瀬戸川の橋を無事に渡る。渡り終ったところからシールを付け、また硬い雪面のトラバースなのでクトーも付けて歩き始める。全員無線を持っているし、他の2人も経験豊富なメンバーなので、私はマイペースで先頭を進みながら、次第に距離が離れてしまったようだ。蓮華温泉は盛況だったが、ほとんどが雪倉岳に行ったようだ。先行トレースが1組あって、てっきり私はそのパーティも朝日岳にいくものだと思って、トレースを辿ってしまった。途中後続のメンバーから無線が入り、「彼らはどうやら赤男山に向かっているのでは」と言われ、その時にGPSで確認をしてルートが間違っていたことに気付く。そしてすぐ右にルートを修正して、本来のルートに戻り、吹上のコルを目指す。青空から容赦なく熱い日射が肌を照らし、大汗を拭きながらも、水分・塩分補給をしっかり取り黙々と登高する。途中クトーを装着し沢沿いを詰めながら、稜線に上がる急登は雪面も硬く、クトーの歯はしっかりと刺さるも、多少難儀する。私はなるべく直登気味に登るも他の2人はトラバース気味に行き、先に吹上のコルに着く。そこから50m程上部の稜線上に私が着くと、八木Lから「これ以上登っても、滑りが楽しくなさそうだし、ここから滑って戻ろうと思います。」と無線が入る。阿部さんにも確認をすると、どうやら同じ意見のようで、ボディランゲージで交通整理のおじさんがよくする、両腕を下山方向に振っている。え?と思いながらも、1人で山頂を目指すことを訴えて了承を貰う。これ以上行ったら危険だから撤退するというのは納得するが、滑っても楽しくないので撤退というのは私の山行スタイルではなく、どんな雪質でも楽しく思えるように技術で克服したいと思っているが、スタイルは個々の個性なので尊重するしかない。2人はそこで待機して待っていることになったので、すぐに登って戻ってこなくてはならないと思い、稜線には雪が無かったこともあって、板をデポしてブーツで登ることにした。途中、急斜面の雪が氷化した箇所で歩行アイゼンを装着し、偽ピークに騙されながらも予定時間の13時に無事山頂に登頂する。達成感と満足感に浸りながら、他の2人に無線連絡で登頂したことを告げ、写真と動画を撮って直ぐに下山をする。その時間には雪も滑りやすいように緩んでいて、スキー板をデポしてしまったことを多少悔やむ。デポしたスキー板を装着して、風をよける為に少し下がった処で待機している2人の下に、かっ飛ばして滑走し、待たせたことのねぎらいの言葉を掛けて合流する。合流して瀬戸川の橋まで一気に滑り、橋を渡った処の急登に息を切らしながらも、1時間半の登り返しで蓮華温泉に到着をする。
 他の2人は、今日は内湯でいいと言ってるが、こんな時にしかあの露天は味わえないと思う私1人で、スキーを装着して登り、昨日に続き仙気の湯に浸かってきました。青空と純白の雪を見ながら温泉に浸り、今日一日を回想し、充実感の中で反省点・改善点に想いを巡らせていました。結局、この日に朝日岳に向かったのは私達だけで、山頂を踏んだのは私だけであった。この日の飲んだビールは最高ですね。あっ、いつもでした。(笑)
(追記)携帯GPS「ジオグラフィカ」を使っていますが、この時はそのままポケットに入れて、必要な時に出して見ていました。しかし手袋を外したり、老眼鏡を出したり、いろいろ手間取り時間もかかるので、ちょくちょく見れませんでした。また落下の危険もありました。その後、透明防水ケースを買ってそれに入れて首から掛け、タッチペンを附属させました。そして老眼鏡を改良してゴムバンドを付け、首に掛けながら、しかもヘルメットにもゴムで掛けれるようにしました。故に今では手際よくルートを確認できるようになりました。山スキーの強さの要素は、①登れる体力と技術、②転ばないで早く移動できる滑走力、③正確なルートを行けるルートファインディング力、この3点だと思います。前者2点は経験と自己研鑽に時間を要しますが、ルートファインディング力は機器の使いこなしと慣れの問題です。GPSは頼もしいパートナーですね。(角田 記)

4月 3日(日) 蓮華温泉より角小屋峠経由木地屋

天候:晴れ

蓮華温泉7:15…滑走地点通過7:45…Uターン地点8:05…シール脱8:20~8:25-滑走開始地点8:27-弥兵衛川-ヤッホー平手前8:40~8:50…林道合流9:00~9:10…休憩9:40~9:50…角小屋峠取付き10:00…角小屋峠1610m10:25~11:00-五月池手前11:30~11:50-木地屋除雪最終点12:25~12:45=栂池高原スキー場13:25

 前日、蓮華温泉のご主人に木地屋のルートについて確認した。角小屋峠取付き以降の林道を通るのは遠回りだし、雪が斜めに積もっていておすすめできない。角小屋峠を越えるとAUのみ繋がるとの事。木地屋に13:00でタクシーを予約する。1日休んで、何とか階段の上り下りを両足でできるようになったが、角度によっては痛みを感じる。
 朝食後、共同装備とすぐには使用しないスコップ・ゾンデなどを他のメンバーに託す。靴を履いた後、阿部さんにテーピングをしてもらう。シールを着けて記念写真を撮り出発。宿からすぐの乗鞍沢を越えた所の10m程の急な上りがカリカリで少し手間取る。板を外してもつま先で蹴り込まないと滑る。この少し先でルートは林道を離れ斜面を滑るが、トレースもあり私の膝の状態を考えこのまま林道を行くことに。橋を渡り2回ほど小さなカーブを上ると結構急斜面のトラバースが続く。対岸に林道が見えるが途中でトレースが消えていて、引き換えした跡も確認できる。このまま林道を進むのは危険と判断し、引き返して正規ルートを行くことに。膝の負傷もあり、急斜面の滑走はできるだけ少なくしたかったが仕方がない。2回の小さなカーブの手前でシールを外す。橋の手前から沢に滑り込み正規ルートに合流。時間のロスは40分程度。比較的フラットな斜面なので左足でのターンも慎重にすればさほど問題はない。
 弥兵衛川を越えて少しそのまま上り、比較的平らな所でシールを着ける。ヤッホー平の緩斜面をしばらく上ると林道に合流する。振り返ると朝日岳方面の稜線が青空に映える。さらに林道をしばらく進み、角小屋峠の斜面に取り付く。先行パーティーが何人も上っている。斜面はまだ緩んではおらず、上るに連れ徐々に急になり、慎重にキックターンを行う。日は当たっているが斜面は固く、トレースも線でかすかに付いているだけ。斜度の緩い所を選んでキックターンを繰り返す。何とか上りきり角小屋峠の稜線へ到着。
 何グループかが休んでいる。荷物を持ってもらっているとはいえ、後続メンバーはなかなか来ない。遠くに雲はあるものの上空は真っ青のいい天気。角田さんは途中でクトーを着けたようだ。全員揃って最後の展望を楽しんだ後、急斜面を慎重に滑り降りる。このルートで快適だったのは唯一ここだけだった。ルートは結構複雑だが、赤布が所々にあり迷う事はない。トラバースや僅かな上りがあるが、基本的に板は走り順調に進む。五月池の東の名も無い池の手前で休憩。白池の先で林道に合流。所々林道をショートカットしながら杉林を鼻をむずむずさせながら抜けると、程なく木地屋の除雪最終地点に到着。結構な台数の車が停まっていた。
 予約したタクシーで栂池に戻る。空は雲に覆われ今にも降り出しそうな雰囲気。天気のいいうちに下山できてよかった。みみずくの湯で汗を流しゲストハウスに戻り、荷物を整理して帰路についた。
 今回、初日の小屋に着く前に膝を負傷してしまった。ケガの介抱や荷物を分担して持ってくれたメンバーに感謝。2日目は休養していたが、他のメンバーの日程を変更することなく帰ってこれたのは幸いだった。(藤澤 記)